スポーツ総合展示会「Japan Sports Week」
海外需要とガバナンス強化 バレーボールSVリーグ、ラグビー リーグワンの成長戦略
2024年09月25日 11時00分更新
2024年7月3日から5日かけて、東京ビッグサイトでスポーツチームとアスリート向けのスポーツ総合展示会「Japan Sports Week」が行なわれた。
3日間の開催期間中は、会場内でさまざまなカンファレンスも開催。今回は、多くの聴講者が集ったカンファレンスの中から、「SVリーグ(バレーボールリーグ)」と「ジャパンラグビー リーグワン」のトップによるセミナーセッション「スポーツリーグの成長戦略」の模様を紹介する。
注目のスポーツリーグの代表が登壇
同カンファレンスでは、SVリーグの大河正明代表と、ジャパンラグビー リーグワンの玉塚元一代表が登壇。スポーツブランディングジャパンの日置貴之氏が司会進行役を担当し、「スポーツリーグの成長戦略」をテーマに、それぞれのリーグの現状や課題、また今後の展望などを語った。
まずは2024年10月に新たなトップリーグSVリーグが開幕するバレーボール界について、大河代表は「以前のVリーグは、世界一のリーグを目指したものの、中途半端な状態だった。ガバナンスが機能せず、事業力不足だった。大義や軸がないことも問題だった。今回、課題だった点を強化することで2~3年後の成功を目指している」と話した。
一方、年々存在感を増しているリーグワンについて玉塚代表は「バレーボールと同様に、ラグビーも以前のリーグはガバナンスが効いていなかった。しかし、協会から独立して新しいリーグを作る際に、ファンを起点にしたマーケティングに切り替え、競技力を高めたことで、観客が1年ごとに50%も増加。海外リーグとの連携を目指すレベルにまで成長した」という。
実は両リーグとも同じ問題や課題を抱えていた。しかし、ガバナンス強化を始め、従来の課題解決に真っ向から取り組むことでリーグワンは見事に復活。SVリーグはこれに続く形での成功を収めることができるのかに注目が集まっている。
国内スポーツの海外需要を高めることが重要
次のテーマは「スポーツリーグの役割」だ。このテーマに対し、大河代表は「そのスポーツにおける明確なビジョンを示し、競技をけん引する存在」と答えた。そのためにも重要なポイントとなるのが「協会とリーグの連携」だという。
玉塚代表もリーグと協会の関係については重要視しており、「代表戦とリーグの日程や、試合でのケガといった問題は避けられない。そのため、基本は良い関係でないといけない」と語る。協会とリーグを両軸で回すことで、そのスポーツが発展するとしており、「ある意味で運命共同体」とのこと。そのため、ラグビーは同じビルの同じフロアに協会とリーグをそろえ、スムーズな連携を促しているという。
また、「リーグを成長させるには、何が必要なのか」というテーマでは「母体企業の収入となる放映権が重要」とのこと。
そのためにも重要になるのが「海外需要」だ。リーグ人気が高まれば、海外需要も増し、海外から放映権料を得ることも可能になるため、国内はもちろん、海外でのリーグ人気を高めることが課題になる。
例えば、リーグワンは、日本代表の活躍もあり、海外での注目度が高まっている。その結果、海外からトップクラスのコーチや選手を獲得することにも成功。同時に海外のラグビーファンからの評価も高まっている。
また、「日本のスポーツリーグの未来像」については、両者ともに「スポーツの持つ力を国も含め多くの人に認知してもらうことが重要になる」とのこと。そのためにも、「リーグとして、そのスポーツの価値をさらに磨いていく」と今後の抱負を語った。
短い時間だったものの、ラグビーとバレーボールという注目のスポーツリーグの現状や未来像が垣間見えたカンファレンスだった。特にSVリーグは今年10月に開幕というだけあって大きな注目を集めている。果たしてどのような反響が得られるのか、開幕を楽しみに待ちたい。