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国内先行事例を披露、2025年は「AIエージェントの年」に

マイクロソフトが目指す、Copilotを入口に“AIエージェント”が協調する世界

2024年12月25日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフトは、2024年12月18日、AIエージェントに関する説明会を実施した。

 タスクを自律的に実行するAIエージェントに関心が集まる中、マイクロソフトが目指しているのが、Copilotがユーザーインターフェイスとなって“多様なエージェント”が協調する世界だ。それに向け、マイクロソフトがAIエージェントを使う・創るための環境を拡充する中で、国内企業でも活用事例が増えてきているという。

 日本マイクロソフトの執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長である岡嵜禎氏は、「(国内企業においても)より実業務に近しいところで実践的に活用され始め、エージェントにタスクを任せる割合も増えてきている」と説明。加えて、「2025年にはもっと多様なAIエージェントの事例が増えてくる」と予測した。

日本マイクロソフト 執行役員 常務 クラウド & AI ソリューション事業本部長 岡嵜禎氏

マイクロソフトの考えるAIエージェントの定義と目指す世界観

 現在、生成AIが実験段階から本格的な適用・運用をする段階へと移行している中で、エージェント化が進んできているという。マイクロソフトも「Agentic worldの幕開け」というメッセージを打ち出し、AIエージェントの実装支援に注力する。

 岡嵜氏は、AIエージェントが注目されるようになった要因について「技術的ブレークスルー」を挙げる。インターフェイスがテキスト中心からマルチモーダルに広がり、AIの推論精度も向上。より自律的に行動できるように、よりコンテキストに沿ったやり取りができるように進化を遂げている。

 マイクロソフトの考えるAIエージェントの定義は、以下の3点だ。ひとつが「自律性」で、独立して行動してユーザーの介入を最小限に抑えること。2つ目が「目標指向」で、特定の目標やタスクの達成に向けて自ら計画を立てること。最後は「高度な推論」で、より複雑で連続した対話からタスクを処理する能力を持ち、さらに複数のエージェントで協調して問題を解決すること。

マイクロソフトの考えるAIエージェントの定義

 「こういった世界に一足飛びに行かなかったのは、人には慣れがあるから。生成AIの進化に人が慣れ、付き合い方の感度が上がった」(岡嵜氏)

 マイクロソフトは、AIアシスタントとして展開してきた「Copilot」をAIエージェントのユーザーインターフェイスにするアプローチをとる。Copilotが人と対話をするそのバックエンドで、さまざまなAIエージェントが協調するという世界観だ。

AIのユーザーインターフェースとなるCopilot

ニーズに合わせた3つのAIエージェントと2つの開発基盤

 この協調するAIエージェントは、企業のニーズやレベルにあわせて3つの形で用意される。

多様なニーズとレベルに合わせてエージェントを利用可能

 ひとつ目が、マイクロソフト自身が用意する「ビルトイン型エージェント」だ。現在は、Microsoft 365に組み込まれる形で提供されている。

 会議のファシリテーターを担う「Facilitator agent(パブリックプレビュー)」やプロジェクトマネージャーを担う「Project Manager agent(パブリックプレビュー)」などの特定の役割で動くものから、従業員のサポート業務を担う「Employee Self-Service agent(プライベートプレビュー)」、SharePointの特定ライブラリ内のコンテンツに対して働く「SharePoint agents(一般提供)」といった特定のタスクを実行するものまで、専門のエージェントが各サービスに組み込まれている。

 さらに、2025年上半期にパブリックプレビューが登場予定の「Interpreter agent」は、話者の声色を再現しながら音声でリアルタイム翻訳してくれる通訳エージェントであり、日本市場での需要も高そうだ。

Microsoft 365に組み込まれたAIエージェント

Interpreter agent

 2つ目のエージェントのタイプは、「サードパーティ型エージェント」だ。サードパーティのアプリケーションおよびその中の情報と密に連携する外部エージェントとCopilotと連携する。AdobeやSAP、ServiceNow、Workdayなどのエージェントが展開される。

サードパーティ型エージェント

 3つ目が、独自のビジネスプロセスに合わせてユーザー企業やパートナーが構築する「カスタマイズ型エージェント」だ。開発基盤として、一般ユーザーや市民開発者向けの「Copilot Studio」、開発プロ向けの「Azure AI Foundry」を用意している。

 Copilot Studioは、ローコード・ノーコードで独自のCopilotを作成できるツールで、その中の「エージェントビルダー」では、自然言語での対話を介してエージェントを作成できる。Microsoft 365やDynamics 365、もしくは独自のウェブサイトやアプリケーションに組み込むためのエージェントを構築でき、1400を超えるコネクターで他アプリケーションと連携する。

Copilot Studio

 さらに高度なエージェントの開発向けには、生成AIアプリケーション開発のマルチプラットフォームである「Azure AI Foundry」を提供する。Azure AI Studioをリブランディングしたもので、1800を超えるAIモデルを扱える「Azure AI Model Catalog 」に加えて、ベクトル検索エンジンである「Azure AI Search」、有害なコンテンツを検出する「Azure AI Content Safety」など複数のツールで構成され、各種開発ツールからのシームレスなアクセスや継続的な開発運用のための仕組みも備えている。

 AIモデルに関しては、OpenAIの複雑な問題解決に特化したフラッグシップモデル「OpenAI o1」や高品質な動画生成が可能な「Sora Turbo」についても、近々、Azure AI Foundry(Azure OpenAI Service)にも実装される予定だ。NTTの「tsuzumi」といった各国産AIモデルも提供されている。

Azure AI Foundry

 また、Azure AI Foundryには、AIエージェントの開発に特化したツールである「Azure AI Agent Service」も加わっている。様々なAIモデルからエージェントの脳となるAIモデルを選択して、その脳に独自のナレッジを与えて、各システムやAPIと連携してアクションをとれるようにするための仕組みを提供する。

Azure AI Agent Service

 さらには、「技術だけではなく、組織や人がAIを導入、活用するためのノウハウも必要」と岡嵜氏。その一環として、AIの導入を推進するための組織的なガイダンスをまとめた「Microsoft Cloud Adoption Framework」およびAIの設計、構築、管理の推奨事項をまとめた「Azure Well-Architected Framework」を公開している。

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