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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第767回

Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ

2024年04月15日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 米国時間の4月9日、インテルはアリゾナ州フェニックスでIntel Vision 2024を開催した。このIntel Visionの基調講演の模様はインテルのウェブサイトから視聴可能である。

 さて、Intel Vision 2024はほぼすべてがAIにまつわる話題となった。これに絡んで、新しいハードウェア絡みの話がいくつか出てきたので、これを解説しよう。といっても冒頭の話は、昨年12月に開催されたAI Everywhereのものとそれほど変わらない。では今回のアップデートはなにか? という話になる。

Core Ultraの生産が予想より順調
増産できるかはFab 34次第

 まずインテルがクライアント/エッジ/データセンターのすべての領域に製品を展開しているのは繰り返すまでもないわけだが、エンタープライズ&エッジとデータセンターは後述するとして、まずはAI PC Nodeについてだ。

問題は、ここで言うエンタープライズ&エッジとデータセンターの両方を、同じ製品を利用して構築するシナリオになっていることである

 昨年末にCore Ultraが正式に発表され、同日製品出荷が始まったわけだが、すでに4月の時点で500万台以上が出荷されており、年末までには4000万台が出荷される予定であることが明らかにされた。

今年1月のIDCのレポートによれば、昨年1年の全世界のPC出荷台数は2億5950万台だそうで、今年は多少回復傾向にあるとはいえ、3億いくかどうかというあたり。このうちの4千万台がCore Ultraという計算になる

 以前連載734回で、かなり悲観的に見積もっても月産36万個は固い、という数字を説明したが、実際にはもっと生産量が多かったかたちだ。

 歩留まりを80%程度と見積もるとウェハー1枚あたりCPUタイルが580個程取れる計算になる。キリが良いから500個として、4ヵ月ほどで500万個の出荷ということはこの4ヵ月でIntel 4のウェハーを1万枚ほど生産できていることになる。

 月産あたり2500枚という数字になるわけで、これは予想よりかなり順調である。とはいえ、連載734回の予測は最悪値に近いものなので、上回っていないとビジネスとして成立しにくいのだが。

 そして今年末までに4000万台を出荷ということなので、8ヵ月程度で3500万個のコンピュートタイルを製造する必要がある。ウェハーにすれば35万枚で、毎月4万枚強の量産が必要になる。これが実現できるかどうか、はFab 34がどこまで迅速にIntel 4の量産をスタートできるかどうかにかかっている。

 Fab 34は昨年9月に量産開始のアナウンスがあったが、これはまだMeteor Lakeのシリコンではなくテスト用のものだし、量産工程を全部回せるようになったというだけで、大量生産には至っていない。

 現状の月産2500枚という数字は、規模からいってオレゴンのD1での製造がメインで、Fab 34の分があったとしてもそれほど多くはないと考えられる。まずはこのFab 34の立ち上げがどこまで迅速に行なえるかが、このスライドの数字を実現できるかどうかの鍵になりそうだ。

Lunar LakeはWindows 12の要件である
40TOPSを超えるNPU性能

 さて、現在のMeteor Lakeの後継(?)として開発中なのがLunar Lakeである。「後継(?)」というのは、Meteor LakeのすべてのSKUをカバーできないためだ。

Lunar Lakeを示すGelsinger氏。といってもLunar Lakeそのものはすでに公開されているので、初公開というわけでもないのだが

 Meteor Lakeは2種類のコンピュートタイルがあり、高性能な方は6×Pコア+8×Eコア、省電力な方は2×2コア+8×Eコアという構成になっている。実際の製品で言えばMeteor LakeのU-SKUが省電力版のコンピュートタイル、その他が高性能版のコンピュートタイルを使っているわけだが、Lunar LakeはこのU-SKU側の後継製品として位置づけられており、通常版のSKUの方は「現在聞いている限りでは」Meteor Lakeが引き続き投入されることになっているはず(これが更新されるのは、さらにその次のArrow Lake世代)である。

 ただここに来て、次世代のWindows 12が40TOPS以上のNPU性能を必要とする、という報道が出ているのはご存じのとおり。これはまだ正式なものではない(現実問題としてこれを厳密に適用すると、現在市場に出ているすべてのPCがWindows 12に移行できなくなる)のだが、1つの目安になっているのは確かである。

 Meteor LakeのNPUは10TOPS程度の性能に過ぎないのだが、Lunar Lakeではプラットフォーム全体で100TOPS以上になるとされ、NPU単体でも45TOPSであることが今回公開された。

AI性能が3倍というのは、Meteor Lakeではプラットフォーム全体が34TOPSとされており、これが100TOPSでほぼ3倍になったという計算。NPUだけだと4.5倍になる

 つまりLunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能を発揮するわけだが、となるとLunar Lakeの出荷が開始されると、U SKUの省電力ノートはWindows 12対応なのに、よりパワフルなH SKUはWindows 12に対応できない、という逆転現象が起きてしまうことになる。

 このあたりをどういう形で解決するのか、今のところはっきりしていない。あるいは、この時期にNPUをLunar Lakeのものに入れ替えた、Meteor Lake Refreshが出てくるのだろうか? この場合、SoCタイルの入れ替えだけで済むのでチップ全体の作り直しよりは簡単で、SoCタイルとパッケージで済むだろう。

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