こどもたちが創造した、未来のさいたま市のマイクラ作品が集結!
「SAITAMA Minecraft AWARD 2024 最終審査会・表彰式」レポート
提供: さいたま市
さいたま市内の小中学生が「Minecraft(マインクラフト)」をつかって未来のさいたま市を創造する「SAITAMA Minecraft AWARD 2024」の最終審査会・表彰式が開催されました。実際のさいたま市を再現したワールドを舞台に、独創的なアイデアで「まち」や「たてもの」をこどもたちがマイクラで再現。ファイナリスト10組の作品や表彰の様子を紹介します。
さいたま市では、実在する都市を再現する3D都市モデルのデータを活用して作成した、さいたま市のマインクラフトワールドデータを公開しています。「SAITAMA Minecraft AWARD 2024」は、この実際の街のワールドデータをつかって、「わたしの考える未来のさいたま」をテーマとした作品をマインクラフトでつくるコンテストです。参加したのは市内在住または在学の小中学生たち。2025年2月9日、10組のファイナリストが大宮区役所に集まり、最終審査会と表彰式が開催されました。

(左から順に)審査員を務めた、Minecraftカップの西 昭太朗さん、文部科学省学校DX戦略アドバイザー(さいたま市立中学校教頭)の宮内 智さん、シビックテックさいたま代表の桑原 静さん、さいたま市都市局長の佐藤 久弥さん
オープニングで、さいたま市 田場 亮氏は「みなさんが日頃から感じている問題意識、こんなものがあったらいいなというものを、想像するだけではなくて、実際に手を動かしてつくったり、プログラミングを組んだりしていただきました。どんなプレゼンを聞けるのか楽しみにしています」と挨拶。続けて、さいたま市 松山 幸司氏は「このイベントが市民のみなさんや子どもたちが未来のさいたま市について考えるきっかけになればうれしいです。今後のまちづくりにも参画してほしいという思いで開催しました」と趣旨を説明しました。
コンテストは「未来のまち部門」と「未来のたてもの部門」の2部門制で、審査対象はテーマ性、独創性、作品完成度、技術力、さいたま愛の5項目です。
まずは、「さいたまのシンボル空間となる未来のたてものをつくろう」をテーマにした「未来のたてもの部門」のファイナリストによるプレゼンの模様からお届けします。
身近な困りごと解決から、名物のウナギ滑走路まで多様な「未来のたてもの部門」発表作品
【作品タイトル】
さいたま市を世界に
街の魅力を世界に伝えるには、海外の人が多く利用する施設をつくることが重要という発想から生まれた作品。浦和駅近くに空港があれば、地元の人と海外の人が交流できると考え、市役所移転後に跡地となる場所を活用しました。滑走路の場所が足りないという問題は、ネザーゲート(ゲーム内の空間転送の仕組み)を使って解決。駐車場や展望台への上下移動は、コマンドブロックを使って一瞬で移動できるようにしています。
滑走路のデザインをさいたま名物のウナギにしたり、さいたま市のPRキャラクターである「ヌゥ」こと「つなが竜ヌゥ」のオブジェがあったり。飛行機もウナギとヌゥの形に。名物の盆栽もあちこちに展示しています。空港の隣には、地域の人たちがくつろげる緑いっぱいの公園も作りました。
「この施設をきっかけに、日本中や世界中からたくさんの人が集まり、さいたま市が国際的な都市になるようにしたい」との発表を聞いて、審査員は「世界という観点で空港に着目したところがいい。工夫したポイントがとてもわかりやすかった」とコメントしました。
【作品タイトル】
大宮さくらタワー オープン
さいたま新都心駅近くに観光名所をつくりたいと思いついたのが、さいたま市の花“サクラソウ”と大宮区の“サクラ”をイメージしたタワー。街のシンボルになるよう、外観を鮮やかなサクラ色にし、フロア内もサクラ色のカーペットを使ったり、盆栽を置いたりするなど、市の特徴を盛り込んでいます。
観光名所としてタワーからの眺めだけでは来場者が飽きてしまうと考えて、タワー高層階の周りにジェットコースターをつくりました。たくさんの人が訪れるように水流エレベーター、サクラ色のライトアップ、ロケット花火の打ち上げも。今後、タワーの周りに花を植える場所や、住む場所をたくさんつくり、暮らしやすい街にしていく計画です。
審査員は「タワーのデザイン自体がさくらの木になっていてアイデアがおもしろい」と感想を述べ、「観光の目玉がたくさんあるけれど、さらに付け足すとしたら?」と質問。発表した斎藤豊将さんは、「おみやげ売り場やホテルをつくり、何日でも滞在できるようにしたい」と答えていました。
