明大・北大・九大などで大規模導入実績、生成AIアシスタント機能の日本語対応に合わせ本格始動
“脱ビッグテック”の狼煙 OSSコラボレーション基盤「Nextcloud」が日本で本格展開
2024年10月16日 13時00分更新
日本の企業導入を支えるSler、OSSであることを強みに独自ポジションの確立へ
Nextcloud Hubを導入・運用するうえでは、サーバー構築などの知見が求められるため、多くの組織ではSlerなどによるサポートも必要となる。特に、プラチナパートナーとして2017年からNextcloudと提携するスタイルズは、企業向けエディションの販売、日本語での保守サポート、構築などを担う。有償の企業向けエディションである「Nextcloud Enterprise」は、企業向け機能やNextcloudおよびスタイルズによる保守サポートが提供される。
これまでスタイルズが導入を手掛けた企業・組織の数は、大学・研究機関を中心に80組織に上る。同社の⽮野哲朗氏は、「サービス(SaaS)ではないため、ユーザーの環境に合わせて導入できるのがNextcloudの一番の強み」と説明する。
例えば、明治大学や北海道大学においては、3万人規模でのNextcloud Hubの利用環境を構築しており、その他にもオープンソースの柔軟性と透明性を評価する行政や建設業における導入も支援しているという。
ストレージ領域に強みを持つエクサ(JFEスチールから分社して、日本IBMが資本参加することで生まれたSler)は、Nextcloud Hubと日本IBMのストレージ製品で、九州大学の研究データ管理システム「QRDM」を構築している。
同大学は、Nextcloudによって、直観的で使いやすく、様々なデバイスに対応するデータ共有環境を実現。Nextcloudは、NII(国立情報学研究所)で正式にサポートされているため、研究データ基盤ともスムーズに連携する。また、IBMストレージのEasy Tier機能によるデータ最適配置でコストを削減、その他にも、IBM Storage ScaleのAFM機能で、キャンパス間の非同期コピーによる災害復旧(DR)対策を、テープライブラリの導入によって、長期データ保全とランサムウェア対策を実現しているという。