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グローバルローンチは10月24日予定

Arrow Lakeこと「Core Ultra 200S」予約開始!半分の消費電力で第14世代と同等の性能?

2024年10月11日 00時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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パワー半分でも第14世代と同等性能?

 残念ながらまだ我々メディアがCore Ultra 200Sシリーズの性能を評価する段階ではないので、インテルの資料からパフォーマンスを読み解くことにしよう。

 Core Ultra 200Sシリーズは前世代よりも低消費電力・低発熱を達成しつつもパフォーマンスも確保するという非常に難しいテーマのもと設計されている。低消費電力・低発熱は言うまでもなく第13・第14世代の失敗を踏まえての新方針ではあるが、今回のCore Ultra 200SシリーズはSMTを採用していない。これまで以上に設計ハードルの高いCPUであるが、そこで出てきたキャッチコピーが「低発熱でより高効率なゲーミングCPU」というものである。

 下図はそのことを表現した資料なのだが、そこに「Raptor Lake-R(Refresh)と同じ性能を半分の電力で」という記述がある。つまり純粋なベンチマークのスコアではなく、ワットパフォーマンスに大きく舵を切った(切らざるを得ない)ということだ。

 ちなみに、今回のインテル発表資料の隠れた見どころはCore Ultra 9 285Kにのみフォーカスし、比較対照はCore i9-14900KとRyzen 9 9950Xや7950X3Dに限定しているという点だ。AMDはRyzen 9000シリーズ発表時の資料にセグメントごとにライバルとの対決を細かくいれてきたが、インテルは頂上対決のみに絞られている。敵軍の将を討ち取れれば十分、というわけだろうか?

低発熱でより高効率なゲーミングCPUというキャッチコピーよりも、第14世代と同じ性能を半分の電力で、という記述が目をひく。2つめに「最高のマルチスレッド性能」という記述もあるが、これはTDP 125W設定に限定しての話なので注意

パフォーマンスという観点ではPackage Powerを最大40%削減させつつ前世代からのマルチスレッド性能は15%以上引き上げ。ゲーム中の温度を10℃程度下げつつ、AI処理の加速や最新の動画コーデックに対応するなど、ユーザー体験もしっかり引き上げてますよ、というアピール

処理の並列度が低めの処理をCore i9-14900KとCore Ultra 9 285Kで実行した場合、285Kのほうが14900Kの6割程度の電力(CPU Package Power)になるという主張。ただしこれは両CPUをTDP 125Wで運用した時のもの。そして具体的なパフォーマンス(スコア)的なものは評価されていない。同じ仕事をさせた時の消費電力が低いというだけのデータだ

今度はRyzen 9 9950Xも交えた比較。Core i9-14900Kを100%(白の横線)とした場合、CINEBENCH 2024のシングルスレッド性能はRyzen 9 9950Xは102%なのに対しCore Ultra 9 285Kは108%。Core i9-14900Kに対しては平均8%、Ryzen 9 9950Xに対しては平均4%高速であるという。ただし、これはTDP 125W設定に統一した時の値である

こちらはマルチスレッド性能についての比較。Core i9-14900Kに対しては平均15%、Ryzen 9 9950Xに対しても平均13%高速であると謳う。こちらもTDPは125W設定だが、Core Ultra 9 285Kの論理コア数は24基であり、Ryzen 9 9950Xの32基に対して少ないのにこの差が出ているという点が重要だ

Core Ultra 9 285K/ Core i9-14900K/ Ryzen 9 9950Xのマルチスレッド性能(CINEBENCH 2024)の比較だが、横軸は消費電力(CPU Package Powerか?)である。Core i9-14900Kが250W消費して出したスコアと、Core Ultra 9 285Kが125W消費して出したスコアが同じであるという意味になる。Ryzen 9 9950Xだと170Wあたりと同等のようだ。ただし左下にあるとおりTDPは125Wであるという但し書きがあるため、この結果はリアルな検証結果とはかなり異なる可能性がある

 気になるゲーミング性能だが、ここでも消費電力を絡めて検証している。検証に使用したゲームは全部で14タイトルだが、うち6タイトルはCore i9-14900Kと同等(この資料では差が3%以内を表現している)、4タイトルはCore i9-14900Kのほうが性能が高く、4タイトルはCore Ultra 9 285Kのほうが高い。

 劇的な性能向上を夢見ていた人にはショッキングな結果だ。ただ、ゲームによっては150W以上も消費電力が低くなったものもある、というのが救いだろう。ちなみに次の図はCore Ultra 9 285KはPL1=PL2=250W設定、Core i9-14900KはPL1=PL2=253W設定(恐らくPerformance Power Delivery Profile)なので割と現実的な設定でのテストになっている。

Core Ultra 9 285KとCore i9-14900Kによるゲーミング性能(フレームレート)比較。±3%以内の結果は“Par(同等)”と表現している点に注意。純粋に性能でCore i9-14900Kを上回っているのは「Warhammer: Space Marines 2」より右の4タイトルだけだが、システム全体の消費電力は最大165W減っているという。ちなみにGPUはGeForce RTX 4090を使用している

ゲーム中の消費電力にフォーカスした比較。7本のゲームの平均では73W低いという結果に。なぜ前掲のグラフと同じゲームにしないのか、やや疑問の残るデータである。また、Core i9-14900Kの設定はBaselineとあるが、これは前のグラフと同様にPL1=PL2=253W設定の間違いだと思われる

ゲーム中のCPU温度にフォーカスした比較。Core i9-14900KよりもCore Ultra 9 285Kのほうが平均で13℃低い温度でプレイできるという。こちらもPL1やPL2は前のグラフと同じ設定である

Core Ultra 9 285KとCore i9-14900Kを同じPL1/ PL2設定にして、7本のゲームでのパフォーマンスを比較した時のグラフ。125W/ 175W/ 250Wどの設定においても、Core i9-14900Kと同等の性能が得られるということで、小形ゲーミングPCのCPUに最適という話になる。ただ250Wにすると論理コア数の多いCore i9-14900Kのほうが誤差レベルだが上回るという結果がなんともリアルだ

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