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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第294回

AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許

2024年07月07日 17時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 アップルがユーザーの運動と音楽をリンクさせるユニークな特許を出願した。特許番号「US 2024/0161721 A1」の「MOVEMENT-BASED AUDIO OUTPUT FOR ELECTRONIC DEVICES(行動に基づいた電子機器のオーディオ出力)」だ。

特許の図

 この特許では、まずセンサーからユーザーの動きを読み取り、テンポと周期を検出する。運動とはウォーキング、ジョギング、ランニングなどの単純なものから、ダンスや体操、掃除など動き自体に意味を持つ運動まで含まれる。そしてソフトウェアによって動きのテンポとマッチするように音楽のテンポを決定する。

 出力としてはテンポに合う音楽をキュレーションしてプレイリストを提示する方法と、音楽の基本的なテンポ自体を変更するという方法が示されている。例えば音楽自体を変更するならば、音楽を読み取って基本的な音楽のテンポを抽出、そしてユーザーの動きにマッチするようなテンポに変更する。ユニークなのはこの変更を行う際にユーザーが足を下ろしたタイミングに合わせてビートを同期することができるということだ。つまりジョギングやダンスのステップをより軽快に楽しく行うことができるようになる。

 またユニークなのは、単にテンポだけではなく、ユーザーがどのくらいの力で接地しているかを検出して、例えばバレエダンスとヒップホップダンスとが同じテンポで行われる場合であっても、バレエダンスの滑らかな移行とヒップホップダンスの素早く力強い変化とを区別することができるとしている。さらにユーザーの踏み下ろす力が重いのか軽いのかを判断して、重い音楽スタイル(例えば、ロック、ヘビーメタル、ラップ)または軽い音楽スタイル(例えば、ポップミュージックまたはダンスミュージック)を識別することができるとしている。

 実際のユースケースとしてはユーザーがスマートフォンとワイヤレスイヤホン(AirPods)を使うことを想定しているので、特許では遅延は100msから200msにもおよぶ可能性があるとして、ワイヤレスイヤホンのレイテンシーの調整も想定されている。よく考えられているのは、このタイミングの動機が実際に曲が再生されていない時も行われるということが明示されている点だ。これは曲と曲の間の無音のギャップの間にも計算が継続できることを示している。つまり曲を跨いでも同じテンポの曲を流し続けることができるように想定されている。

 この特許ではあまり発明の背景については触れられてないので、アップルがどういう意図でこうした発明をしたのかはわからない。将来的な「ミュージック」アプリのアップデートに取り入れられれば運動の際に楽しい機能となるだろう。またこうした機能を持つ何らかのデバイスとなる可能性もあるかもしれない。いずれにせよ運動の際に音楽を聴いているユーザーとしては是非実現してほしい機能と言えるだろう。

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