自動車業界の信頼性評価からバイオ、新産業へ 創業30年にIPOでの成長を決意したクオルテック
信頼性評価を行なう独立系検査会社として初の東証上場を実現、不良品ゼロへの挑戦と独立独歩の精神が育んだ企業理念
バイオや半導体など新規事業分野へも積極的に取り組む
クオルテックが主力事業ドメインとしている自動車業界では電動化に伴う自動運転技術の激烈な開発競争が繰り広げられているが、これは人命に直結するため高い安全性の確保が求められる。検査会社としてこれに応えるために、クオルテックは110種以上、450台以上の最新鋭設備を保有しており、180種以上の検査メニューを210名以上の技術者集団によって提供している。
これに加えて新たな技術分野にも積極的に取り組んでいる。例えば世界初の二酸化ゲルマニウム(GeO2)の製膜に成功した立命館大学初のスタートアップPatentix株式会社と2023年に資本業務提携を締結した。2024年には滋賀県立テクノファクトリー内にGeO2半導体の研究開発拠点を開設し、Patentixとともに次世代半導体の材料製造事業への参入をめざしている。
「信頼性を向上させることによって不良品をゼロにしたとしても、それはマイナスからゼロになったに過ぎない。我々にとってゼロからプラスにする活動として、省エネのための半導体開発のサポートや技術で社会貢献していくことがある。
Patentixと資本業務提携したのも彼らの考えに共感したというか、日本でモノづくりを発展させていきたいという話を聞いてすごく良いと思って協業を決めた。クオルテックはそんな風に技術で社会に貢献していきたいと思っている」(山口氏)
クオルテックのワンストップソリューションは新規の技術分野への取り組みに関してもアドバンテージを持っている。ひとつの例として使い捨ての点滴袋の評価を行う場合、生化学的な部材の知識だけでなく電気的な知識も求められることがある。クオルテックはもともと電気系統に強い技術力が高い独立系検査会社だが、バイオの知識を持つ人材も抱えており、現業をスケールさせることのできる事業ドメインで新たな分野へのチャレンジを進めている。
「バイオ専門とか電気系統のみの検査会社ではできないところを狙っている。AI技術に関しても同様で、例えばはんだの評価に対してAIを用いる場合、既存の事業や技術と融合することでスケールできる可能性に期待して、取り組みを進めている」(山口氏)
