【作品タイトル】
さいたま市名物博物館
県外からもアクセスしやすい市役所現庁舎がある場所に、さいたま市の名物を集めた博物館を建設。未来的な印象を表現するために、建物を透明感のあるガラスドームにしています。自然の光が入り、雨の日や夜の景色も楽しめるつくりです。
さいたま市の有名なものを取り入れたいとの考えから、家族連れや観光客に人気の鉄道博物館で実際に展示されている電車を再現。電車内でお弁当を食べられるように机とイスも設置しています。また、いろいろな形の盆栽や池、浦和くらしの博物館民家園の家もつくりました。人感センサーのドアやライト、夜になると自動で点灯する照明など、節電にも配慮した施設です。
「有名なものを一覧できるところがポイント。さいたま市のことを詳しく知らない人でも一目でわかるように工夫しました」との発表を聞き、審査員は「鉄道博物館など分野を特化した博物館をつくるのが一般的だが、街の歴史や文化を一箇所に凝縮する発想が新しい。リアルな世界でもこういう場所があってよいのでは」と話しました。
【作品タイトル】
みんなの架け橋となるツインタワー
現在のさいたま市役所庁舎が移転してしまうとその跡地がさみしくなるため、そこに赤ちゃんからお年寄りまで誰もが楽しく過ごせるツインタワーを建設。タワーのA棟とB棟の間は、架け橋をイメージした空中経路でつなげました。足元はガラスで、下を覗くと花でできたサイタマの文字が見える仕掛けもあります。
大型プール、展望レストラン、ミニ水族館、図書館、アミューズメントコーナー、地下には備蓄倉庫を備えた防災ドームも。災害時には避難所となり、普段は音楽会やお祭りなどで使えます。さいたま市は子どもが多いけれど子どもが遊べる公園が少ないという街の課題から、子どもたちが思い切り遊べる池や庭も整備しました。
「近所にある子育て支援センターは対象が0歳から2歳で、お母さんが困っていたので6歳まで利用できるセンターをつくりました」と聞き、審査員は「公園が少ない、お母さんが困っていたというところから考え、建物を実現しているのがすごい」とコメント。作成した柴田洋仁さんは「楽しくて頼りになる建物で、さいたま市に住む人を笑顔にしたい」と述べました。
【作品タイトル】
僕の好きなくつろげる場所
「さいたまのくつろげるシンボル空間」を作りたいというところから、大好きな温泉が近くにあるといいなと思って作成したという施設。照明が明るくなりすぎないように位置を調節し、名物の盆栽も置いてくつろげる雰囲気にしました。天井を高くして広々とした空間をつくり、大屋根にはソーラーパネルを搭載しました。
こだわりは、お風呂の種類と見た目です。炭酸風呂、カラフルな日替わり風呂、盆栽で囲まれた露天風呂、さいたま市の区の配置・色になったつぼ湯も。さいたま市を走る京浜東北線の車両をサウナにした“電シャウナ”もあります。
あったら便利なコインランドリーやベビーベッドも完備。アミューズメントコーナーには、浦和レッズのユニフォームを展示しています。「これから卓球施設やゲームセンター、売店、ミニシアター、レストランもつくり、施設を発展させていきたい」という言葉を受け、審査員は「細かな部分も丁寧につくり込んであり、“電シャウナ”のネーミングも秀逸。実際にあったらみんなが楽しめる」とコメントがありました。
サイバーパンクなさいたまからリアルなまちづくり提言が見えた「未来のまち部門」発表作品
後半は「未来のまち部門」のファイナリスト5組がプレゼン。「住みたい!訪れたい!さいたまの未来のまちをつくろう」をテーマにした部門です。
【作品タイトル】
誰もが楽しめる都市 ~浦和フレンドパーク~
レストラン、複合ビル、広場、公園の4つのエリアがあるパークを「ヌゥ」の形をしたジェットコースターに乗って移動。レストランには水族館を併設し、魚を鑑賞しながら食事をしたり、イルカのショーを楽しんだり。建物の上で乗馬も体験できます。
複合ビルには、図書館やショッピングモール、習い事の教室、農作業体験のブース、四季を体感できる屋内施設も。広場にある虹色のゲートは、街の象徴です。地上高く伸びるアスレチックのてっぺんにはツリーハウスがあり、街を見下ろせます。公園には池や桜の木もあり、豊かな自然を織り交ぜた都市になっています。
「こだわったのは都会と自然の融合です。都会的な優雅さと自然を織り交ぜ、より多くの人が楽しめる街にしようとおもいました」。審査員からは、「浦和駅前など周辺の街並みとどうつなげていきたいか」と問われると、「子どもも大人も一日中楽しめる場所になっているから、いろいろなところから人が集まる交流拠点にしたい」と答えていました。
【作品タイトル】
暮らしやすい・行きたくなる街
