手術支援ロボットを開発するF.MEDが、NEDOのディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)に採択
F.MED株式会社
マイクロサージャリー支援ロボットを開発するF.MED株式会社(本社:福岡県福岡市、代表取締役:下村景太、以下「F.MED」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO)が公募した2024年度第4回「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)」に採択されました事をお知らせ致します。
ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)
NEDOは、技術の確立や事業化・社会実装までに長期の研究開発と大規模な資金を要し、リスクは高いものの国や世界全体で対処すべき経済社会課題の解決にも資すると考えられる革新的な技術の研究開発に取り組んでいる「ディープテック・スタートアップ」を対象とした、助成事業の公募を行っています。VC等との協調やステージゲート審査の活用を制度上盛り込み、長期的視野でもって、実用化研究開発や量産化実証、海外技術実証などへの支援を行います。
2023年度においては、DTSU事業で計3回分の応募受付と審査を行い、55件で総額約308億円分の採択を行いました。
2024年度においては、4回の応募受付と審査によりDTSU事業で約200億円分を採択する予定であることに加え、新たに着手するGX事業において約300億円分を採択する予定です。
参考:「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)」に係る第4回公募及び「GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業(GX)」に係る第1回公募について」
https://www.nedo.go.jp/koubo/CA2_100460.html
マイクロサージャリー
マイクロサージャリーは顕微鏡を使い、直径1mmに満たない血管や神経などを手作業で縫って繋いだり、腫瘍を摘出したりする手術の技術です。例えばがん治療の後遺症であるリンパ浮腫の治療や、がん手術や事故で生まれた体の欠損を移植で治す、あるいは詰まりそうな血管を回避するための迂回路(バイパス)の作成など、人の生活の質(QOL)や予後を劇的に改善させる手術に活用できます。一例として世界に2.5億人の患者が存在するとされるリンパ浮腫の場合、現在主流である徒手的なマッサージやストッキング装着などにマイクロサージャリーを活かした外科的な治療(リンパ管静脈吻合)を加えると、大きな改善が見込まれるとされています。
しかし、細かな作業をする際に生理的な現象として発生する手振れを制御しつつ、マイクロサージャリーに求められるごく繊細な器具操作を習得することが非常に難しいという技術的課題があります。その結果、実施できる医師が限られているのが実情です。また、既存の手術支援用ロボットでもマイクロサージャリーに求められるごく細かな作業には対応できていません。
マイクロサージャリー支援ロボット
F.MEDは独自に開発した、リニアモータを活用して駆動する微細作業用マニピュレーターを搭載したロボットでこの課題の解決を目指します。ロボットは医師が操作し、微細作業用マニピュレータがその操作を例えば20分の1等に縮小し、かつ手振れを制御して忠実に再現し手術を実施します。ロボット支援によりマイクロサージャリーに求められる極微細な器具操作がよりやりやすくなり、手術成績や安全性の更なる向上への貢献が期待できます。また、今までは習得に年単位の期間が必要だった訓練期間も大幅に短縮できると期待できます。その結果、多くの患者さんのQOL改善や社会生活復帰に貢献するだけでなく、医師不足解消や生産性の向上にも役立つと考えております。
今後の展望
現在製品は開発中の段階ですが、今回採択された補助金を活用して開発を促進し、早期に医療機器承認取得を完了させ、患者さんのQOLや予後の改善に貢献できる様に引き続き取り組んで参ります。
まずは安全かつ有効に動作するロボットを患者さんの治療に使って頂ける状態とします。将来は遠隔医療や術者の判断支援など、使いやすく、手術の安全性や有効性をより高められ、医療技術の標準化にも貢献できる付加機能の開発にも取り組む計画です。
【会社概要】
社 名:F.MED株式会社
本社所在地:福岡県福岡市博多区中洲5−3−8 アクア博多5階
共同設立者:下村 景太(代表取締役)、小栗 晋(取締役)
設 立: 2021年3月
資 本 金:3億809万円
事 業 内 容:マイクロサージャリー支援ロボットをはじめとした医療機器の開発
HP:https://f-med.co.jp