コジマ×ビックカメラは、足立加平店にテラチャージ(旧テラモーターズ)が提供する最大出力150kWの急速充電器を設置し、6月3日からサービスを開始した。また、翌4日には高井戸東店でも同様のサービスをスタートしている。ガソリン給油と同等の短時間でEVを充電できることをウリとしている。
最大60分まで充電できるEVチャージャーを設置
テラチャージは2022年4月からEV充電インフラ事業に参入した企業。既存の集合住宅向けの基礎充電サービスを開始し、2024年5月1日現在では1803ヵ所/4356口のコンセントを設置しており、昨年末の段階で2万5000口の受注を受けている。
2023年9月には急速充電の分野にも事業拡大。「急速充電器1000基無料導入プラン」を掲げ話題を集めた。足立加平店はそのサービス第1号機となる。当初は今年2月頃のローンチを予定していたが、高圧電線の引き込みに関する手続き等に時間がかかり、4ヵ月遅れの6月にサービスを開始した。
急速充電は時間制で価格は1分90円。24時間利用可能で、充電中に別途駐車料金は発生しない。電気自動車の中には150kWで充電できない車種もあるが、出力電力による料金変動はない。現状では最大60分間までだが、状況をみて充電量による従量制に切り替えていく計画だという。
利用方法は専用のアプリから場所を指定するだけとカンタンだが、一般に普及しているe-Mobility Powerの充電カードを使うことはできない。
充電器を設置することで来客促進にもなる
テラチャージ急速充電事業部の上野学部長は「コジマ様にいらっしゃるお客様の多くは車を使われています。EVを充電している間、お買い物をする。逆にお買い物をしている間、EVを充電するといった、お客様へのサービス向上を果たせると思います」と挨拶。
コジマ執行役員 総務人事本部の成田博芳総務部長は「(環状7号線沿いの)足立加平店をはじめとして、当社では幹線道路沿いに多くの店舗を構えており、自動車で来店されるお客様がとても多いです。EV充電器を設置することは、お客様への利便性の向上につながるとともに、来店促進に結び付くと思っています」と、急速充電器への期待を語った。
また、年内に都内でさらに8ヵ所の急速充電器を設置する計画を進めていることと、関東近郊でも2025年以降に急速充電器を設置する計画を立てていることを明かした。だが引き込む電力線の問題などから、設置するすべてを150kW急速充電機にすることは難しいという。またテラチャージ側でも、2024年中に100基の急速充電器を設置する予定とのこと。
EVの普及には、利用者に不安を感じさせないインフラ整備が不可欠。経済産業省は2030年までに30万口のEV充電器設置を目標に掲げ、急速充電器の出力は90kW以上が望ましいと語るが、コジマ×ビックカメラ足立加平店のある足立区にはわずか4口しかないなど、現実は机上の空論となっている。テラチャージとコジマ×ビックカメラの取り組みは、EV普及に向けての大きな一歩であるといえるだろう。