このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

アーキテクチャ改革を進めてきたSAP、その狙いはAIが働きやすい環境

SAP CEOが「次の大きなマイルストーン」と発言、“Suite as a Service”とは?

2025年06月23日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Jouleは「どこでも・なんでも」に進化

 今年のSapphireでは、Jouleについても大きな前進があった。キャッチフレーズは「Jouleをどこでも・なんでも」だという。

 まず「どこでも」は、これまでSAPシステムだけで使うことができたJouleを、あらゆるアプリケーションに拡張して「どこでも」使える仕組みを導入した。SAPが2024年に買収したデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)のWalkMeの技術を用いており、SAP/非SAPのクラウドアプリケーションにおいて、ユーザーの行動とコンテキストを参照しながら洞察や提案を行う。

 もうひとつの「なんでも」は、AI検索サービスの「Perplexity(パープレキシティ)」との連携を指す。Perplexityとの連携によって、SAPシステム以外のインターネットにある情報も参照/統合して、ユーザーの知りたいことに答える。

 ハーツィク氏は、これらの機能をを通じて、SAPは「ユーザーの生産性を最大30%改善する」と語る。

 「コーディングでは20~30%、営業やサービスでは10~20%の生産性改善が見られるが、これらはタスクレベルでの話。従業員全体に対して生産性を30%改善するためには、(個々のタスクではなく)全てを統合して捉える必要がある」(ハーツィク氏)

 このように、今年のSapphireは、AI時代に向けて準備を整えたSAPの製品アーキテクチャをしっかりと示す場となった。各社がAIエージェントを表に出す中で、データにフォーカスした強化を前面に出した点が印象的だった。

 AI時代に向け、スイートをサービスで提供すると言うSAP、差別化はAI、データ、アプリケーションという3つの要素が相乗効果を生む“フライホイール効果”だ。個々の要素が持続的に加速して、より大きな効果を生んでいく動きを指しており、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏がAI領域で好んで使う単語でもある。

 「AIを動かすのはデータであり、エンドツーエンドのコンテキストと実行システムも必要。SAPはそれらをすべて提供できる。アプリケーションの幅の広さでは、SAPの右に出るものはない」(アラム氏)

 Sapphireの会期中、CEOのクライン氏と雑談する機会があったが「SAPはBusiness Suiteというコンセプトを信じている」と話した。

 「これまでのモノリシックなシステムではなくモジュラー型。ファイナンス、人事などどこからスタートしても、すべてが統合されているのですぐにリアルタイムのデータでAIを活用できる」(クライン氏)

 5年後、10年後のERPの姿はどうなっていると考えるか。クライン氏にそう尋ねると、次の答えが返ってきた。

 「AIにより自己学習するシステムになる。非効率なポイントがどこにあるのかをERPが理解し、自己最適化することで生産性を改善する。インターフェイスにはJouleがあつらめ、ユーザーはシステムを深く触ることなく、やりたいことができる世界だ」(クライン氏)

■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    「原則出社」命じる企業とテレワーク社員の意識ギャップ/“推し活依存”自覚するZ世代が2割/シニアの利用が盛んな○○アプリ、ほか

  2. 2位

    データセンター

    600km超離れたデータセンター間でシステム全体を「完全自動復旧」 日立・NTTドコビジらが実証に成功

  3. 3位

    ビジネス・開発

    物流、病院、家事まで変える“フィジカルAI”最前線 AWSが支援する日本企業14社の挑戦

  4. 4位

    ITトピック

    SaaSに代わりAIエージェント支える“AaaS”が台頭/議事録作成AIは「意思決定支援」へ進化/生成AIの顧客満足度・1位はClaude、ほか

  5. 5位

    sponsored

    Active Directoryがサイバー攻撃の標的となる理由とその対策

  6. 6位

    TECH

    フロンティアAI対策を国内組織はどう捉えているか “内製化への意欲”と待ち望む“政府主導のガイドライン”

  7. 7位

    ビジネス・開発

    フィジカルAIを支える「攻めのIoT基盤」と「守りのOTセキュリティ」

  8. 8位

    sponsored

    高齢者をポットで見守る「みまもりほっとライン」 25年続く「サービスの温もり」とは?

  9. 9位

    デジタル

    Dropbox Protect提供開始 “過剰なファイル共有”をすべて把握し情報漏洩リスクを低減

  10. 10位

    デジタル

    「ツールは入れて終わりじゃない」 香川の建設コンサルが利用率1割だったkintoneを全社基盤に育てるまで

集計期間:
2026年09月01日~2026年09月07日
  • 角川アスキー総合研究所