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「NVIDIA H100」GPUサーバーから水冷装置、発電機、監視カメラ、消火器までパッケージ提供

フルパッケージのAI向けコンテナ型データセンター、ピクセルカンパニーズが発売

2024年08月23日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 データセンター事業やGPUサーバー販売などを手がけるピクセルカンパニーズは2024年8月22日、AI特化型データセンター向けの新たなソリューションとして「コンテナ型データセンターパッケージ」の販売開始を発表した。GPUサーバーに加えて、コンテナの管理/運用に必要な管理棟や水冷装置、発電機などの周辺機器も含むパッケージソリューション。

 同パッケージを利用することで、20フィートのコンテナ5台を最小単位とする水冷式データセンターが構築できる。コンテナ5台構成の場合、全体で最大512基の「NVIDIA H100」GPUを搭載し、最大0.5ExaFLOPSのAI処理能力を実現する。年間3セットの販売を計画している。

ピクセルカンパニーズの「コンテナ型データセンターパッケージ」

(左から)スーパーマイクロ ゼネラルマネージャー FAE&ビジネスデベロップメントの佐野晶氏、ピクセルカンパニーズ 代表取締役の吉田弘明氏、スーパーマイクロ シニアセールス・ディレクターの福元健之氏

コンテナ型のメリットを生かしてデータセンターを開発

 ピクセルカンパニーズでは経済産業省の補助金事業として、福島県大熊町にGPU特化のコンテナ型データセンター建設を進めている。5500平方メートルの敷地に、コンテナ型データセンター棟、非常用発電機棟、管理事務所棟の3棟を配置するもの。2022年8月からプロジェクトを開始し、現在は建物の91%が完成している。2024年12月の稼働予定だ。

ピクセルカンパニーズが福島県大熊町で推進するデータセンター事業の概要

 今回発表されたコンテナ型データセンターパッケージは、このデータセンター事業の経験で培った基本設計、仕様、部材選定などのノウハウを生かして製品化したもの。構築から運用まで、ピクセルカンパニーズとスーパーマイクロがサポートする体制を敷いており、運用経験がないユーザーへの導入にも対応できるという。生成AI活用に向けて、企業や大学、研究機関、行政などで“プライベートAI”需要が拡大することを想定しているほか、不動産ファンドによるデータセンター投資にも対応する。

 同パッケージは、GPUサーバー搭載コンテナ4台、管理コンテナ1台の計5台を最小構成とする。コンテナ1台あたり4ラック/16台のGPUサーバーを収容し、1コンテナ合計で128基のNVIDIA H100を搭載可能。なお今後、GPUに「NVIDIA HGX B200」を採用したモデルも提供予定だ。

パッケージソリューション全体の概要

GPUサーバー搭載コンテナの概要

 ピクセルカンパニーズ 代表取締役の吉田弘明氏は「大規模なデータセンター(ハイパースケールデータセンター)に対抗するのではなく、『GPUとAIのデータセンター』に特化することを目指し、開発した」とその狙いを語る。

 吉田氏によると、コンテナ型データセンターには「工期短縮が可能」「水冷式の導入がしやすい」「用地確保が容易」といった利点がある。

 建物型データセンターの建設では、2MW以上の特別高圧変電設備のほか、各種基準への準拠と行政による建物確認などが必要となる。その結果、稼働までに4~5年かかることが多い。また、大規模な土地の確保が難しいという課題もある。

 これに対してコンテナ型データセンターでは、2MW以下の高圧設備で稼働できるうえ、コンテナが設置できる広さの土地を確保するだけでデータセンターを新設できるため、圧倒的な工期短縮につながる。冷却効率が高く、GPUデータセンターに適した水冷式の導入も容易である。なお、水冷式は空冷式に比べて使用電力を15~20%削減することができ、計算リソースに使用する電力を38%増加させられるという。

 「コンテナ型データセンターは、(最小で)コンテナ5台分と冷却塔のスペースがあれば設置が可能であり、全体工期も半年程度に短縮できる。設備運用や更新も柔軟であり、新たなテクノロジーが導入しやすい環境を実現できる」(吉田氏)

コンテナ型データセンターの利点

GPUサーバーや水冷装置でスーパーマイクロが全面協力

 今回のコンテナ型データセンターパッケージの製品化には、GPUサーバーメーカーであるスーパーマイクロが全面的に協力している。同社が提供する水冷対応GPUサーバーや冷却装置、発電装置といったラックソリューションを、コンテナの規格に合わせて製作し、現地で組み上げる工法を採用する。

 スーパーマイクロ シニアセールス・ディレクターの福元健之氏は、「データセンターをより気軽に新設できるようにすることがこのパッケージの狙い。また、既存のデータセンターでは水冷設備の導入が難しいという課題があり、そこにコンテナ型データセンターの併設を提案することも可能になる。スーパーマイクロにとってはGPUサーバーが販売しやすくなるため、日本における導入の広がりに貢献したい」と述べた。

 また、スーパーマイクロ ゼネラルマネージャー FAE&ビジネスデベロップメントの佐野晶氏は、「NVIDIA H100では消費電力が(1基あたり)700Wまで増大し、今後はさらにそれを超えるGPUも登場する。1つのラックに多数のGPUを搭載するために、水冷が主流になるのは明らかだ」と述べた。

 スーパーマイクロは、DLC(直接液冷)方式の水冷ソリューションとして、CPUやGPUを冷却するコールドプレート、熱交換装置のCDU(クーラント・ディストリビューション・ユニット)、CDM(クーラント・ディスブリビューション・マニホールド)、ホースなどを自社開発している。佐野氏によると、水冷装置まで組み込んだラックソリューションの状態で工場出荷するケースが増えているという。

今回のコンテナパッケージにおける「NVIDIA H100」搭載GPUサーバーの概要

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