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第1弾は異例ずくめの反響、ダブっても“冗長化”あつかい、海外からの問い合わせも

「手のひらネットワーク機器」第2弾は6月13日発売! 今年もInteropで先行配布

2024年06月05日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 ターリン・インターナショナルは、2024年6月5日、累計10万個以上を販売したカプセルトイ「手のひらネットワーク機器」の第2弾を、6月13日に発売すると発表した。順次、全国のカプセルトイ自販機コーナーにて展開される。あわせて第1弾についても、LANケーブルを青から黄色に変え、再々販売を開始する。

 第2弾もSler事業などを手掛けるエーピーコミュニケーションズが企画・総合監修を担当。ラインアップは、APRESIA Systems「ApresiaNP3000-24X4Q」、Extreme Networks「5720-48MXW」、フォーティネット「FortiGate-3701F」、そしてサーバー界から参戦したデル・テクノロジーズ「PowerEdge R760」の全4種だ。価格は1回500円(税込)、取扱店舗は、ターリン・インターナショナルの公式X(旧Twitter)で、6月12日に告知される。

左が第1弾の4種、右が第2弾の4種

 企画を担当したエーピーコミュニケーションズ 社長室 広報グループの小松千恵氏と、開発・製造を手掛けたターリン・インターナショナルの代表取締役社長である佐藤直志氏に、第2弾の詳細と第1弾の反響を伺った。

第2弾のチャームポイントは、電源の“冗長化”

 手のひらネットワーク機器は、ITインフラメーカーのネットワーク機器を1/12サイズのミニチュアとして再現したカプセルトイである。各メーカーが監修に協力し、こまかなディテールや色までを忠実に再現しているのが特徴だ。

 許可を得た上で使用される各メーカーのロゴは「チャームポイントのひとつ」と小松氏。サーバーとして加わったPowerEdge R760においては、前面を保護するベゼルの再現に苦労したという。

第1弾をお披露目した際には、ロゴ勝手に使って大丈夫? と心配されたらしい

ネットワーク機器の再現度の比較

 ネットワーク機器の本体に加え、付属品も充実しており、「自宅や職場のデスクにデータセンターを再現できる」というコンセプトだ。ラックマウントした各ネットワーク機器は、第1弾も含め、LANケーブルでつなぐことができる。

 4種類集めると1ラックが完成する組み立て式のラックは、横連結ができ、冷却ファンやケーブルホルダー、電源タップ、棚板なども取り付けられる。元々エンジニアであった小松氏によるこだわりの部分で、配線のために底に穴があいているという徹底ぶりだ。

第2弾のラインアップと付属品

ターリン・インターナショナルのウェブサイトではサーバールームの壁紙(ペーパークラフト)も配布中

 第1弾からの追加要素として「電源の冗長化」がある。電源ユニットが2つに拡張され、電源ケーブルも2本に。「サーバーは電源冗長化しないと!」というデル・テクノロジーズからの強い要望も受け、コストの問題を乗り越えて実現した。

サーバーの追加を受け、第2弾の機器はすべて電源が冗長化された

10万個を販売した第1弾の反響は? エンジニアはダブりも“冗長化”と歓迎、海外から問い合わせも

 このカプセルトイは、エーピーコミュニケーションズの「ITインフラ業界を盛り上げたい!」という想いから誕生した。ITが必要不可欠となった一方で、ITインフラエンジニアという職業の認知は低く、同社も採用に頭を悩ませていた。「インフラエンジニア川柳」なども手掛けたが、非エンジニアにも訴求できる企画を模索していたという。

 「当社だけではなく、ITインフラ業界自体の認知を上げないと職業の選択に至らない。エンジニアを超えた、さらに向こうに届くものとしてカプセルトイにたどり着いた」と小松氏。

 その後、手のひらPCをカプセルトイとして展開した実績のある、ターリン・インターナショナルの賛同を得て、2023年の「手のひらネットワーク機器」第1弾の販売に至っている。

エーピーコミュニケーションズ 社長室 広報グループ 小松千恵氏

 ターリン・インターナショナルの佐藤氏は、「通常、200円や300円の価格設定で10万個売れると“大ヒット”と言われているカプセルトイで、(第1弾は)500円という価格で10万個売れるなど、当初の想定を超えた」と振り返る。

ターリン・インターナショナル 代表取締役社長 佐藤直志氏

 第1弾は、昨年6月15日の販売開始から翌々日には売り切れ、即再販を決定。9月26日に再販したが、今度は翌日に売り切れた。毎月500アイテムほどが登場し、平均販売個数は3万個というカプセルトイ業界の中で“異例の反響”を得たという。

第1弾は、A10ネットワークス、シスコシステムズ、古河電気工業の3社から4種の機種が展開された

 消費者の受け入れ方も変わっていた。ふだんは嫌がられるカプセルトイの“かぶり”も、エンジニアからは「冗長化できる!」と歓迎されたという。「このシリーズは、同じものが出ても嬉しい、いっぱい欲しい、と今までにない反応」だと佐藤氏。

これまでのカプセルトイ層とは異なる濃い層にリーチした

 また佐藤氏は、「競合メーカーが集まって、呉越同舟でひとつのシリーズを作ることも稀有」だと指摘する。総合監修を担うエーピーコミュニケーションズが独立系のSlerであり、ひとつのメーカーを担がず、インフラ業界を一緒に盛り上げようと働きかけたからこそ実現した企画だという。

 ターリン・インターナショナルも戸惑う、異例ずくめの商品になった一方で、当初の狙いである「インフラ業界の認知拡大」という点でも成果を得られている。

 「カプセルトイをきっかけに、当社の採用にエントリーしてくれた方が結構いる。韓国で話題になったのを受けて『日本で働きたい』という新卒の方の問い合わせもあった」と小松氏。他にも「アメリカでも販売してくれないか」という問い合わせや、大学やIT専門学校では「教材として使いたい」という要望もあったという。

今年もInterop Tokyoで先行配布、「第3弾」にはメーカーの順番待ちも

 「手のひらネットワーク機器」の第2弾は、6月13日より販売を開始し、全国500店舗以上で取り扱われる予定だ。問屋からの注文に応じて生産する形をとるが、既に注文は10万個を超えているという。

 また、第1弾と同様に、6月12日~14日に幕張メッセで開催されるネットワークインフラの展示会「Interop Tokyo 2024」にて、先行配布される予定だ。

 第2弾のカプセルトイはエーピーコミュニケーションズのブースで用意しているほか、第1弾に参加したA10ネットワークスと古河電気工業、第2弾に参加したフォーティネットジャパンのブースでも配布される予定だ。コラボ企業の配布条件や配布数、配布アイテムはそれぞれ異なる。

Interop Tokyoで「手のひらネットワーク機器」を配布するブース

 さらに、好評を受けて第3弾も展開する予定。「列をなして待っているメーカーもある」と小松氏。主要なネットワーク機器がすべて、カプセルトイ化される未来も遠くないかもしれない。

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