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業務を変えるkintoneユーザー事例 第250回

老舗の食品原材料商社がkintoneで始めた営業DX

誰にも求められてなかった「サイボウズ Officeからの引っ越し」 でも設定変更ひとつで評価は一変した

2024年10月28日 11時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp  写真●サイボウズ

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「アプリは見た目が100%」、ひとつの設定変更で評価は一気に変わった

 寺西氏の反省は、確かに要件通りには作ったが、“要件の行間”は読まず、結局は自分好みに作っていたことだ。社員のサイボウズ Office愛を甘くみていた。

 さっそく、徹底的にサイボウズ Officeらしさを意識して、SFAを大幅にリニューアル。アドレス帳では、項目名や並び順、一覧検索機能、デザインテーマなどなど、細かいところまでサイボウズ Officeに近づけた。

徹底してサイボウズ Officeライクにこだわる

「デザインテーマは標準のグレーから安心の“サイボウズ Officeカラー”に変更しました。デザインを変えるのは一分で済むのですが、それだけで周りの評価が一気に変わったのです。アプリは見た目が100%。これが今回一番伝えたいことです」(寺西氏)

デザインテーマも安心のサイボウズ Officeカラーに

 全然起票されなかった問い合わせアプリも、チャットのような気軽さで投稿できるようUIを改修した。対象のアプリ名と問い合わせ内容を書くだけにして、入力のハードルを下げた。

従業員側のUIの入力ハードルを下げた

 

 こういった工夫を重ねることで、社員の反応も優しくなっていき、営業部門からは「案件もれがなくなった」「見える化することで引き継ぎが楽になった」といったうれしい声ももらえた。「紆余曲折あった導入ですが、たくさんの学びを得られました。営業DXという目的に対する変化は理解してもらう必要がありますが、それ以外はできるだけ現行維持したほうが、ストレスがない場合もあることを知りました」(寺西氏)

 kintone2年目となる今後は、帳票プラグインで営業の見積書を自動出力させることで、年間8667時間の削減(見積作成1回あたり10分削減計算)を目指すという。寺西氏は、「最終目標はサイボウズ Officeと同じくらいkintoneアプリも愛してもらうことです」と締めくくった。

 プレゼン後にはサイボウズ 名古屋オフィスの三谷菜穂美氏から質問が飛んだ。

三谷氏:要件と要件の行間を読むというのは新しいノウハウですが、どういったことを心得ておくべきでしょうか?

寺西氏:やはり営業部門と情シス部門では、見ている場所が全然違います。加えて営業部門はkintoneで何ができるかすべては分からないため、要件も最低限になってしまいます。そこで、営業部門のフロアで営業さんと同じものを見たり、会議に一緒に出ておなじところで考えたりと、徹底的に営業さんに寄り添うことを心掛けました。

アフタートークの様子

三谷氏:サイボウズ Officeに見た目を合わせて、不要な変化を起こさないことがポイントでしたが、kintoneで新たにできるようになったことはありますか?

寺西氏:構築で一番便利だったのが「関連レコード」機能です。アプリでも情報は分断されますが、キー項目を整備するだけでひとつの画面にいろいろな情報を載せられるのが、kintoneならではだと思いました。

 

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