住宅街やショッピングモールがあり、将来は市役所もできるさいたま新都心駅東口周辺をもっと便利にしようと計画。駅から新庁舎まで濡れずに移動できるように自由通路をつくり、日照センサーを付けて夜でも明るい街にしました。
さいたま新都心駅ができる前は、大宮操車場があったため、車両を置いて歴史を学べる施設も併設。外からも車両が見えるようになっています。駅の横には、噴水や花壇のある公園をつくり、イベントで訪れた人が休憩できる場に。イベント時に駅が混雑するため、東口に新しい改札を設けて新庁舎方面の自由通路とつなげました。
「既存の施設をできる限り壊さないように通路をつくることが難しかったけれど、普段から考えていたことをマイクラで再現できて楽しかった」と梅澤健人さん。審査員は「歩きたくなる街には公園等の空間を配置することが重要と改めて気づかされた。夜の照明を説明する際、引き目のアングルで全体像がとてもわかりやすかったのが印象的だった」と述べました。
【作品タイトル】
CYTERM
大宮駅東口にランドマークとなる「CYTERM(サイタン)」を建築。中央にメインビル、奥に住宅オフィスビル、手前に球体型巨大ディスプレイを配置し、歩いて散策できる街を建造物の中につくり込みました。メインビルは階層に関係なくにぎわいが続く螺旋状の構造。3階は大きな吹き抜けの映画館兼フードコート兼ライブ会場です。
大宮を象徴する個性を演出するため、科学技術が発展した未来の世界をデザインに取り入れました。建物先端の大きなタワーの中は回転レストラン、屋上にはドローンポートや空飛ぶ車のバギーポートがあり、混雑を緩和しながら物資を輸送。ペデストリアンデッキで駅と建物を接続し、居住用のビルからも連絡ブリッジで出入りできます。
球体型巨大ディスプレイの中はアリーナで、米国ラスベガスにある「Sphere(スフィア)」から着想を得たもの。動画やキャラクターの顔なども映し出すことができ、活用法はさまざま。審査員は「建築が好きなことが伝わってきた。好きを突き詰めてほしい」と話しました。
【作品タイトル】
みんなでつくる未来の浦和
未来の浦和駅西口駅前と、子どもも大人も学べる「みんなの学校」をつくるとともに、それらをつなぐ地下鉄をつくりました。訪れた人が幸せな気持ちになれる場所にしたいという思いを込め、駅前は色とりどり建物に緑と水を組み合わせ、釣り堀や足湯、デパートと駅をつなぐジェットコースターなどさまざまな施設をつくりました。夜はテントを張って星空観察もできます。
市役所跡地を活用した学校では、音楽・農業・料理などの専門的な勉強ができます。世界中の本が読める図書館、芝生のグラウンドも。子どもから大人まで、みんなが楽しく学べる場所があれば、街の価値がさらに高まるという思いでつくりました。
地下鉄は、太陽の光を取り入れて明るいホームに。動力にバイオマスを使い、走行中は床下の風力発電機で電気をつくります。再生可能エネルギーだから乗車料金は無料です。誰もが安心して乗れるバリアフリー設計もポイント。審査員は「自然エネルギーを使った地下鉄のアイデアや、みんなが集える学校のコンセプトがいい」とコメントしました。
【作品タイトル】
みんなの幸せ大宮
通勤や通学で利用する人が多い大宮駅周辺に、水槽の壁があるレストランや猫カフェがある複合施設、遊園地、ゲームセンター、温泉などをつくり、「みんながいつも笑顔でいられる大宮」を作成。遊ぶ場所だけでなく、銀行や美容院、商店など、生活に必要な施設もつくりました。
ポイントは、建物の多くをガラス張りにし、建物の中にいても屋外にいるような気持ちになれるようにしたこと。病院もガラス張りで明るい雰囲気です。建物の天井に植物を植えるなど、緑や水を多く取り入れ、自然の中にいる気分でリラックスできます。この作品が実現すれば、学校や会社の帰りに駅で遊べて住民みんなが笑顔に。
「今回は製作できなかったけれど、両親が安心して住めるように高齢者施設もつくりたい」という言葉を聞き、審査員が「もっと時間があったら、さらに何をつくりたい?」と質問。子どもたちは「図書館と水族館、ほかのファイナリストが発表したものもつくってみたい」と答えてました。
以上で、ファイナリストすべての発表が終了。審査時間の休憩タイムでは、株式会社ホロラボ協力のもと、同社が開発したデジタルツインプラットフォーム「torinome(トライノーム)」によって、ファイナリストたちが制作したワールドをARで具現化。子どもたちはiPadを通じて、自分たちがつくった作品の中に入り込んだかのような体験を楽しみました。
グランプリに選ばれたのは、「みんなの架け橋となるツインタワー」と「CYTERM」!
