連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第135回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 5月18日~5月24日
転職エージェントに対するエンジニアの不満、「データ活用の民主化」第一歩はデータ基盤構築“ではない”、ほか
2024年05月27日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(5月18日~5月24日)は、国内ソフトウェア市場の成長予測、転職エージェントに対するITエンジニアの不満、「データ活用の民主化」に対する5つの誤解、Webアプリ脆弱性管理市場の動向、増加する在留外国人との地域の関わりについてのデータを紹介します。
[ソフトウェア]生成AIブームで国内ソフトウェア市場は前年比9.5%増の4.6兆円へ(IDC Japan、5月22日)
・2023年の国内ソフトウェア市場は4.6兆円、前年比9.5%増
・パブリッククラウドサービスは21%成長、全体比率は39%へ
・2023~2028年の年間平均成長率(CAGR)は9.4%
2023年のソフトウェア市場(パブリッククラウドサービスを含む)規模について、グローバルは前年比12.5%増の9506億ドル、国内は同9.5%増の4兆6824億円と推定。国内市場の成長を牽引したのは「生成AIブーム」「アプリケーションのモダン化」「セキュリティ対策の強化」など。特に、AIプラットフォーム市場は前年比58.8%増、アナリティクス/BI市場は同17.5%増と高い伸びを見せた。パブリッククラウドサービスは、全体の成長率を上回る前年比21%増の1兆8586億円となり、全体に占める比率は39%となった。
[転職][開発者]転職エージェントを利用したITエンジニアの56%が「技術理解がない」エージェントに不満(ウィルグループ、5月23日)
・転職エージェントとの面談で苦労したのは「エンジニアの技術について理解がない」(56%)
・転職活動において最も苦労したフェーズは「経歴書・履歴書の作成」(48%)
・応募企業選定での苦労は「提案される求人数が多く、自分に合う求人がわからない」(54%)
転職エージェントを利用して転職を経験した20歳~59歳のITエンジニア492名を対象とした調査。転職エージェントの活用で苦労したことは「エージェントがエンジニアの技術についてあまり理解していない」が56.8%でトップ。そのほか「面談の時間が長い」(50.4%)、「エンジニアのキャリアステップについて理解していない」(46.8%)などが挙がった。転職活動において最も苦労したフェーズについては、48%が「履歴書/職歴書の作成」を挙げトップだった。
[データ][アナリティクス]“データ活用の第一歩として基盤構築が必要”“専門人材がいないとデータ活用が進まない”は誤解(ガートナージャパン、5月23日)
・データ活用の民主化、“第一歩としてデータ基盤構築が必要”は誤解
・AIの活用には、AIエンジニア/開発者/倫理担当など専門的役割が不可欠
・“データの専門人材がいないからデータ活用が進まない”も誤解
「データ活用の民主化」に向けて押さえるべきポイントを、“5つの誤解”とともに紹介。誤解の1つが“第一歩として、データ統合基盤を構築する必要がある”というもの。それ以前に、どのようなビジネス上の問いに対してデータからの洞察(インサイト)を得たいのかを明確にし、試す必要があると指摘し、そうした基盤がない/データが一カ所に集約されていなくとも「十分に可能」と助言している。また“データ専門人材の必要性”についても、実際の問題はそうした人材の不足/不在よりも「組織文化やマインドセット」にある可能性を指摘する。
[セキュリティ]Webアプリ脆弱性管理市場は2023年度、前年度28%増の見込み(アイ・ティ・アール、5月23日)
・Webアプリケーション脆弱性管理の国内市場、2023年度は前年度比28.3%増
・2027年度には55.6億円規模を予測
・成長要因は「Webアプリケーションの増加」と「攻撃の増加」「診断の義務化」
国内のWebアプリケーション脆弱性管理市場規模についての調査。2022年度の売上金額は前年度比21.6%増の27億6000万円だった。2023年度は同28.3%増の35億4000万円を見込む。成長要因として「Webアプリケーションの利用増加」と「Webアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃の増加」を挙げる。さらに2023年1月、経済産業省が2024年度末を目途に「ECサイトの脆弱性診断の実施義務化」方針を発表したことも追い風になっている。同市場のCAGR(2022~2027年度)は15%で、2027年度には55.6億円に達すると予測している。
[生活]増加する在留外国人、5人に1人が「日常的に関わりあり」(NTTデータ研究所、5月23日)
・3人に1人が外国人住民の増加を実感、5人に1人は日常的に関わりあり
・期待は「多様性の実現」、不安は「治安への影響」
・「機会があれば関わりたい」は40%、「できれば関わりたくない」は41%
10代以上の国内在住日本人1088人を対象に行った「地域における外国人との関わりに対する意識調査」より。日本の在留資格を保有する外国人数は、1990年の約107万人から2023年末に約341万人と急増している。外国人住民との関わりでは、5人に1人が「日常的に関わり」があり、地域との関わりが深い人ほど関係が構築できている。関わりを持つきっかけは「近隣で顔見知りから」が最多。外国人住民が増えることへの期待としては「多様性社会の実現」、不安としては「治安への影響」がそれぞれ最多だった。なお、そもそも外国人かどうかに関係なく「近隣住民と関わること」に消極的な傾向も明らかになった。
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