ハードウェア支出は減少も、ソフトウェアやサービスがけん引
国内IoT市場は各産業で導入が進み、2028年には約9兆4千億円に ― IDC予測
2024年05月13日 16時45分更新
IDC Japanは、2024年5月13日、国内IoT市場の予測を発表した。同社は、国内IoT市場におけるユーザー支出額について、2023年の6兆4672億円の実績から、2028年まで年間平均成長率8.0%で成長を続け、2028年には9兆4818億円に達すると予測する。
産業分野別では、労働人口の減少や労働規制の強化による人手不足の深刻化に伴い、物流や建設、医療分野でIoTの導入が進むとみられるという。主なユースケースとして、物流効率の向上に資するスマート倉庫管理や、建設作業の効率化のための建設アセット管理、医療分野の院内クリニカルケアが挙げられた。
技術グループ別では、ハードウェアの支出割合が、2023年の38.6%から2028年の35.2%に減少する一方で、ソフトウェアは20.6%から22.9%に、サービスは30.8%から33.4%へと、それぞれ増加すると予測している。今後IoTの導入目的が、単純な数値計測から、物流分野における配送経路の最適化や、製造業における機械学習・分析と組み合わせた予兆保全など、より高度な目的に変化するとみられるからだという。
IDC JapanのInfrastructure & Devicesのリサーチマネージャーである山下頼行氏は、「物流や建設、医療などの分野で顕著な人手不足や、スマートメンテナンスやコネクテッドカーなど新たな技術やソリューションの普及、サイバーセキュリティリスクに対応する政府による認定制度の構築などが国内IoT市場の成長に影響する。ITサプライヤーは、こうした技術や制度の変化がもたらす市場機会をいち早く捉えるべきである」と述べている。