スポーツチーム、アスリート向けのスポーツ総合展示会「Japan Sports Week」ブースレポート
筋肉、体の動きを可視化し、データ活用 最新のスポーツテック展示
2024年10月02日 11時00分更新
2024年7月3日~5日、東京ビッグサイトでスポーツチームとアスリート向けのスポーツ総合展示会「Japan Sports Week」が開催された。同イベントには、話題のスポーツビジネスや、スポーツ分野での活用が期待されるテクノロジーが数多く登場。今回は、その中から注目のブース展示をピックアップしてみた。
マーカーレスモーションキャプチャー「THEIA」
モーションキャプチャーや3次元動作解析システムの開発、展開する企業「アーカイブティップス」のブースでは、マーカーレスモーションキャプチャー「THEIA」が展示されていた。
マーカーレスでのモーションキャプチャーは、エッジ検出(画像内の輪郭を抽出する技術)でデータを取得するタイプが一般的。しかし、同ソフトウェアは、マルチビデオの映像を基に、自動AIラベリング機能で骨格モデルを作成する方法を用いている。衣服や体形に左右されず、また屋外でも利用しやすいのが利点だ。
また、アーカイブティップスでは近年注目されている、筋肉の酸素飽和度を計測するセンサーも展示。約5センチ四方のコンパクトなサイズで、体に装着して運動することで酸素飽和度をリアルタイムで取得できる。
筋肉の活動を可視化「Muscle Tracker」
電子部品の開発、製造、販売する「SMK」のブースでは、センサーを用いて筋肉の活動状況を可視化する「Muscle Tracker」を展示。
体に筋電センサーを装着して運動をすることで、筋肉が動くことで生じる微弱な電波を受信。その情報を解析し、筋肉の活動率をグラフという目で分かる形に変換することができる――という技術だ。
筋肉がどのように動き、どのように疲労が蓄積していくのかといった情報を得ることができるため、例えばスポーツの試合で活用したり、コーチングツールとして利用したりできる。他にも、健康管理にも応用が期待されている技術だ。
試合映像を3D、VR化する「GameVision360」
スポーツテック事業を展開するスタートアップ「ハシタス」のブースでは、試合映像を3D、VR化するツールを展示。一般的な俯瞰での試合映像とは異なり、選手視点で試合状況を振り返ることができるのが大きな特徴だ。
立体的かつ臨場感のある映像で試合の振り返りを行うことができ、従来よりも効果的な指導が可能になる。また、その場に立っていなかった選手でも、試合に参加しているような感覚で試合の振り返りができる。同サービスは2024年12月にリリース予定となっている。
導入チームが増加中の試合会場を盛り上げる演出システム
映像から音響、照明などのシステムを手掛ける「ASCENT」は、スポーツ演出システムを展示。中でも注目を集めていたのが、CGグラフィックエンジンと得点入力アプリケーション、低遅延でのライブ配信が可能なサイネージシステムを組み合わせた、アリーナの演出システムだ。
デモンストレーションでは、試合映像や選手のスタッツなどを組み合わせたライブ感のある映像を紹介。スタジアムやアリーナの電光掲示板に表示することで、試合を一層盛り上げることができる。すでに沖縄アリーナや滋賀ダイハツアリーナなどに導入されており、話題になっているシステムだ。
ファンデータが確認できるチケット販売システム「TIGET」
webサービス事業を展開する「grabss」のブースでは、データ収集、解析とコミュニケーションツールを組み合わせたチケット販売システム「TIGET」を展示した。
チケット購入者の来場把握や属性の解析を行うことができ、データはリアルタイムで確認可能。購入者とのコミュニケーションも可能で、次回のチケット購入やグッズ、その他のコンテンツの購入を促すことも可能。すでにプロ野球チームの「オイシックス新潟アルビレックス」が導入するなど、スポーツ業界での存在感を高めている。
スポーツツーリズムへの注目が高まっている
その他にも、さまざまな展示が行われたが、スポーツビジネスコーナーで特に目立ったのが、スポーツツーリズムによる地域活性化を目指す県や市町村のブースだ。
静岡県や愛媛県、徳島県などがスポーツ団体や企業を誘致するために、地元の魅力やスポーツ事業をアピール。また、スポーツツーリズムの推進団体である「JSTA」もブース出展し、スポーツツーリズムの魅力を発信した。近年、スポーツツーリズムは地元を盛り上げる鍵になると大きな期待が寄せられており、自治体と企業、スポーツチームとの連携が生まれているだけに、今後特に注目すべき取り組みだといえる。
今回のイベントに出展した企業やシステムが、国内スポーツを盛り上げる起爆剤になるか。また、今後どのような新しい取り組みが誕生するのかにも注目したい。