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最新パーツ性能チェック 第450回

Ryzen 9000シリーズの成長を見守る

AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか?

2024年09月27日 18時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●北村/ASCII

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パフォーマンスは改善するのか?

 AGESA 1.2.0.2でレイテンシーが改善するのであれば、性能も向上すると考えるのが自然だ。まずは「CINEBENCH 2024」でAGESA 1.2.0.2導入前・後の性能に差がつくかを確認する。デフォルトの10分余熱した後にスコアーを算出するモードで計測している。

CINEBENCH 2024:スコアー

 AGESA 1.2.0.2導入後はRyzen 9 9950Xのマルチスレッドのスコアーが8ポイント上昇しているが、この程度の差は誤差と片付けてもい微妙な差だ。シングルスレッドのスコアーに至ってはまったく動いていない。Ryzen 9 7950Xに関してもAGESA 1.2.0.2導入前・後でスコアーに変化はないと言っていいだろう。

 次は「Handbrake」による動画のエンコード時間だ。ソースファイルは4K@60fps、再生時間約3分のMP4ファイルであり、これをHandbrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”を利用してMP4動画に出力する時間を計測した。

Handbrake:エンコード時間

 こちらもCINEBENCHのスコアー同様にAGESA 1.2.0.2導入前・後で差は観測されなかった。CCD間のレイテンシーが劇的に改善されたということはマルチスレッド性能に影響があると考えがちだが、CCD間でデータを参照し合うような処理でもない限りAGESA 1.2.0.2の効果は得られない。Handbrakeはまさにこうしたアプリの一つといえる。

 ここでシステムやCPUの消費電力に変化があるかどうかも確認しておこう。Handbrakeでのエンコード処理中にHWBusters「Powenetics v2」を利用して計測した。システム全体の消費電力はATXメインパワー/ EPS12V/ PCIe 8ピン/ PCIe x16スロットに流れる電力の実測値、CPUの消費電力とあるものはそこからEPS12Vケーブルに流れる電力の実測値となる。

 また、グラフ中の高負荷時(つまりエンコード時)平均値・99パーセンタイル点(99%ileと表記)・最大値をそれぞれ比較している。また、アイドル時は3分間計測した平均値のみを見ている。

システム全体の消費電力

CPUの消費電力

 Ryzen 9 9950XではAGESA 1.2.0.2導入後に微妙にシステム全体の消費電力が下がっているものの、CPU単体の消費電力を見ると消費電力は大きく変わっていない。つまりCPUの仕事量自体は変わってない。システム全体の消費電力の差は誤差の範囲内と言えるだろう。Handbrakeのエンコード性能に差がないのだから、CPUの消費電力も差がないというのはごく自然な結果だ。

超高負荷でない方が効果がある?

 ここでは「UL Procyon」を利用し、「Photoshop」と「Lightroom Classic」を動かす“Photo Editing Benchmark”で比較する。このベンチマークではPhotoshopをメインに動かすImage Retouchingテストと、Lightroom Classicをメインで動かすBatch Processingの2本で構成され、性能をスコアー化するものだ。これまでの検証から、Image Retouchingはシングルスレッドが、Batch Processingはマルチスレッド性能が影響しやすいことがわかっている。コア間レイテンシーが効くとすれば後者だろう。

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのスコアー

UL Procyon:Photo Editing Benchmarkのテスト別スコアー

 AGESA 1.2.0.2導入後のRyzen 9 9950Xでは総合スコアーにおいて2%程度伸びたが、伸びた理由はBatch Processingのスコアーが伸びたためだ。これはマルチスレッド性能が重要であること、AGESA 1.2.0.2でコア間レイテンシーが改善されたことで、マルチスレッド性能が影響しやすいLightroom Classicのパフォーマンスが向上したことと関連がありそうだ。

 シングルスレッド性能が重要なImage RetouchingではAGESA 1.2.0.2導入前・後でほとんど変化しておらず、Batch Processingの伸びだけで総合スコアーを押し上げている。一方Ryzen 9 7950XではBatch Processingテストのスコアーが変化していないが、これはコア間レイテンシーがRyzen 7000シリーズでは変化していないことと連動していると考えていいだろう。

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