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東工大、常圧下で二酸化炭素を固定化する有機合成手法を開発

2024年06月20日 08時27分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学の研究チームは、通常は激しい条件を要する二酸化炭素(CO2)固定化反応を、生体触媒の一種であるリンゴ酸酵素を用いることで穏やかな条件で実行することに成功した。

東京工業大学の研究チームは、通常は激しい条件を要する二酸化炭素(CO2)固定化反応を、生体触媒の一種であるリンゴ酸酵素を用いることで穏やかな条件で実行することに成功した。 酵素は生体内の反応を触媒するタンパク質であり、穏やかな条件で反応を進行させることができる。研究チームは今回、ピルビン酸とCO2の反応を触媒し、リンゴ酸を生成することが知られているリンゴ酸酵素に着目。石炭くずから発見された好熱菌由来の頑強なリンゴ酸酵素を用いて研究を進め、37℃、常圧のCO2下という穏やかな条件下で、高収率でリンゴ酸を合成することに成功した。さらに、同酵素が非天然の基質であるα-ケトグルタル酸へのCO2固定化反応も触媒することを見出した。 CO2を有効利用する方法として、有機分子にカルボキシ基(-CO2H)として固定するカルボキシル反応の開発が注目されている。しかし、CO2は化学的安定性が高く、反応しにくい分子であるため、従来の化学的なカルボキシル化反応の多くは高温・高圧を必要とし、エネルギー効率や安全性に課題があった。 CO2を用いるカルボキシル化反応の触媒としてリンゴ酸酵素の可能性が見出されたことで、持続可能な社会の発展に貢献することが期待される。研究論文は、2024年5月13日付のジャックスAu(JACS Au)に掲載された

(中條)

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