4G周波数を5Gに転用してきたKDDI
KDDIでは、すでに全国展開されている4Gの周波数帯を5Gに転用していくという計画を立てた。それにより、通信速度は必ずしも高速ではないが、広く面展開できるメリットがあった。
実は5G向けに割り当てられた「Sub6」と呼ばれる周波数帯は、5Gがスタートした2020年当時、衛星と地上局の通信でも使われており、干渉が起きてしまって、満足に使えないという状況があった。
Sub6に対応した5G基地局を建設するものの、衛星との通信と干渉しないよう、出力を下げる、電波が飛ぶ向きを下向きにするなど実力を発揮できない状態が長く続いていたのだ。
KDDIではSub6の基地局を地道に建設し続け、業界最多となる3.9万局を数えるまでになった。
今年になって、衛星の地上局が別の場所に移転したことで、干渉が緩和。Sub6の出力を一気に上げ、エリアを2.8倍までに拡大することに成功した。
「4G周波数帯の転用」「衛星の干渉緩和」という点においては、KDDIもソフトバンクも状況はあまり変わらない。ただ、KDDIはSub6の周波数帯を2ブロック、合計200MHz幅持っている。この周波数の幅が広いということはそれだけ大量のデータを一気に流せるというわけだ。
一方のソフトバンクは1ブロック、100MHz幅しか持っていない。
今後、新たにソフトバンクに対して周波数帯を割り当てられる可能性もあるが、KDDIの前田氏は、「仮にソフトバンクが4.9GHz帯を獲ったとしても、4.9GHzは既存の事業者が多く使っている。そのため、(別のところに移動してもらうための)移行期間、費用がかかると認識している。すぐに2波を使うのはなかなか難しいのではないか。また、(すでにソフトバンク所有する)3.7GHzと割り当てられる4.9GHzは、から離れている。KDDIは3.7GHzと4.0GHzは近いので、小型装置ひとつで展開できる。ここはしばらく優位性が出るのではないか」と語る。

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