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2024 Jリーグシャレン!アウォーズ表彰 Jリーグクラブが地域と共創

2024年07月24日 06時00分更新

文● 中田ボンベ@dcp 編集● ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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 2024年5月16日、「2024Jリーグシャレン!アウォーズ」の表彰式が行なわれた。Jリーグでは、全国各地の所属クラブが地域に根差した社会連携活動(シャレン)に取り組んでおり、その中で特に「社会に幅広く共有したい活動」を表彰するのが「Jリーグシャレン!アウォーズ」だ。

 開催5回目となる今回は全国60クラブからのエントリーがあり、「ソーシャルチャレンジャー賞」、「パブリック賞」、「メディア賞」、「明治安田 地元の元気賞」、「クラブ選考賞」、「ファン・サポーター選考賞」の6つの分野で表彰された。

地域課題の解決や珍しい地域連携活動が受賞

 まずは地域の社会課題の解決にチャレンジする取り組みを表彰する「ソーシャルチャレンジャー賞」だ。同賞では、FC今治の「スタジアムに複合福祉施設を創り、インクルーシブ社会を体現するプロジェクト」が受賞した。

(C)FC. IMABARI

 FC今治では、今治里山スタジアムの敷地内に、サッカー専用スタジアムとして日本初となる複合福祉施設「コミュニティビレッジきとなる」を設置。スタジアムを地域の交流地点としての活動が進む中、地域貢献としては一歩先を行くチャレンジということで高い評価を受けた。

 続いて発表されたのはさまざまなステークホルダーと連携して地域課題の解決に当たる「パブリック賞」。同賞はいわきFCの「選手・スタッフが認知症サポーターとして活動!」が選ばれた。

(C)FC. IMABARI

 同取り組みでは、チームの選手やスタッフが認知症の正しい知識を学び、「認知症サポーター」の認定を受けるというもの。認定を受ける中で得た知識や経験を通し、「認知症になっても安心して自分らしく暮らせるまちづくり」を目指している。高齢化が進む中で、今後さらに大きな地域課題となるであろう認知症の啓発活動を行なう取り組みとして評価された。

 新聞社やテレビ局などが選考委員となり、「自社メディアで取り上げたい魅力的な取り組み」を選出する「メディア賞」は、水戸ホーリーホックの「もう一つの熱き戦い『おらが街PRリーグ』」が受賞した。

(C)MITO HOLLYHOCK

 水戸ホーリーホックでは、所属する選手が15のチームに分かれ、ホームタウン15市町村と協力して「おらが街」のPR合戦を実施している。選手が各地域のPR大使になり魅力を発信することで、チームと地域の絆が生まれるだけでなく、経済活性化にもつながる活動だ。選考委員からは「ここまでコミットした企画は珍しい」という評価を受けている。

地域支援や地域の子供たちに寄り添う活動を選出

 今年度から新設されたのが、地域との「つながり」や「ふれあい」、「ささえあうこと」をテーマにした活動を讃える「明治安田 地元の元気賞」だ。同賞は、サガン鳥栖の「Sagan World Cup」が選ばれた。

(C)SAGAN DREAMS CO.,LTD

「Sagan World Cup」は、佐賀県内の企業に勤務する外国人技能実習生や留学生、日本人学生など31ヵ国約180名が参加したフットサル大会だ。2022年より開催されており、「地域と外国人や外国人同士のつながりを深められる大会」として話題になり、2回目となる今回は大会規模を拡大。国際交流が生まれるだけでなく、地域連携の強化やより良い地域づくりにつながる活動として注目を集めている。

 次は「クラブ選考賞」の表彰が行われた。同賞は、Jリーグの所属クラブが選考委員となり、自クラブでもぜひ実施したいと思える取り組みを選出する賞で、モンテディオ山形の「10ヶ月300時間!40人の学生と築いた世代のはしご『U-23マーケティング部』の奇跡」が選ばれた。

(C)MONTEDIO YAMAGATA

 モンテディオ山形では、「地方都市に若者の流出」の解決と、若い世代の人材教育を目的として、23歳以下のマーケティング集団「U-23マーケティング部」を設立。クラブや地元企業協力の下、学生たちがマーケティングを学ぶというもので、地域の若い世代とのコミュニケーションの場を創出するという意味でも高い評価を受けた。

 最後は、自分が応援しているクラブのホームタウンでも実施してほしいと思う取り組みを、一般投票で選出する「ファン・サポーター選考賞」だ。同賞は、アルビレックス新潟の「選手が発案し、クラブが伴走してつくる社会貢献活動“ニイガタガミカタ”プロジェクト」が選ばれた。

(C)ALBIREX NIIGATA

「ニイガタガミカタプロジェクト」は、同クラブに所属していた田上大地選手が発案した取り組みで、ひとり親世帯や児童養護施設を対象に、継続的な支援活動を行う。2022年にスタートし、2年目となった2023年には支援企業が増え、子供たちとの交流イベントをはじめさまざまな支援活動を実施。地域の子供たちに寄り添う素晴らしい取り組みとして、各チームのサポーターから支持を集めた。

 シャレンについてJリーグは「社会貢献活動などを通じて、地域社会の持続可能性の確保、関係性の構築と学びの獲得、それぞれのステークホルダーの価値の再発見につながるものと考えている」としており、次年度はどのような活動がエントリーするのか、早くも期待が寄せられている。

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