リレーインタビュー「We LOVE 奈良公園!」 第8回

バンビシャス奈良・藤髙宗一郎さん「奈良公園のシカはチームの守り神。シーズン前には春日大社で必勝祈願します!」

文●白石亜矢子/LOVEWalker

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 奈良公園にゆかりのある方々にその魅力を聞く本連載。第8回は奈良県をホームタウンとするプロバスケットボールチーム「バンビシャス奈良」を2024年に引退し、アンバサダーに就任した藤髙宗一郎さんが登場。幼いころに引っ越してきた奈良の思い出やシカたちと触れ合う際のお作法、そして奈良公園周辺の楽しみ方などをうかがいました。

藤髙宗一郎さん。バンビシャス奈良のマスコット「シカッチェ」と一緒に

遠方から来た選手を連れていくなら、まずはシカ見学とならまち!

――もともとは大阪のお生まれだったそうですね?

藤髙「そうなんです。生まれは大阪。小学校に入学するタイミングで、祖父母も含めた家族みんなで奈良に引っ越ししてきて、それからはずっと奈良県在住です。僕が住んでいた家の近くには、二上山のふるさと公園(葛城市)があって、祖父とよく自転車で出かけました。昆虫好きだった僕にとっては、クワガタやカブトムシ、サワガニなどが身近にいる自然いっぱいの環境はまさにパラダイスでしたね」

 

――奈良公園デビューもそのころですか?

藤髙「そうですね。母が東京出身ということもあり、親戚が遊びに来た時には観光がてら奈良公園に家族みんなで出かけました。初めて東大寺の大仏様を見たときは、『なんてデッカイんや!』とビックリしたことを鮮明に覚えています。今でも遠方の友人や選手が奈良に遊びに来た時には、まず奈良公園に連れて行きます。王道はシカとの触れ合いコース。近鉄奈良駅を出てぶらぶら歩き、シカが普通に道路を渡っている姿を見学し、歩道脇でくつろいでいるシカに鹿せんべいをあげます。シカを見るとみんな、必ずと言っていいほどテンションが上がるので案内しがいがありますよ」

 

――シカとの触れ合い以外でオススメの案内コースというと?

藤髙「ならまち界隈をそぞろ歩きするのはオススメです。奈良グルメが味わえるお店やリノベーションしたオシャレなカフェもたくさんあるので、見どころ満載です。ならまちで僕がよく行くのは、バンビシャス奈良のサポートカンパニーでもある「ぷちまるカフェ」さん。奈良にちなんだ面白いメニューがあるので、遠方から友人や選手が来たときに案内するお店のひとつですね。また、ならまちには有名なかき氷屋さんや、高速餅つきでいつも人だかりのできているお餅屋さんがあります。興味の引かれたお店にふらっと立ち寄って、ゆっくりそぞろ歩きを楽しむのがオススメです」

ぷちまるカフェの名物、前方後円墳型をした、その名も「古墳形ケーキ」(880円・要予約)

ぷちまるカフェで食べられる、甘くないシフォンケーキを使用した「奈良漬入りの卵シフォンサンド」(ドリンク代込み1,150円 *夏場は提供休止)

御朱印帳を持って、奈良の神社やお寺を巡っている選手もいます

――バンビシャス奈良の選手の皆さんとも、定期的に奈良公園へ訪れるそうですね。

藤髙「毎年、チームの必勝祈願で春日大社さんにお参りしています。裏手にある社頭(しゃとう)の大杉は僕たちのパワースポット的な存在で、祈願した後はそこで写真を撮ってお守り代わりにしたりして、チームにとってなくてはならない場所ですね。ここでもやっぱりシカとは戯れます(笑)。バンビシャス奈良のロゴマークにもシカのモチーフが取り入れられていて、シカはとても身近な存在であり守り神のような存在ですね」

チーム全員で訪れる春日大社にある社頭の大杉

――春日大社以外にチームメンバーの皆さんのお気に入りの場所はありますか?

藤髙「みんなで行くというわけではないですが、奈良県外からチームに加入した選手のほうがオフにいろんなところに出かけたり、新しいスポットにも詳しかったりしますね。中には御朱印帳を持って奈良の神社やお寺を巡っている選手もいたり。いつの間にそんなことやってたん?ってちょっと驚きましたけど、県外からきた選手のほうが、奈良の魅力にどっぷりはまるパターンも珍しくないですよ」

 

――藤髙さんが奈良公園を案内するときの“うんちく”がいくつかあるそうですね。

 

藤髙「うんちくと言うほどの話ではないですが…ありますね(笑)。まず東大寺ではテッパンの話ではありますが、『柱くぐり』の柱の穴を紹介して、『あの穴の大きさ、何と一緒かわかる?』と聞いて、『実は大仏さんの鼻の穴と同じ大きさやねんで!』ってドヤ顔して語ります。『え?そーなん!?』って驚いてもらえるのはやっぱり快感ですね。あとは、我らがシカとの接し方かな。シカに鹿せんべいをあげるときのお作法があるんです。シカは鹿せんべいを持っている人を見かけたら『あ、この人、くれるの?』と察して、おじぎのつもりなのか頭を下げてくる子が多い。それにはきちんと『どうぞ召し上がれ!』と対応しましょう…と伝授します。無視でもしようものなら、さすがのシカも黙っていませんからね(笑)。ちゃんとシカの様子を見ながら鹿せんべいをあげるように、啓蒙活動を行っています」

春日大社での必勝祈願後、お作法通りにシカと戯れる藤髙さん

元選手の目線から、臨場感あふれる情報発信ができるように頑張りたい

 

――10月からはいよいよ2024-25シーズンも開幕!今年からバンビシャス奈良のアンバサダーに就任され、どのような活動をしていきたいですか?

藤髙「さまざまな活動を予定していますが、まずはPR的なことでしょうか。試合会場を盛り上げたり、SNSでバンビシャス奈良の魅力やオフの選手の様子を投稿するなど、元選手の強みを活かした広報活動に力を注いでいきたいと思っています。あとは、バンビシャス奈良U18やU15、スクール生を含む小中学生を対象に、バスケットボールの指導もより一層行っていきたいと考えています。プロのような勝ち負けにこだわることや、技術・センスを磨くことはもちろん重要ですが、バスケットボールへの情熱やバスケットボールを面白いと感じる気持ちを大切にした指導をしていきたいと思っています」

――奈良公園や周辺エリアの情報発信も?

藤髙「もちろんです!バンビシャス奈良には県外から応援に来てくださるファンの方も多く、せっかく奈良に来ていただくなら観光やグルメも楽しんでもらいたいです。ですので試合以外のプラスアルファの情報もたくさん発信する予定です。実際に僕が行ってみた感想やオススメポイントなど、できるだけ臨場感あふれる情報発信ができるよう頑張りたいと思っています。ぜひ、楽しみにしていてください!」

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■プロフィール

藤髙宗一郎(ふじたか・そういちろう) =奈良県香芝市出身。関西大学卒業後、10年間プロバスケットボール選手として活躍。2014年より日立サンロッカーズ/サンロッカーズ渋谷でプレー。2017年からは大阪エヴェッサに移籍し、2020年よりバンビシャス奈良に所属。日本代表として2013年ユニバーシアード、2019年FIBA3x3アジアカップ、2022年FIBA3x3ワールドカップに出場。2024年4月からは私立高校の保健体育科で教鞭をとる。5月にはバンビシャス奈良のアンバサダーにも就任。