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山本 敦の「新選! オーディオレポート」 第41回

ついにNothingのイヤホンがChatGPT対応! 実機を試してわかったこと

2024年05月28日 18時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島 恵里子/ASCII

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東京の西葛西に出かける用事があったので、美味しいカレー屋を検索。左側は静かな自宅で事前に調査したときの応答。比較的間違うことなくスムーズにチャットができました。右側は西葛西に到着して、駅前の屋外でChatGPT検索を行った時の結果。音声の聞き取り精度が低下するためか、なかなか質問を正しく認識してくれず苦戦しました

ChatGPTを「イヤホンによる使用」に最適化する必要がある

 リモコンからChatGPTを一度起動すれば、以降はコマンド入力待機の状態が続きます。スマホの画面を見ることなく、ハンズフリーのままチャットボットと連続で応答が交わせました。

 筆者は無料版のGPT-3.5で試しましたが、日本語による応答は期待を超えて賢く実用的でした。ただChatGPTの仕様上、AI音声による日本語の応答はたどたしいです。AI音声は「そよ風」「残り火」「入り江」「ビャクシン」の4種類から選べますが、いずれもアクセントが日本語のネイティブスピーカーと少し違います。

 Nothing Earが内蔵するマイクのピックアップ性能によるものなのか、よほど静かな場所でない限り、声を張らないと音声コマンドを正しく受け付けてもらえませんでした。音声からテキストへの変換に誤認識が頻発してしまい、スムーズな会話のキャッチボールになりません。他の言語と間違えることもよくありました。静かなカフェやオフィス、電車の中などでは大きな声を出しづらいので、ChatGPTとの音声によるやり取りは困難です。

 ChatGPTからの回答も、尺が長くなると音声情報だけでは追い切れません。イヤホンによる使用を想定して、よりコンパクトに要約した回答を返す仕様に作り込む必要がありそうです。

 Nothingがいち早くオーディオ機器をChatGPTに対応させたことには大きな意義があると思います。筆者が知る限り、Nothingはかなり早い段階でChatGPT対応のワイヤレスイヤホンを世に提案したブランドです。実機で試すと、課題は散見されるもののイヤホンとChatGPTの相性は悪くないと感じます。オーディオ機器による使用に最適化が進めば、便利な使い方も開拓されるのではないかと期待も膨らみました。

 年内には多数のライバルが追随してくると思います。スマホとイヤホンの両方を展開する「Nothingらしい進化」が達成されることを楽しみにしています。

 
主なスペック
製品ジャンル ワイヤレスイヤホン
ブランド Nothing
製品名 Nothing Ear
価格 2万2800円
形式 密閉
ドライバー 11mm口径セラミック振動板 ダイナミックドライバー
Bluetooth LDAC/LHDC/AAC/SBC
連続再生時間 最大5.2時間(ANC オン)、最大24時間(ケース使用時)
 

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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