【タイ移住】仕事はパソコン1台でフルリモート!50歳でかなえたチェンマイでの理想の暮らし

文●杉山幸恵

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海外で収入を得る手段から住まい、語学力、ビザまで、移住に必要なこととは?

 数年前からフリーランスとして働いていたmariさんは、フルリモートワークへの移行もスムーズだったが、移住後に思わぬ誤算もあったという。

 「当初は自身のオンラインサイトの売上がそこそこあったので、その収入で生活しようと思っていたのですが、移住して間もなく売上が激減…。そこでチェンマイからクラウドワークスでフルリモートの仕事を探し、今は日本にある教育系企業のカスタマーサポート業務をしています。月曜から金曜、9時から17時まで、日本のカレンダーでの仕事で、私以外にも海外から働いている人がいる会社です。正直、オンラインサイトは売上に変動があったので毎日落ち着かなかったのですが、この仕事を始めたことで定期的に収入があるので穏やかに暮らすことができています(笑)」

 現在はカスタマーサポート業務をメインとしながら、そのほかの業務委託、わずかではあるがオンラインサイトの売り上げを含め、月の収入はだいたい22~28万円だというmariさん。では、それに対してチェンマイでの1か月の生活費はどのくらいなのかも教えてもらった。

1 THB(タイバーツ)=4.5円(2024年11月時点)

◆家賃(家具・家電付き) 11,500THB

◆水道光熱費 1,000 THB

◆通信費(家のWi-Fiと携帯電話)  1,000 THB

◆生命保険(日本の住民票を抜いたため、タイで民間の保険に加入) 2,200 THB

◆食費(ほぼ自炊)+雑費 6,000 THB

◆毎週のマッサージ 2,000 THB

◆ネイルサロン(3週に1回) 500 THB

◆外食費 3,000 THB

月額合計:27,200THB(約12,2000円)

 「今は息子2人も成人して独立したので、私一人にかかる金額で、これに加えてタイの銀行の投資信託に毎月積み立てを10,000THB、また日本の年金を払っています。以前は3人で10万円ちょっとだったのですが、円が安くなってしまったので今は12万円超えるくらいですね。とはいえ、毎月2~8万円ぐらい残るのでこれは旅行用に貯めて、タイ国内外を2、3か月に1回の割合で旅しています」

 mariさんが現在、暮らしている家賃が11,500THB(約52,000円)という住まいだが、なんと140平米で4ベッドルーム、3バスルームというから驚きだ。チェンマイの街の中心からバイクで10分ほどの住宅街にある3階建てのタウンハウスだそう。閑静で住環境もいいエリアだが、「タイ語が話せない場合は、旧市街やニマンヘミンなどが最初は住みやすいと思います」とのこと。

 「観光客が多いエリアならエアビーという選択肢も。1か月単位で借りられる物件もありますし、長期契約になれば家賃が安くなります。一人暮らしなら10,000THBほど出せば、ジム・プール付きの新しいコンドミニアムも見つかるはず。外国人でもパスポートと長期滞在ビザだけで借りられる物件が多く、日本人は特に信用があるので、家主さんも喜ばれるのでは。またチェンマイには公共の交通機関がないので、バイクや車を所有するか、買い物がしやすいエリアに住むことをおすすめします」

一面が窓になっているのでいつも明るいというmariさんのベッドルーム。「キングサイズのベッドに一人で寝るのがとても快適」とのこと。

仕事はリビングルームで。外国人向けに貸し出されている物件のため、ブッダのイメージが家のいたるところに

賃貸ながら家具付きだったため、mariさんがで購入したのは大きな鏡とこのサイドボードの2つのみ。タイや旅先で買った食器などを並べているそう

 タイ語の話題が出たところで、現地でどれくらいの語学力が必要なのか、mariさんのケースを参考として聞いてみた。

 「私のように自宅で日本の仕事をするなら、タイ語や英語が必要になるのは買い物の時ぐらいです。ただ、これも指さしや簡単な英語で通じますし、翻訳アプリもあるので、それほど語学について心配する必要はないのかなと。言葉は長期に滞在していくうちに自然に身についていくものですしね。タイ語の簡単な会話の本を読む程度で最初は充分だと思いますが、タイ語は発音が難しいので、現地で話しながら学ぶのが一番です。タイ人である夫との会話は日本語だったので、タイ語は本当に日常会話程度で、タイ文字も読めません(笑)。英語も日常会話程度ですが、チェンマイには欧米の長期滞在者が多く、チェンマイで友人を作りたいので今は英語を独学しています」

 もちろん現地の企業に勤めるなら高いタイ語力が必要になってくるが、そもそもタイ国内で就労するのは駐在員もしくは、労働許可証の取得ができる長期居住者ビザを取得した者がほとんど。一般的に取得できるビザの多くは、タイでの就労は認められておらず、国外からの収入に限られている。しかしながら、ビザの種類も多岐にわたっており、日本人にとって長期滞在や移住しやすいのが魅力だ。

 「私は配偶者ビザなので今は1年ごとに更新する限り、タイに滞在することができます。ポピュラーなのはリタイアメントビザですね。50歳以上で年金相当の収入証明が見込めれば、タイに住むことができます。また年金受給者ではない50歳以上が対象のロングステイビザもあります。さらにお金に余裕があるのならば、取得費用が数百万円ほどしますが最長20年間滞在できるというタイランド・プリビレッジ(タイランドエリートビザ)も人気。ただし、いずれもタイ国内で就労することはできません。最近人気なのは子供の教育ビザで親もついてくる、というパターンでしょうか。チェンマイは安くて質の高いインターナショナルの学校がたくさんあるので、親子留学される方が多いですね。私のブログにも親子留学を検討されている方からよくコメントをいただきます」

 さらに2024年には、デジタルノマドやリモートワーカーを対象としたデスティネーション・タイランド・ビザが新設。50万バーツ相当以上の残高証明が必要など条件はあるが、20歳以上であれば取得でき、180日間滞在できるのでお試し移住をするにも最適だ。

 「タイではビザの種類や収入証明の金額などがよく変更になるので、最新の情報はタイ領事館の公式サイトをご確認ください。いずれにしても私のおすすめは移住前にフルリモートできる仕事を日本で見つけておくことですね。今は一般的な仕事の経験があり、パソコンが使えれば、そういった仕事がたくさんあります。安定した日本からの収入があれば、まとまった金額がなくても、タイに一定期間滞在することができるでしょう」

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