このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第514回
山根博士のグロスマレビュー
2人同時に音楽を楽しめる青春スマホ「nubia Music」に新しい可能性をを見た
2024年12月03日 12時00分更新
ZTE傘下の「nubia」は、折りたたみモデルを日本でも出しているが、海外ではカメラフォンなど多くのスマートフォンを展開している。それらの中で外観に大きな特徴を持つ「nubia Music」は名前の通り、音楽再生機能を特徴としたスマートフォンだ。価格も安く、新興国などで人気の製品になっているという。どのような特徴があるのか見ていこう。
大型スピーカー搭載で外でも音楽を楽しめる
nubia Musicはパッケージを手に取ったときから音楽を楽しめそうな雰囲気の、カジュアルなスマートフォンだ。価格は149ドル、約2万3000円とかなり安い。音楽向けスマートフォンではあるものの、音質にこだわったハイレゾ再生を謳う製品ではなく、生活の中でどんな場所でも音楽を楽しみたい、そんな製品になっている。チップセットはUNISOCのSC9863Aで、メモリーは4GB、ストレージは128GBで、5Gには非対応。
スマートフォンとしての機能はベーシックであり、ディスプレーは6.6型(1612×720ドット)、リフレッシュレート90Hzとミドルクラスのものを搭載。フロントカメラは500万画素だがパンチホール式で安っぽさはあまり感じられない。
全体的なレスポンスはもっさりすることはないものの、高速な画面スクロールやアプリの切り替え時には、やや応対速度の遅さを感じる。音楽再生用と割り切って使うのがいいかもしれない。
特徴のないフロント面に対し、背面側はカラフルなカラーリングに大型スピーカーを搭載するという、他社のスマートフォンにはないデザインを採用している。
スピーカーはDTS:X Ultraで、程よい音を鳴らしてくれるという。スピーカーサイズは不明だが一般的なスマートフォンと比べればサイズが大きいことは一目瞭然だ。最近のスマートフォンは円形のカメラバンプを採用しているモデルが増えているが、同じ円形でもnubia Musicは左側にある2つのカメラのデザインと相まって、レコードプレーヤーのようなデザインにも見える。レッド、ブルー、イエローそしてホワイトの4色の塗り分けも大きく目立つ。
右側面を見ると電源ボタンを赤くしており、デザイン上の特徴にもなっている。カメラはメインが5000万画素のため出っ張りは少なく、むしろスピーカーのほうが出っ張っている。とはいえ全体の厚みは最薄部で8.6mm、重量も199gと比較的軽量だ。
一方、本体上部には3.5mmヘッドフォン端子を2つ備えている。ドルビーなどの表記はないため出力される音楽は特に高音質ではなさそうだが、友人や家族、恋人などと同じ音楽を有線ヘッドフォンでシェアしながら聞けるのは楽しそうだ。なお、左側面上部に見えるのはSIMカードトレイ。
本体底部はUSB Type-C端子だけで、一般的なスマートフォンに見られるステレオスピーカーの穴も開いていない。nubia Musicは基本的にスピーカーモードにした場合は背面の大型スピーカーからすべての音が出てくるため、ハンズフリーで通話するときなどは実は使いやすいとも感じられた。
音楽アプリはインストールが必要
音楽に特化したスマートフォンだけに、音楽再生機能が充実していることも期待できる。nubiaのウェブサイトを見ると、レコードプレーヤー風スキンのアプリで音楽を再生しているイラストが掲載されているからだ。
ところがnubia Musicには標準では音楽プレーヤーアプリはインストールされておらず、自分で好みのものを入れる仕様になっていた。低価格なスマートフォンのため専用アプリが開発されなかったのだろう。また、今や多くのユーザーがSpotifyなどストリーミング音楽を楽しむ傾向にもある。そのため、nubia独自の音楽再生アプリを搭載しなかったと考えられる。
