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音を知る企業による自社ブランドの第一弾製品

一生使いたいヘッドホンを見つけた。その名は「The Industrial-ist Wired」だ!

2024年05月18日 11時00分更新

文● 貝塚/ASCII

提供: 株式会社ユー・エス・イー

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描写力は高く情報量は多いが、耳が疲れにくい

 試聴した感想も述べたい。

 聴いてみたのはポップス中心でYOASOBI「怪物」、Ado「逆光」、Mrs. GREEN APPLE「Soranji」、NewJeans「NewJeans」、ビリー・アイリッシュ「bad guy」など。ほか、ダイナミクスの再現性をチェックするためにベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演/カラヤン指揮の「The Planets, Op. 32: IV Jupiter, The Bringer of Jolity」やスタジオで取りっぱなし(REC時ハードコンプレッサーのみ・未ミックス)のアコースティックギターや、以前収録で協力したミックス済・未マスタリングのバンド音源(ボーカル、ギター、ベース、ドラム構成)なども。環境はPCにハイレゾ音源の出力に対応したオーディオインターフェースをUSB接続して、ソースはWAVか、ロスレス音源で試聴した。

 The Industrial-ist WIREDは密閉型のヘッドホンだが、音がこもって分離感が薄れる感じは少なく、定位感ははっきりとつかめる(音の強弱、音と音との位置関係がわかりやすい)。低い音域は再現性がよく(過度な演出がなく)、ミックスの意図を感じやすい。

 音域を激しく移動するボーカルが載っている楽曲は、ヘッドホンの性能次第では(ソースの低域のパワーに対応し切れずに歪みが出たり、低域にムラのある印象の出力になって)耳が中域にフォーカスされすぎ、聴いていて疲れることがある。The Industrial-ist WIREDの場合、低い音域がずっとストレートに安定して鳴っていて下を支えてくれるので、長時間の試聴でも苦痛が少ない。

 ダイナミクスの再現性は申し分なく、音が大きくなったときは歪みにくく、消え入りそうな音の最後の切れ目まで正確に把握できる。中高域〜高域は、「透き通るような」というよりも「ソースに忠実」といった方が合っていて、ミックスで持ち上げているときは、その演出をつかみやすい。

ドライバーが耳から近い位置にセットされている

 イヤーパッドを外してみるとわかるが、The Industrial-ist WIREDはドライバーが耳から近い位置にセットされている=音が鼓膜に届くまでの距離が短い。かつハウジングは硬質なカーボンとポリカーボネートのハイブリッド構造である。この両者を掛け合わせて考えると、構造的に減衰と共振が最小限に抑えられているから、正確な表現が可能になっていると思われる。

 最近の邦楽ポップスは、低域の深い音域に厚みがあり、ボーカルは音圧を高くしつつもダイナミクスの感じられる音作り、中高域に位置する楽器類はコード系は近め、装飾的なパートはパンを広げて、やや遠い距離から分離よく響いてくる傾向にある。

 The Industrial-ist WIREDは、深い音の正確な再現性や優れた定位感を持ち帯域のクセも少ないので、こうしたミックスの傾向にも対応でき、現代のモニタリングヘッドホンとして非常に優秀で、リファレンス的に長く愛用できる製品だと感じる。また、イヤーパッドの交換でやや音質の傾向が変化する。シープレザー製のものは鼓膜にダイレクトに細かい描写が伝わる印象で、ベルベット調のものは、吸音される音が増えるのか、ややデッドな空間のニュアンスが付加される。

 イヤーパッドによる音質変化だけでなく、ケーブルを好みのものに変更して、ユーザーごとに気に入った仕様にしても面白そうだ。ケーブルは汎用性の高い3.5mmのミニプラグでハウジングに接続されており、簡単に着脱できる。

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