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AIは漫画家の玉手箱なのか……実録:AIで描く漫画の実際 第3回

実録:AIで描く漫画の実際 ~生成AIで少女漫画に挑戦!

2024年06月29日 19時00分更新

文● 野火城 編集●ASCII

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5/実用的なSDXLコントロールネットの出現

 今回の目玉です。

 月須和さんの製作したコントロールネット「CN-anytest_v3-50000」「CN-anytest_v4-marged」が頭一つ飛びぬけた性能で、今年に入ってから界隈で開発が活発化していたSDXLコントロールネットが実用レベルに達しました。今まで散々コントロールネットは実用では使えないと言っていた自分ですが、ここにきて手の平返しです。SDXLのコントロールネット、使えます!

 何が凄いって「使い勝手の良さ」です。やれる事自体は前とそこまで変わってない、しかし利便性や汎用性が段違い。かなり感覚的に使えるコントロールネットです。
絵描き風に言うと「板タブが液タブに進化した」みたいなすごさ。

 実際の使用感を今回の漫画を例に解説します。

 anytestはV3・V4どちらも似たような挙動ですが、強いて言うなら下記に分かれます。どちらもカラー写真などより白黒線画を入れた方が指示が通りやすかったです。

・CN-anytest_v3-5000/線画に忠実な仕上がり
・CN-anytest_v4-marged/ラフを清書するのが得意

 まずCN-anytest_v3-5000です。こちらは主に線画のカラー化に使いました。

 別々に生成した画像を3つ組み合わせ加筆修正、これをコントロールネットに入れてCN-anytest_v3-5000を指定、プロンプトを書いて生成。

 ポン出しがこれです。線画をしっかり反映しているのがわかりますね。顔も勝手に描いてくれます。しかしイメージとは程遠いので、ここから加筆+加工+i2i+切り張りを繰り返します。

 加筆+加工のためどんどん増えていくレイヤー。AIと言っても望む絵を作るには手間がかかります。

 最終的にはこんな感じになりました。コントロールネットのおかげでイメージ通りの画像に出来てとても楽しかったです。

 CN-anytest_v4-margedでは、下記のような使い方もしました。

 生成物を切り張りして線画の元絵を作成。手を広げるポーズにしたかったが、手を繋げるのが面倒なので、とりあえず手だけ置いて生成してみると…

 いい感じに描き足して補完してくれる!

 今までのコントロールネットは「AI生成の線画を塗る」はできたのですが「癖のある手描きの線画を、手描きの造形を生かしたまま塗る」が苦手でした。色を塗れても「AI絵の造形」に寄ってしまう。おじいさんでも美少女にしちゃったりもする。anytestのV3・V4はそのコントロールネットの癖がかなり改善されてます。試せる環境がある方は是非試してみてください。

 anytestは自分の手で描いたラフを入れるとかなりイメージ通りの生成がされるので、本当に楽しいです! 生成AIが出る前に思い描いていた補助AIに近いものになってきていますね。革新的な技術の進化に立ち会える――本当にワクワクします。

 しかしあまりに便利で楽しく、調子に乗って下絵を描きカラーをほとんどこれで生成していたら、時間がかり過ぎました…。

 当たり前ですが、いくら簡易でも「下絵を描く」という工程が増える+コントロールネットを使うと生成が多少遅くなる分、時間がかかります。AI漫画制作の場合、よっぽど難しいポーズでもない限りプロンプトでポン出し+加筆が最速である事に変わりはありません。

6/少女漫画っぽい絵柄に加筆する

 AI絵は目の端の角をしっかり描きがちです。悪役令嬢系などではよく見ますが、この描き方は王道少女漫画ではあまり多くない印象がありました。なので、ここを加筆で丸くするか横に抜くと少女漫画っぽくなるかもしれない…と思い、やってみました。

 1枚目がAIポン出し、2枚目が加工+加筆です。

 うーむ…どうかな…。

 最初に書いた通り、白黒は時間がなかったので…付け焼刃ですが、悪あがきしてみました。黒目がちにしてキラキラさせるのも考えましたが、ちょっとアレな性格の女神なので、異様さの演出になるかと黒目は白く抜いてます。

 そんな感じで原稿製作は終了です。

(次ページ:GPT4oに今回の漫画を評価してもらう)

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