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アーキテクチャ改革を進めてきたSAP、その狙いはAIが働きやすい環境

SAP CEOが「次の大きなマイルストーン」と発言、“Suite as a Service”とは?

2025年06月23日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 ERPを考案して五十余年、業務アプリケーション市場では不動の地位を築いたSAPが、AI時代に向けて製品アーキテクチャの改革を進めている。2025年5月に開催した年次イベント「SAP Sapphire 2025」において、CEOのクリスチャン・クライン氏は、同社にとっての「大きなマイルストーン」として“Suite as a Service(スイート・アズ・ア・サービス)”コンセプトを提唱した。

SAP CEOのクリスチャン・クライン(Christian Klein)氏(中央)

AIが業務アプリケーション分野に変化をもたらす

 SAPは、自社のAIを“ビジネスのためのAI(Business AI)”と位置付け、AI戦略を推進している。2024年秋にはAIコパイロットの「Joule(ジュール)」を発表。また「Joule Agents」として展開するAIエージェントでは、すでに支払関連の紛争解決を支援する「Dispute Resolution」や、会計管理支援の「Account Planning」などを発表している。これに加え、ルールベースのシナリオであるJouleのスキル数は現在およそ1600を数える。SAPでCAIO(最高AI責任者)兼CTOを務めるフィリップ・ハーツィク(Philipp Herzig)氏は、「よく実行される業務の80%をカバーしている」と説明する。

 そして今年2月、SAPはデータプラットフォーム「SAP Business Data Cloud(BDC)」を発表した。これを受けて、データ統合プラットフォームの「SAP Datasphere」やアナリティクス関連の製品はBDC上に、開発関連製品は「SAP Business Technology Platform(BTP)」へと分類された。

 BDCに合わせて発表したのが「SAP Business Suite」だ。BTPとBDCを土台とし、AI、データ、アプリケーションを組み合わせるというモジュラー構成をとる。このBusiness Suiteをas-a-Serviceモデルで提供するのが、冒頭で触れた“Suite as a Service”である。

 年次イベントのSapphireでは、CEOのクライン氏、CAIO兼CTOのハーツィク氏、プロダクト/エンジニアリング担当のムハンマド・アラム(Muhammad Alam)氏の3人が記者発表会を開き、Suite as a Serviceの意義を強調した。

 クライン氏は「SAPのスタックにおいて、Suite as a Serviceは次の大きなマイルストーンになる」と語る。

 アラム氏は、これまでの「ベストオブブリード(Best of Breed、最良の製品の組み合わせ)」というアプローチを引き合いに出し、Suite as a Serviceは「Best of Breed as a Service」とも言えるとしながら、次のように説明する。

 「Suite as a Service、あるいはBest of Breed as a Serviceの背景にあるのは『AIが業務アプリケーションにとても重要な変化をもたらす』という事実だ。では、それはどのような変化なのか。それを考えるためには、『AIが価値を実現するためには何が必要か』を考える必要がある」(アラム氏)

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