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生成AI「Box AI」を組み込んだBoxの将来像も披露、「BoxWorks Roadshow Osaka 2024」レポート

大阪ガス、豊中市も登壇 西日本に注力するBoxが大阪で大型イベント開催

2024年09月18日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Box

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大阪ガス:「Boxは良いツール、でも費用が……」からの逆転導入

 大阪ガスとDaigasグループでは2023年、コミュニケーションとコラボレーションの強化を目的として「Microsoft Teams」とBoxを組み合わせて導入した。BoxWorks Roadshow OSAKAでは、大阪ガス DX企画部 係長の川下翔平氏が登壇し、Teams+Boxという組み合わせを選択した背景、コスト面の課題をクリアしたストーリー、Box導入後の評価などを紹介した。

大阪ガス DX企画部 係長の川下翔平氏

 川下氏がBox Japanの担当者からBoxの紹介を受けたのは、2018年のことだった。川下氏は「第一印象ですごく良いツールだなと思いました」と振り返るが、すぐには導入できなかった。「費用的に難しかった」というのがその理由だ。

 「弊社としては、クラウドストレージを入れるのであればBoxが一番良いと思っていました。しかし、Boxだけを導入するというストーリーがなかなか描けない。そういう状態で2022年まで足踏みをしていました」(川下氏)

 この“足踏み”状態を打開するきっかけになったのが、Teamsの導入だ。Daigasグループでは2022年、事業規模の拡大に合わせた業務効率とコミュニケーション効率を目的に、Microsoft 365の導入を決定した。社内/グループ内コミュニケーションのハブとしてはTeamsを活用する。このTeams導入に伴ってクラウドストレージの導入も必要になったため、Boxを含むいくつかの候補から比較検討することとなった。

 Microsoft 365/Teamsのクラウドストレージとしては、当然「Microsoft SharePoint Online(以下SPO)」も候補に挙がった。Teams向けのストレージとしてSPOを考えた場合、導入時の初期費用がかからず、Teamsとネイティブ統合されており使い勝手が良く、アクセス権限の一元管理もできる。また、Officeアプリで共同編集ができる点も魅力的だった。

 ただし、Teams以外も含めたあらゆる社内コンテンツを集約するストレージと考えた場合、利用容量の増加に伴って将来的にコスト負担が重くなること、同社が利用しているアプリケーションとの連携やセキュリティポリシーなどで課題があること、などの問題があった。

 一方でBoxの場合は、初期費用はかかるものの「容量無制限」のため、将来的な利用容量の増加でもコスト負担は変わらない。さらに、Teamsとの連携機能でネイティブに近い使い勝手や権限の一元管理、またOfficeアプリでの共同編集が実現できた。多くのサードパーティサービスとの連携機能も提供されている。

 「結論としては、Teams用のストレージに限ればSPOでも良いのですが、クラウドストレージ全般として見た場合はBoxのほうが優れていると判断しました」(川下氏)

 社内稟議においては「イニシャルコスト」「ランニングコスト」「定性評価(使い勝手など)」の3点で各製品を評価し、定性評価ではBoxが優れていること、イニシャルコストではSPOが安く済むものの、将来的なランニングコストまで考えるとむしろBoxのほうが安く済むというストーリーで説明を行ったという。

 Box導入後、Teamsとの連携機能は問題なく使えており、TeamsのチームメンバーがBoxのフォルダ権限に同期されるため一元管理もできていると説明した。ネイティブ統合に近いTeams連携が実現しているため、社内ユーザーへの説明もスムーズだったという。

豊中市:Boxの本格導入をスタート、「3層分離ネットワーク」も見直しへ

 大阪府北部に位置し、大阪都心・梅田へのアクセスが良いベッドタウンとして知られる豊中市。人口はおよそ40万人を数える。

豊中市 都市経営部 デジタル戦略課 課長の伊藤洋輔氏

 その豊中市は現在、Boxの導入展開を進めているところだ。同市ではコロナ禍をきっかけとして2020年度、市民サービスのオンライン化、庁内業務のペーパーレス化、電子決裁化を推進する「とよなかデジタル・ガバメント戦略」を定め、これを推進するため2022年度にBoxの試行導入を行った。さらに、2023年度からは「とよなかデジタル・ガバメント戦略 2.0」と次のフェーズに進んでおり、現在(2024年度)はBoxの大規模展開を進めている。

 豊中市 都市経営部 デジタル戦略課 課長の伊藤洋輔氏は、Boxを導入した理由は「3つの課題」があったためだと説明する。「オンプレミスストレージの枯渇」「3層分離ネットワークによるデータ共有の複雑化」「データ上での行政文書管理」という課題だ。「おそらくこれは、すべての自治体に共通する課題ではないでしょうか」(伊藤氏)。

 ちなみに、3つめの行政文書管理については「行政特有の大きな課題」だという。従来のファイルサーバーでは、個人専用の領域が確保できず、職員が作成した“個人メモ”までが行政文書扱いになってしまう問題があった。Boxに移行することで個人領域が確保でき、こうした問題が解消される。

 Boxの本格導入に合わせて、豊中市では3層分離ネットワークの見直しを図っている。現状では、LGWAN接続系にある端末からBoxへのアクセスだけをローカルブレイクアウトする「α’モデル」を採用しているが、より幅広いクラウドサービスの利用を可能にするために「βモデル(またはβ’モデル)」へ移行する取り組みを進めている。

Box本格導入を機にネットワークインフラの整備も進行中

 伊藤氏は、Boxの本格導入を進めることで業務の中の“無駄な作業”を削減し、それで生まれた時間を本来の業務に充てることで、市庁全体の生産性向上につなげたいとBoxへの期待を述べた。将来的には、公文書の保存年限に基づくライフサイクル管理の自動化、Microsoft 365やTeamsとのコンテンツ連携、Box AIの行政業務への適用などを実現していきたいと語った。

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