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長鎖シーケンスによるヒト免疫細胞のRNAデータベースを構築

2024年06月05日 06時49分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京医科歯科大学、京都大学、慶應義塾大学、理化学研究所の共同研究チームは、免疫細胞の転写産物(RNA)の全長構造を、長鎖RNAシーケンス解析により網羅的に解明し、データベースを構築した。ヒトの免疫システムを構成する細胞の多様性を遺伝子の転写産物レベルで明らかにすることで、自己免疫疾患やアルツハイマー病などの免疫関連疾患の病態解明と新規治療法開発へ新たな可能性を開くことが期待される。

東京医科歯科大学、京都大学、慶應義塾大学、理化学研究所の共同研究チームは、免疫細胞の転写産物(RNA)の全長構造を、長鎖RNAシーケンス解析により網羅的に解明し、データベースを構築した。ヒトの免疫システムを構成する細胞の多様性を遺伝子の転写産物レベルで明らかにすることで、自己免疫疾患やアルツハイマー病などの免疫関連疾患の病態解明と新規治療法開発へ新たな可能性を開くことが期待される。 長鎖RNAシーケンスはRNA分子の長い領域の塩基配列を決定する技術であり、従来の方法よりも長い配列を読むことができる。研究チームは今回、29種類のヒト免疫細胞を対象に、最新の長鎖RNAシーケンス技術を用いて遺伝子の転写産物を隅々まで調査。これまで知られていなかった新しい転写産物が半分以上を占める16万近い転写産物を含む「TRAILS:TRAnscriptomic resource of Immune celLS」と名付けたデータベースを作成した。 同チームはさらに、TRAILSを用いた解析によって、自己免疫疾患などの新規発症メカニズムを調査。関節リウマチなどの自己免疫疾患やアルツハイマー病に関係する転写産物を見つけ出すことに成功した。また、同データベースに含まれる転写産物の情報と、ゲノムの遺伝的な変異(多型)の情報を組み合わせて解析し、多型によって転写産物の発現パターンが変化し、病気のリスクが高まる例を見つけた。 研究論文は、ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)オンライン版に、2024年5月28日付けで発表された

(中條)

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