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みやさとけいすけの工具探検隊 第47回

4Kデジタル顕微鏡「3R-MSUSB390」

ミクロの世界の映像配信カメラにもなる!? 小さな部品の細部まで観察できる3Rのデジタル顕微鏡を試す

2024年07月01日 18時00分更新

文● 宮里圭介 編集●こーのス

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 なお、オートフォーカスは「一回焦点合わせ」と「連続焦点合わせ」の2つの種類があります。前者は文字通り一度だけフォーカスを合わせ、後者は観察対象に追従してフォーカスを合わせるという違いがあります。といっても、調整には秒単位で時間がかかるうえ、失敗してしまうこともあるため、「連続焦点合わせ」はあまり実用的ではありません。

オートフォーカスは2種類選べます

 倍率設定は2つめのアイコンです。視野角/焦点距離の数値で表示範囲が選べるので、これでどのくらいの大きさで観察したいかを選びます。表示倍率はウィンドウサイズと掛け合わせた数値となるので、同じ視野角を選んでも、ウィンドウサイズを変えれば倍率も変わります。

 例えば視野角5mmの場合、「640×360」では23.3倍となりますが、「1280×720」では46.7倍、「全画面表示」(3840×2160)では140倍……といった感じです。

 なお、倍率設定となる視野角/焦点距離を変えるとフォーカスはズレるので、ギアボックスの移動、微調整が必要です。

視野角/焦点距離が選べます

「全画面表示」が最大倍率になります

 このほか、8つのLEDの点灯パターンを変えることで反射を抑える明るさを変更するといった操作も、制御モードから可能です。

 個人的に便利だなと感じたのは、補助ツールとして、スケールの表示や長さの計測機能が用意されていること。拡大して大きく見えるといっても正確なサイズが分からないと、「結局どのくらいの大きさなの?」となってしまいがち。横に物理的な定規を置くことなく、サイズが測れるというのは非常に便利です。

スケールの表示、長さの計測が可能

本体だけで操作すれば別のソフトで撮影可能

 また、本体に4つのボタンがあり、倍率設定、LEDの輝度設定の変更が可能です。ただし、ソフトから制御モードを利用している間は、このボタンは無効化されています。本体だけで設定したい場合は、ソフトで制御モードを使わないようにしましょう。

倍率と輝度設定用に4つのボタンを装備

 制御モードを使わなくても画面は表示されているので、スケールの表示や長さの計測などは可能です。

 なお、LEDの点灯パターンの変更や、数値を指定しての視野角設定、オートフォーカスといった機能は利用できないので、UM Viewerを使いながら本体ボタンで操作するメリットはあまりありません。

 では、どんな時に使えるかというと、そうです、他のソフトで撮影したい場合です。専用ソフトが用意されているとはいえ、映像部分は一般的なWebカメラなどと同じUVC。つまり、つまり、Windows標準のカメラアプリなどからも撮影できちゃいます。

 ここで気づいた人もいるかと思いますが、リモート会議ソフトや、OBS Studio(Open Broadcaster Software)などでも利用可能です。例えば、温度や湿度を一定に保った隔離環境で観察を続けたいとか、離れた場所から長期間リアルタイムに観察・配信したいといった場合などに活用できそうです。

配信などでよく使われるOBS Studioでも利用可能

解像度が高く、フォーカスも合わせやすいのが魅力

 デジタル式は光学式と違って遅延があり、拡大しながら作業するといった用途には慣れが必要です。その代わり、画面に大きく表示できることと、見たままの画面で写真、動画を手軽に撮影できるというのがメリットです。

 デジタル顕微鏡は数千円〜数万円で買える廉価なものもありますが、スタンドが弱く、ちょっとした振動で揺れたり動いたりしてしまい、フォーカスを合わせるだけでも一苦労。また、解像度が低いものが多く、せっかく拡大しても細部が不鮮明になりがちです。

 その点3R-MSUSB390であれば解像度が高く、フォーカスも合わせやすいのが強み。微小なものでもハッキリ見えるようになるため、微生物の観察細かな傷の検査不良部分の特定など、いろいろな用途で活躍してくれるでしょう。

 高性能なぶん価格は10万円超えと高めなので、万人にすすめるのは難しいですが、高倍率なデジタル顕微鏡を探しているなら、チェックしたい製品です。

 なお、会社や法人に限定されてしまいますが、購入を検討している人へのデモ機貸し出しも可能です。どのくらい使えるのか購入前に試してみたい、というのであれば、申し込んでみてはいかがでしょうか。

●お気に入りポイント●

・しっかりしたスタンド

・画面内で長さが測れる

・別ソフトでも表示できる

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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