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Copilot for Microsoft 365のISMAP取得も間もなく、AX(AI変革)も本格推進へ

行政機関で加速する内製化・働き方改革・生成AI活用、マイクロソフトが最新事例紹介

2024年06月11日 15時15分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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AIトランスフォーメーションの加速:経産省や中野区で進む生成AI活用の検証

 最後は、AIトランスフォーメーション(AX)の加速だ。行政機関でのAI活用の推進においても、他領域同様に「AIを使う」「AIを創る」という2つのシナリオで推進していく。

 AIを使う業務効率化においては、Microsoft 365に生成AIを組み込んだ「Copilot for Microsoft 365」を中心に、行政固有のデータを活かして成果向上を目指すにおいては、「Azure AI Studio」や「Azure OpenAI Service」といったAIアプリケーションを創るためのサービスを展開している。

 行政機関のクラウドサービス調達に大きく影響する「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」の取得については、2024年2月にAzure OpenAI Serviceが生成AIサービスとして初めて登録され、Copilot for Microsoft 365も、2024年6月中の申請に向けて監査を実施中となる。

生成AIサービスのISMAPの取得に向けた状況

 生成AIへの理解を促進する施策も展開しており、2024年5月20日には、中央省庁向けに生成AIのイベントを開催。「大変な盛況で、各省庁の生成AIを活用した取り組みが披露された。Azureを活用する省庁が多いが、TeamsやSharePoint、Power BIといったアプリケーションに生成AIを組み合わせる、既存の業務ソフトに生成AIを組み込む、双方で便利になるという手ごたえをいただいた」と佐藤氏。

中央省庁向け生成AIイベントの開催

 説明会では、同イベントに登壇した経済産業省の月岡航一氏がビデオレターを寄せ、同省における生成AI活用について説明。同省は、組織経営改革の一環として「業務効率化の追求」を重要な柱としており、生成AIが有効な補助ツールになるのではと注目。具体的には、文案の作成や、平易な文章への変換、情報抽出や資料探索のサポートなどに期待を寄せている。

 2023年度には、約100名の職員が、Azure OpenAI Serviceで構築した環境で、機密情報を含まない範囲で限定的に検証を進めた。大量の行政データから高度な検索を実現する、特定課室に最適化した生成AIの実装も検討しているという。今後、検証結果やセキュリティ対策を整理した上で、2024年夏ごろを目指し、全省での本格的な生成AI活用を開始する予定だ。

 月岡氏は、「情報政策を所管する経産省として、自ら、生成AIをどうつかいこなすか挑戦し続けることが重要」と述べた。

 一方の自治体向けにも、日本マイクロソフトは、ハッカソン・アイディアソンを展開しており、先進的な自治体に対して、自治体業務に即した、あるいは、セキュリティやAIの倫理に配慮された生成AIの利活用を共に模索している。

 アイディアソンを実施した自治体としては、中野区長の酒井直人氏が登壇、DXを基盤とした生成AIの取り組みを紹介した。

中野区長 酒井直人氏

 中野区は、2024年5月に新庁舎を移転、自治体のやり方を変える契機と捉えて、ペーパーレス化を推進し、場所に捉われない働き方を実現するためのインフラ整備を進めた。また、日本マイクロソフトとは、DX推進のための連携協定を2022年に締結しており、アイディアソンを含めて経営層および一般職員に対するDX人材育成を重ねてきた。

 Copilot for Microsoft 365については、生成AIのガイドラインを策定し、全職員がブラウザベースのパイロット版を利用できる環境を構築。現在は、DX推進室内で試行中であり、日本マイクロソフトからもプロンプトスキルの共有など、活用のための支援を受けている。「積極的に使いこなすべきだ」という姿勢のもとで、活用研修や効果測定などに取り組みつつ、Copilot for Microsoft 365の利用を進める予定だ。

 酒井氏は、「区長になる前は職員だったが、これまで、PCの導入で1週間かかかる仕事が3秒で終わるなど、革命的な変化を見てきた。AIの登場で、同じことが起こるのを感じている。職員が本当にやらなくてはいけない仕事は沢山ある。そこに資源を集中させるという意味でも、AIには期待している」と語った。

中野区におけるCopilot for Microsoft 365の活用状況

 経済産業省や中野区の他にも行政機関でのAI活用は進んでおり、マイクロソフトのAIを活用もしは検証している行政機関は100以上になるという。今後も日本マイクロソフトは、150以上のパートナー企業と連携して、行政機関のAXの加速に向けて支援を続けていく予定だ。

100以上の行政機関で進むマイクロソフトのAIの活用

150社以上のパートナー企業と行政機関のAX実現を支援

 また、使うAIの促進における新たな取り組みとして、Copilot for Microsoft 365の検証環境を2024年6月より提供予定だ。実際の業務データを使用せずに、機密性の低い文書だけで評価検証できる個別環境を用意。まずは、中央省庁から展開し、順次対象を拡大していく。

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