連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第171回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 2月8日~2月14日
Webアプリ攻撃件数が過去最大に/若者の5人に1人が「残業したい」理由/セキュリティツールの生成AI機能で生まれる懸念、ほか
2025年02月17日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2025年2月8日~2月14日)は、セキュリティソリューションに組み込まれる生成AIの懸念点、5.4人に1人が労働時間を「増やしたい」と考える理由、グローバルなビジネスコミュニケーションとAIの役割、Webアプリケーションへの攻撃の実態についてのデータを紹介します。
[セキュリティ][生成AI] セキュリティソリューションでの生成AI活用は65%、ただし懸念も(ソフォス、1月28日/*日本は2月13日)
・ほぼすべての組織がAIをセキュリティインフラに組み込んでいる
・「生成AI」を組み込んでいる組織も65%に及ぶ
・9割が「サイバーセキュリティツールにおける生成AIの欠陥はリスク」と考える
サイバーセキュリティにAIを活用する米国のITリーダー400人を対象とした調査。98%の組織がセキュリティインフラに何らかのAI技術(生成AI以外も含む)を組み込んでおり、生成AIも65%と普及している。ただし89%は「生成AIに欠陥があればセキュリティリスクにつながる」と懸念している。
⇒ サイバーセキュリティ分野でも生成AI活用に対する期待は大きいですが、この調査ではAIの品質やコストにおける“不透明さ”を懸念する声も。さらに、AIへの過度な依存によって「サイバーセキュリティの責任が不明確になる」懸念もあるようです(87%)。
生成AIを組み込んだセキュリティソリューションを利用する組織は65%。さらに、自社開発の生成AIをセキュリティ対策に使う組織も34%に上った(出典:Sophos)
生成AIツールの「欠陥」に対しては89%が「とても/やや懸念」している(出典:Sophos)
[仕事] 正社員の5人に1人は「残業したい」、理由は?(Indeed Japan、2月14日)
・現在の労働時間について、18%が「増やしたい」
・増やしたい理由は「収入を増やしたい」(67.1%)
・減らしたい理由は「プライベートの時間を増やしたい」(65.6%)
20~50代のフルタイム勤務の正社員2000名を対象とした「労働時間に関する調査」より。1カ月あたりの労働時間について、約半数(46.7%)が現状を「望ましい」と考えているが、5.4人に1人(18.4%)は「増やしたい」という。増やしたい理由は「収入を増やしたい」が7割弱(67.1%)と圧倒的に多い。また、増やしたい人の割合は年代が低いほど高くなる傾向も見られる。
⇒ OECDの調査では、日本の労働者の労働時間は近年、減少傾向にあります。働き方改革の成果と喜びたいところですが、「もっと働きたい」人も多いという意外な結果。
[AI][言語] グローバルなビジネスコミュニケーションで期待されるAI(DeepL、2月13日)
・企業のAI予算配分の上位に「翻訳など専門業務での活用」が入る
・グローバルビジネスでの言語課題は「新規市場の開拓」「海外顧客対応」など
・解決策は「外部翻訳会社と言語AIツールの活用」「社内翻訳チーム支援」など
欧米のビジネスリーダーを対象に、企業のAI導入動向やビジネスコミュニケーションの課題などを調べた。経営陣の72%は「日常業務へのAI統合」を計画しており、「翻訳など専門業務でのAI活用」も25%が検討している。
⇒ グローバルビジネスでは英語が主要言語になっているが、現実には英語を流暢に話す人は世界人口の20%にとどまるとのこと。その意味で、AIによる翻訳技術の進化が期待されます。日本でも翻訳ツールが手放せない人は多いのでは。
[セキュリティ] 2024年のWebアプリ攻撃数が過去最高に、PHPUnit攻撃が急増(サイバーセキュリティクラウド、2月10日)
・Webアプリへのサイバー攻撃総数は1日平均で約330万回
・SQLインジェクション攻撃は年間で約1億4千万件増加
・PHPUnit攻撃は約6000万件も増加
同社のWAF(Webアプリケーションファイアウォール)製品のログから、2024年のサイバー攻撃の総数を算出した。総攻撃数は12億1251万1259件で、1日平均にすると約330万回。また1ホストあたりの攻撃数は7万4905件(前年比154%増)、過去最高の件数になったという。攻撃手法を見ると、これまで注目度が低かったPHPテストフレームワーク「PHPUnit」を狙う攻撃が、約6000件も増えたという。
⇒ 攻撃件数ベースの「攻撃元国」では日本が2位に。「攻撃されること」ばかりに注意を払いがちですが、攻撃元として悪用される可能性にも気をつけましょう。

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