YouTubeを大音量でスピーカーから流してみたが、音が割れることはなくしっかりと再生できた。屋外で周りに迷惑のかからない環境などで、音楽を流しながらバーベキューを楽しむ、なんて使い方は十分できるだろう。nubia Musicのターゲットは新興国であり、広場や電車の中などで音楽を聞くことが一般的な国では、この外部スピーカーは重宝されそうだ。
有線イヤホンが2つ使えるnubia Music。購入してすぐに友人と楽しもうと思った時に、イヤホンを追加で1つ買わなくてはならないとしたら面倒だ。だが、nubia Musicには標準で2つのイヤホンが付属している。
イヤホン端子が2つ並んでいるが、片側どちらかだけでも音楽の再生は可能だ。またヘッドフォンを2つ挿したからといって、音量が下がることもない。適度に2つの端子が離れているため片側だけの抜き差しも問題なかった。L字型のヘッドフォンを2つ使うことも問題ないだろう。
付属イヤホンはさすがにコストがかけられてなさそうで、低音部分は軽さが感じられ、音量を大きくすると高音域ではやや音割れしていた。だが、ストリーミング音楽を気軽に楽しむには十分であり、よりいい音質で聞きたい場合は別途市販のイヤホンを購入すればいいだろう。ただし、本体側にはハイレゾ再生機能などはないため、音質を追求する製品ではない。
カメラは割り切り設計、価格の安さが魅力
背面のカメラはメインが5000万画素、もう1つが補助レンズ。製品説明によるとAIカメラとのことで、深度測定用と考えられる。いずれにせよ5000万画素1つのみという割り切った設計なので、カメラの使用シーンも日常の記録を残す、といった簡単な用途に絞られるだろう。
カメラのUIもシンプル。デジタル望遠は静止画、動画どちらも4倍まで。動画は1080pで30fpsまでに対応。その他のモードには、プロモード、5000万画素モード、ナイトモードなど最小限ながら一通りの機能を揃えている。
以下は作例だ。明るい日中であれば十分な写真になる。ただし、被写体にあまり寄れないので、マクロ的な撮影や食事などはやや苦手。
nubia Musicは音楽を生活の一部として楽しむスマートフォンだ。価格が安いことからわかるように個々の機能を見ると性能は高くないものの、新興国の学生でも手の届く価格帯にすることで、nubiaの新たなファンを増やすこともできるだろう。
先進国での販売は期待できないが、nubiaの高性能カメラフォンなどの展開を見ていると、今後はハイレゾなどに対応した高性能音楽モデルが投入されるかもしれない。
東南アジアやアフリカの公園などで音楽を楽しんでいる若者たちの中心にnubia Musicがある、そんな光景がこれからよく見られるようになるかもしれない。
この連載の記事
-
第519回
スマホ
ドコモ以外からも売られる新らくらくスマホはガラケー的UIと進化した健康管理機能で勧めやすい1台 -
第518回
スマホ
モトローラの縦折りスマホ最高峰「motorola razr 50 ultra」は強化されたAIが楽しい -
第517回
スマホ
安く買えて普段使いに問題なし! バランスが良いオススメのミドルレンジスマホ3選 -
第516回
スマホ
カメラやAIの性能に違いはあるのか? Xiaomi 14Tと14T Proを使い比べてみた -
第515回
スマホ
日本発売が決定した可変絞りカメラ搭載のハイエンドスマホ「nubia Z70 Ultra」速攻チェック -
第513回
スマホ
4万円で買えるゲーミングスマホも! コスパに優れたデザインスマホ「realme 13」シリーズがアツイ! -
第513回
スマホ
100倍望遠が実用的なスマホ「vivo X200 Pro」はカメラ性能が変わらず最強だった -
第512回
スマホ
ツァイスカメラ搭載のスマホ「vivo V40」は可変色LEDライトでポートレート撮影も得意 -
第511回
スマホ
価格も性能も妥協したくない人にオススメの王道ハイエンドスマホ3選 -
第510回
スマホ
スマホは高くない! 2万円台で買えるオススメ格安エントリースマホ4選 - この連載の一覧へ