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旅の達人が伝える! スマートトラベラーへの道 第70回

いつだって僕らは旅に出たい

「青春18きっぷ」どう"改悪"? 実は普通の乗車券でも、お得に乗れる裏技があったりします

2024年10月30日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス/ASCII

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大騒ぎとなっている「青春18きっぷ」のリニューアル。とはいえ類似した"乗り放題きっぷ"が結構出ていたり、単なる普通乗車券にだって見落とせない魅力があるんです

 JRグループから、旅人界隈を騒然とさせる案内が発表されました。それが10月24日に発表された「青春18きっぷ」のリニューアルについてです。今回のリニューアルは、これまでの節約旅行やお得な旅スタイルを根本から考え直さなければならない、大々的な変更となっています。

 「青春18きっぷ」は、全国のJR線の普通列車・快速列車に乗り放題のフリーパスです。年齢制限なしで"1日乗り放題"を5日(回)ぶん楽しめるので、使い方によっては究極にお得な切符として長年旅人に愛されてきました。

「青春18きっぷ」は切符に5ヵ所、日付のスタンプを入れてもらうスペースがあり、当日、駅改札口で日付印を入れてもらうとその日の間は乗り降り自由になる、という仕組み

●改悪1 期間中いつでも乗車→連続乗車のみになる

 青春18きっぷのいちばん大きな変更点は、これまで利用期間内であれば日付を分散して5日間いつでも乗車できたのが、利用開始から「連続5日間」に限定されたこと。18きっぷ購入時に利用開始の日付を指定して、そこから5日間、JRの普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)およびJR西日本宮島フェリーが乗り放題となります。

 また、「5日間用」(販売価格1万2050円)だけでなく、新たに「3日間用」(販売価格1万円)が発売されました。販売期間は11月26日から2025年1月8日までです(5日間用は25年1月6日まで)。

分散利用可能から連続5日間、または連続3日間と運用が変わります

●改悪2 複数人での利用ができなくなる

 これまでは分散利用ができたため、青春18きっぷを今週末に2回使い、来週末に3回使うなど、週末を使った旅を2度するといった使い方ができましたが、それが出来なくなります。筆者の場合は1度の旅で使うことが多いのですが、5日間電車に乗り続けるのは辛いので、途中下車して知らない町を数日探訪し、身体を休ませながら長距離移動するといったスタイルを楽しんでいました。しかし、新ルールでは乗らない日も利用日としてカウントされてしまうため、休んだ回数がムダになってしまいます。

 また「連続5日間」への変更に伴い、これまで可能だった「複数人」での利用も対象外になります。

 例として、宇都宮駅からディズニーランドのある舞浜駅までJRだけで行くと、通常料金は片道2310円なので往復で4620円かかります。青春18きっぷの料金は5回分1万2050円ですので、5人グループの場合、料金はひとり2410円。従来のルールであれば、これを5人で使うことで、約半額で日帰りディズニー旅行ができたわけですが、こういった使い方も塞がれてしまいました。

●18きっぷと組み合わせて激安海外旅行を楽しんでいた人にも影響

 この「連続5日間」と「複数人利用不可」の影響は、国内鉄道旅に留まりません。たとえば以前の連載記事「激安! 青春18きっぷ+フェリーで韓国・釜山へ行ってみた」で紹介した、韓国・釜山行きのフェリーで行われていた青春18きっぷ割引キャンペーンがそれ。今夏は同様の半額キャンペーンが大阪と釜山を結ぶ「パンスタークルーズフェリー」で実施されていました。

釜山へのフェリーで適用されていた割引キャンペーンがもしこの冬に開催されたとしても、お得度はかなり下がりそう

 このキャンペーンが、もしまた開催されたとしても、新ルールでは「連続5日間」なので、韓国に滞在している日数がムダになってしまいますし、フェリーの発着所までグループ移動する際にも利用できず、お得度はかなり下がってしまいそう。

 そのほか、移動の多い筆者は、地方空港発の国際線航空券が格安だった場合、最も近い羽田空港をスルーし、地方空港までわざわざ青春18きっぷで行ってから飛行機に乗るという、フリーランスの強みを活かした旅バカテクを使っていましたが、連続5日間という縛りで、それも旨味は小さくなってしまいました。

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