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いまPCが絶好調! AI PC新時代に各メーカーにインタビュー 第1回

日本HP編

今後の3年で、全PCの半分がAI PCになる? 「いまは限定的だが、選択肢を広げるために前向きに投入していく」

2024年07月31日 14時00分更新

文● 市川(ASCII)

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AI PCは3年後におよそ半分のシェアになると予想

日本HP本社に来訪

 記念すべき第1弾は、日本HP。個人向けから企業向け、ワークステーションまで多岐にわたる製品ラインに加え、プリンター事業がある。PCでは、国内においては法人向けが強いが、個人向けにも力を入れており、Copliot+ PCも6月からいち早く市場投入している。

 インタビューをしたのは、PC事業の責任者であるパーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏と、個人向けのPCのプロダクトマネージャーである吉川直希氏だ。

 以前から、AI技術によってパソコン(PC)を「パーソナルコンピューターからパーソナルコンパニオン」に変えていきたいというメッセージを発してきた同社。だからこそ、AI PCが今後、「個人や企業、社会全体にどう影響を与えていくのか」「市場をどう変えていくのか」についての意見を聞きたい。そう考えたのが取材した理由だ。

左:日本HP 執行役員 パーソナルシステムズ事業本部長の松浦徹氏
右:日本HP パーソナルシステムズ事業本部コンシューマービジネス本部 製品部 プロダクトマネージャーの吉川直希氏

――今日はお時間いただきありがとうございます。2024~25年は大きな市場の変わり目だと思います。

 来年の10月にWindows 10のEOS(サポート終了)があり、特に法人PCを中心に入れ替えがどんどん進んでいくだろうとみています。いろいろな調査機関のデータでも、今年の後半から、来年の10月にかけて(法人PCは)大きく伸びるだろうと予測しているので、弊社としても市場の伸び以上に事業を成長させていけたらと思っています。

 (Windows 10 EOSに関係したPCのリプレースは)先に大手企業から入れ替えが進み、比較的中規模であったり、小規模の企業というのは来年に向けて入れ替えが進んでいくと考えています。

 弊社がAI PCと定義しているNPU(Neural Processing Unit)を搭載したPCの割合については、3年後には販売ベースで概ね半分にまで成長するのではないかと。

――Windows 10のEOSに合わせたタイミングでは、まだ半分にはいかないと?

 そうですね。来年にはまだその数にはいかないかなと。ただこれを機に、次の3~4年間を見据えてAI PCに買い替えるというお客様もいるかと思うので、弊社としても今後もAI PCと呼ばれる製品をきちんと市場に投入して、新しい市場のニーズに応えていきます。

 AI PCではない、従来型のPCも提供していくことで、幅広いお客様のニーズに応えていきます。そのために幅広いラインアップを揃えたいと思っていますし、(現在も)やっていることです。

――AI PCについて、企業と個人ではどちらが導入の意欲が高いですか?

 どのくらいの数かは別として、身軽にいろいろ試してみたいと思う人は、個人のお客様の方が多いと思います。我々はクアルコム製のSnapdragon Xシリーズを搭載したPCを発売しましたし、AMD Ryzen AIを搭載したPCもいち早く発表しており、新しいテクノロジーを試してみたいというユーザーのニーズにもお応えしていきます。

クアルコムのSnapdragon Xシリーズを搭載した「HP OmniBook X 14」

パーソナルコンピューターからパーソナルコンパニオンへ

――私は法人こそ、AI PCを導入すべきだとも思います。そういう考えはまだ浸透していませんか?

 そうですね。PC自体はもともと生産性を上げるためのツールとなっているので。我々としては、“パーソナルコンピューターからパーソナルコンパニオンへ”と言っています。

 生産性を上げることの重要性は個人も企業も変わりませんが、AIを入れることで、よりユーザーがやりたいことをやりやすくするとか、それを効率的にする、効果的にするということに役に立てるような形になっていきます。そういう意味では、できるだけAI PCを使ってもらいたいという思いはあります。

 いまのAIはクラウドベースで動かすのが一般的ですが、AI PCなど、エッジ(パソコンなどの端末側)でAIを動かしていくことで、まずはスピードが速くなっていきます。また、さまざまな場面でやり直しが必要なときがあると思いますが、何回もトライすることで、よりクリエイティビティーだったり、プロダクティビティーが上がっていきますね。

 あとは、クラウドでAIを使用する際に生じるコストも、ローカルだけでできると安く済むという面もあります。消費電力についても、クラウドでやるのか、PCでやるのかを役割分担することで、より効率的な電力消費にできると思うので、社会においても意味があるのかなというふうに思います。

――AI PCの登場で、インターネットの登場に匹敵する変化が訪れそうです。

 日本HPは2024年は“AI PC元年”になると考えています。クラウドAIからエッジAIなどといった風に、AIがつかえる場所が多様化していきますね。

――「HP OmniBook Ultra 14 AI PC」には個人PCとして初となるHP Wolf Securityも搭載されたと聞きました。

 今までの比ではなく個人情報がPCに入ってくるので、セキュリティはすごく大事になってくると思うんですよね。パーソナルコンパニオンになるということはパーソナルなこともどんどん知っていくということになるので。

 AI時代だからこそ、ハード・ソフトウェア両面でセキュアにしていくというのは一層大事になってくると思います。

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