英・米にて実証実験、都市部と郊外のデータセンターを一つの統合ITインフラに
NTT、IOWN APNで約100kmのデータセンター間を「1ミリ秒以下」で接続成功
2024年04月12日 17時30分更新
NTTとNTTデータグループは、2024年4月12日、イギリスおよびアメリカにて、遠距離データセンター間を「IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」で接続する実証実験を実施したことを発表した。約100km離れたデータセンター間の通信を「1ミリ秒以下」の低遅延で接続することに成功したという。
同実証は、NTTグループ保有のイギリスにおける「へメル ヘムステッド」と「ダゲナム」のデータセンター間(89km)、アメリカの「アッシュバーン」における2つのデータセンター間(4km)を、NEC製のAPN機器で接続し、両データセンター間の往復遅延および遅延ゆらぎを測定した。その結果、400Gbpsの通信においてイギリスでは「0.893ミリ秒」の遅延と「0.035マイクロ秒」の遅延ゆらぎ、アメリカでは「0.062ミリ秒」の遅延と「0.045マイクロ秒」の遅延ゆらぎで接続できたという。
大手クラウド事業者では、同一のデータセンターとして扱える条件を「遅延が2ミリ秒以内」と規定しており、今回の結果は、一般的なクラウドアプリケーションで想定されている遅延・遅延ゆらぎの制限をクリアするものとなる。NTTでは、IOWN APNによって、都市部と郊外のデータセンターをまるで同一のデータセンターであるかのように活用できる統合ITインフラを構築できるとし、分散型リアルタイムAI分析や金融分野への適用を想定している。
また、日本国外のデータセンター間をIOWN APNで接続するには、現地の複数のダークファイバー事業者と連携して、事業者ごとの光ファイバーの特性等に応じてネットワークを設計・運用する必要がある。ファイバー敷設状況、遅延・遅延ゆらぎなどの情報を収集していくことで、日本国外においてデータセンター間をIOWN APNで接続した統合ITインフラを提供できるという。