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アップル、AI機能「Apple Intelligence」開発者向けに公開

2024年07月30日 11時30分更新

文● 田口和裕

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 アップルは7月29日、AI機能「Apple Intelligence」を搭載したiOS 18.1、iPadOS 18.1、macOS Sequoia 15.1の開発者向けベータ版をリリースした。

まずは米国の開発者のみ

 Apple Intelligenceは2024年6月10日に開催された同社の開発者向けカンファレンス「WWDC24」の基調講演で発表されたアップルの人工知能(AI)機能群。

 今回のリリースは、アップルの開発者プログラムに加入している開発者かつ米国の英語ユーザーに限定される。

 対応デバイスは、Appleシリコンを搭載したMac、iPad、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max。

 開発者は設定メニューからApple Intelligenceの待機リストに参加し、数時間以内にアクセス権を得られる仕組みとなっている。

 なお、一般ユーザー向けの公開ベータ版の提供時期は現時点で明らかにされていない。

一部機能はまだお預け

ライティングツール

 今回のベータ版で利用可能となった主な機能には、文章作成や編集を支援する「ライティングツール」、メールの新カテゴリと「スマートリプライ」、会話の文脈を理解したメッセージのスマートリプライ、トランスクリプトやコンテンツの要約機能などがある。一部の機能は将来のアップデートで追加される予定だ。

「責任ある」アプローチでトレーニング

 アップルはApple Intelligenceの開発に関する技術論文を公開し、その中で「責任ある」アプローチを強調している。

 論文によると、モデルのトレーニングデータには、ライセンス取得済みの出版物データ、キュレーションされた公開データセット、同社のウェブクローラー「Applebot」が収集した公開情報が含まれる。

 アップルは、ユーザーのプライバシー保護に重点を置き、私的なユーザーデータをトレーニングに使用していないと明言している。また、オープンソースコードの使用に関しては、使用制限の少ないリポジトリのみを含めるよう努めたとしている。

 トレーニングデータの総量は約6.3兆トークンで、これは競合他社の一部のモデルと比較すると少ない。アップルは、モデルの望ましくない振る舞いを緩和するため、人間からのフィードバックや合成データも活用している。

 なお、ウェブデータのスクレイピングに関しては、ウェブマスターがクローラーをブロックできるようにしているが、個別のクリエイターの権利保護については課題が残されている。

一般ユーザーが使えるのはまだしばらく先か

 Apple Intelligenceの機能は今後段階的に追加される予定だ。これは、AIシステムの複雑さと、アップルが重視するプライバシーや安全性の確保に時間を要することが理由と見られる。

 一方、EUでの展開については、デジタル市場法(DMA)との兼ね合いから、現時点では不透明な状況だ。アップルは欧州委員会と協力して解決策を見出そうとしているが、規制遵守とユーザー体験の最適化のバランスをどのように取るかが課題となっている。

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