10組のファイナリストによるプレゼンを終え、いよいよ審査結果の発表と表彰式です。賞のプレゼンターを務めるため、さいたま市の清水勇人市長が会場に登場。こどもたちの素晴らしい作品・発表を受けて、グランプリのほかに、急遽、部門ごとの「市長特別賞」と既存の街のデータをうまく活用した作品へ贈る賞として「審査員特別賞」が設けられました。
まず、審査員特別賞の発表。選ばれたのは「暮らしやすい・行きたくなる街」です。プレゼンターの清水市長から審査員特別賞として「SAITAMA Minecraft AWARD 2024」Tシャツを授与され、「うれしいです」と喜びを語っていました。
続いて、「未来のたてもの部門」市長特別賞は「さいたま市を世界に」が受賞。賞状と「ヌゥ」のぬいぐるみを受け取り、「賞をめざして取り組んできたので、とてもうれしい」、「応募してよかった」とふたりとも笑顔いっぱいです。
「未来のまち部門」市長特別賞には「みんなでつくる未来の浦和」が選ばれました。チームで参加した3人は一言ずつ「本当にうれしい」、「がんばってきた甲斐がある」、「うれしいです」とコメント。
「未来のたてもの部門」グランプリに輝いたのは「みんなの架け橋となるツインタワー」です。賞状とクリスタルトロフィーを手に「とてもうれしいです。帰ったら、机にこのトロフィーを飾りたい」と喜びを噛み締めていました。
「未来のまち部門」グランプリには「CYTERM」が選ばれました。「優勝できると思っていなかったので、とてもうれしいです。感謝しています」と満面の笑顔で一礼。会場は大きな拍手で包まれました。
街をつくる側にとってもたくさんの良いヒントが見えた
全体総評として、審査員をつとめたMinecraftカップの西昭太朗さんは「身近な人が困っているから変えたいという作品もあって心が温まりました。これからも身近な課題や魅力、素直な疑問からまちについて考えていってください」とコメント。
文部科学省学校DX戦略アドバイザー(さいたま市立中学校教頭)の宮内智さんは「すごい作品ばかりで、いろいろな思いを感じながら採点しました。今回の取組を胸に、さまざまな場面で引き続きがんばってほしいです」と参加者にエールを贈りました。
シビックテックさいたま代表の桑原静さんは「福祉、交通、観光など、まちづくりの視点を入れ、学校や家庭、地域で学んだことを生かしていることがわかりました。マイクラなどを通していろいろな能力が伸びていくので、これからも好きなことを極めていただければ」と評価。
さいたま市都市局長の佐藤久弥さんは「さいたま市に対する考え方、こうすればもっと良くなるなどの思いが至るところに盛り込まれ、とても参考になりました。今回の作品をさらに発展させてほしいです」と話しました。
続いて、さいたま市マインクラフトのワールドデータのもとになった3D都市モデルの取組を推進する「Project PLATEAU(プロジェクト・プラトー)」ディレクターで国土交通省の十川優香氏がコメント。「3D都市モデルは誰もが自由に活用できる形でデータを公開していますが、3D都市モデルの新たな可能性を拝見し、うれしかったです。将来の街のイメージをわかりやすく表現したり、あったらいいものを具体的に盛り込んだりすることは、街をつくる側にとっても良いヒントになります。今回のようなイベントがほかの都市にも展開されると良いと思いました」と述べました。
最後にさいたま市の清水勇人市長が「こどもたちが自由な発想、未来志向でまちづくりを考えてくれることを期待し、SAITAMA Minecraft AWARD 2024を開催しました。作品は、どれも私の期待を上回る素晴らしいものばかりで大変うれしく思いました。さいたま市がこうなってほしいというメッセージをしっかり受け止め、未来のさいたま市をつくっていきたいです」と述べました。清水市長はファイナリストたちのがんばりを称え、「ぜひ未来のさいたま市長や都市局長になってくれたら。みなさんが描いたたくさんの夢や希望を、これからのまちづくりにつなげていきます」と締めくくり、イベントは幕を閉じました。