このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

eSports王者がリアルレースに挑戦! 冨林勇佑選手のSUPER GT参戦記 第5回

GT500のau号は4位でランキング首位を死守

雨で予選中止のSUPER GT 第6戦! ウェット路面でグランツーリスモ王者の冨林が粘りの走り

2024年10月05日 15時00分更新

文● 吉田知弘 写真●加藤智充 編集●ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
SUPERGT

 2024 SUPER GT 第6戦が9月21~22日にスポーツランドSUGOで開催。ウェットからドライに変わる難しいコンディションとなったレースは、GT500クラスは37号車「Deloitte TOM'S GR Supra」、GT300クラスは65号車「LEON PYRAMID AMG」が、それぞれ優勝を飾った。

 GT300クラスに参戦しているグランツーリスモチャンピオンの冨林勇佑が乗る9号車「PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG」は、粘り強く追い上げて14位完走を果たした。

SUPERGT

PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG

台風のため予選がキャンセルに
練習走行のタイムでグリッドが決まった

 8月末に予定されていた第5戦鈴鹿大会が、台風10号の影響により12月に延期され、このSUGOがシリーズ5戦目として開催された。しかし、新たな台風も接近してきていた影響もあり、金曜日から不安定な天候だった。

SUPERGT

 土曜日になると状況はさらに悪化し、朝の公式練習ではアクシデントと天候不良で何度も赤旗中断になり、最終的にGT300クラスの専有走行途中でセッション終了となった。

SUPERGT

予選1位でポールポジションを獲得した20号車「シェイドレーシング GR86 GT」

SUPERGT

20号車のドライバー。中左が平中克幸選手、中右が清水英志郎選手

 午後になっても天候は回復せず、予選も開始時刻を遅らせて様子を見ることに。それでも状況は好転せず、15時15分すぎに予選キャンセルが発表された。決勝グリッドは朝の公式練習をもとにスタートグリッドが決められることとなった。

決勝は1時間遅れでスタート
スリックとウェットのタイヤギャンブル勃発

 決勝日も朝から強い雨に見舞われ、サポートレースのFIA-F4もセーフティカー先導の状態でレース終了となるなど、前日よりも難しいコンディションに。お昼になっても天候の回復が見込めないことから、スタート時刻を予定よりも遅らせることが通知された。雨で寒い状況ではあったものの会場には多くのファンが集まり、スタートの瞬間を待った。

SUPERGT

 そして、13時00分を過ぎると雨脚が弱まり、予定より約1時間遅れでのスタートが決定。各車がグリッドについた頃には雨が止み、路面が少しずつ乾き始めていた。この先、まとまった雨が降るという予報がなかったこともあり、各チームともタイヤ選択で悩み、GT300クラスの中には早々に路面が乾くと踏んでスリックタイヤを履くチームもいた。

SUPERGT
SUPERGT

 冨林がスタートを務める9号車は、直前のウォームアップ走行で手応えを掴んだというハード側のウェットタイヤを選択。路面がある程度乾いても対応ができるタイヤでスタートを迎えた。

 「最初は良かったんですけど、途中からキツくなり始めて、これは苦しいな……という感じでしたが、FCYとSCのおかげで(タイヤのグリップが)復活しました。逆に周りがキツくなっていたので、順位を上げていくことができました」と冨林。

SUPERGT

 24周目に13番手に浮上すると、その後も着実に順位をあげていき、38周目にはポイント圏内に進出した。この辺りから、スリックタイヤを求めてピットインする車両も出始めたが、まだコース全体が完全に乾き切っていないこともあり、バックストレートでアクシデントに見舞われた車両が発生した。

 FCY(フルコースイエロー)が出ると予想した各チームは一斉にピットイン。ここで9号車もピットインを試みたがタイミングが合わず、コース上に留まることになった。3番手でレースを再開すると、周りがスリックタイヤという状況のなかでも力強い走りを披露。52周目にピットインし、相棒の阪口良平にバトンをつないだ。

SUPERGT

冨林選手

SUPERGT

阪口選手

ポイント獲得ならずもトラブルなく完走

 終盤も粘り強く戦い、最終的に14位でフィニッシュ。ポイント獲得とはならなかったが、大きなトラブルなく走り切れたという点では、ひとつ前進した結果だった。

SUPERGT

 「うまくいけばポイントも獲得できそうなくらいの走りをしていました。タイヤも最後は溝がかなり減っていましたけど、ちゃんと持ってくれましたし、ペース良く走ることができました。本当にちょっとした噛み合わせだと思います。久しぶりにSUPER GTでレースしたな! という感じでした」と笑顔を見せていた冨林。

 次戦のオートポリスではサクセスウェイトが少ないのでかなり有利な状況で戦えるため、さらなる活躍に期待がかかる。

 なお、GT300クラスは前述のとおり65号車が優勝、2位に45号車「PONOS FERRARI 296」、3位に777号車「D'station Vantage GT3」という順位になった。とくに45号車のリル・ワドゥー選手の女性ドライバー2位表彰台はSUPER GTという名称になってから初の快挙。参戦初年度ということを考えると、さすがフェラーリのファクトリードライバーだ。

SUPERGT

優勝した65号車

SUPERGT

初表彰台の45号車

SUPERGT

今季2度目の表彰台でランキング3位につけた777号車

SUPERGT

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