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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第341回

世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある?

2024年06月01日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 スマートフォンを学校内で禁止する動きが欧州を中心に広まりつつある。最新のニュースが英国だ。中学生以下の学生が学校で使用することを禁じるガイドラインを政府が出している(https://committees.parliament.uk/committee/203/education-committee/news/201715/stronger-guidance-and-controls-needed-to-protect-children-from-screen-time-education-committee-finds/)。

スマホ

イギリスの教育委員会が、子供を長時間のスマホ利用から守ることが必要とするガイダンスを公表した

英国でのスマホでの懸念はいじめ、注意欠陥、授業崩壊など
悩みは世界で大体同じらしい

 iPhone登場から17年、いつしか「スマートフォンを子供に持たせるか、持たせないか」から、「いつ持たせるか」に変わったと感じている。すでにスマホは当たり前となった。大人の生活を楽にしてくれるスマホを、子供が使えないというのはフェアではない。だが、大人は子供を守る存在でもある。果たしてスマホはいつから持ってもいいものなのか?

 子供にとっては、計算機(コンピューター)があるのになぜ計算を覚えなければならないのか、口で話した言葉をスマホが書き取ってくれるのになぜ漢字やスペルを覚えなければならないのか、そんな疑問が生じることもあるだろう。ちなみに計算機を使うことを前提に、算数の授業をしている国もある。

 だが、スマホの課題はアプリにある。InstagramやTikTokなどのアプリは中毒性があること、若者のメンタルヘルスに良くない影響を与える可能性などが主張されるようになって久しい。

 英国政府では子供のスマホ利用の問題点として、オンラインでのいじめ、注意欠陥を招く、授業崩壊につながる、などの点を挙げている。同国では、12歳の子供のうち97%が自分のスマホを所有しているという。さらに18歳以下の79%がスマホで暴力的なポルノグラフィーが表示された経験があるという。

 そこで、ガイドラインでは16歳以下の子供が学校で(休憩時間含む)使うことを禁止するとしている。

イタリア、オランダ、フランス、シンガポールなど
学校でスマホを禁じる法律を定める国は増えている

 ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)のレポート(https://www.unesco.org/en/articles/smartphones-school-only-when-they-clearly-support-learning)によると、スマホが学校の成績の低下につながること、見ている時間が長いと子供たちのメンタルに悪い影響を及ぼすとして、学校でのスマホ禁止を求めた。

 すでに、学校でスマホを禁じる法はイタリア、オランダ、フランスといった欧州の各国やシンガポール、コロンビア、コートジボワールなどでなんらか制定されているという。プライバシーの懸念から、フランスやデンマークでは「Google Workspace」を、ドイツの一部の州ではMicrosoft製品を禁じており、米国では「TikTok」を禁じる学校や大学がある。

 だが、技術にはもちろん優れた面もある。まずは安全確認。これはスマホでなくてもいいが、GPSにより位置情報が確認できる機能をありがたいと思う親は多いだろう。

 そもそも、中学生にもなって良い方向に使えば、スマホは子供にパワーを与えてくれること自体に異論はないだろう。

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