ストックフォト大手のPIXTAは4月8日、同サービス上で配信されている画像コンテンツについて、生成AI学習用データとしての販売を始めると発表した。あわせて、販売されたデータの制作者に対する還元制度も用意される。
AI学習用素材の需要増加を受けた対応
同社はこれまで、生成AIの学習データとしてコンテンツを提供することには慎重な姿勢を示してきた。しかし、同社のコンテンツを生成AIの学習用に利用したいという問い合わせが多く、ライセンスビジネスとして大きな収益も見込めることから方針を転換した形だ。
対象となるコンテンツは、2024年4月22日の時点で定額制で販売されている写真・イラスト・動画(オプトアウトしたものを除く)および素材に付随するメタデータ。
データの販売方法については、同社が顧客からの問い合わせに応じて個別にライセンス契約を締結することを想定しており、4月8日現在、不特定多数に向けた提供は予定していないという。
クリエイターへの報酬制度も用意
PIXTAでは一般のクリエイターが作品を販売することもできるが、こうした作品が生成AI用学習データとして売れた場合、収益の一部が報酬としてクリエイターに還元される。還元額の計算方法は以下のとおりだ。
まずPIXTAが受領したコンテンツの売上(税抜)から関連して発生した同社の費用等を控除し、残った金額の80%相当がPIXTAの取り分となる。クリエイター側の取り分は、残り20%相当の金額から機械学習用データセットに含まれるコンテンツの割合に応じて分配される。
報酬は原則として、各年度(毎年1月1日から12月31日)ごとに集計。12月31日を締日として、翌1月末日までに、まとめて獲得クレジットとして付与するという。
付与総額はマイページから確認できるが、対象となったコンテンツの素材番号や用途に関する情報は開示されない。また、生成AIの学習用データとしての販売実績は、クリエイターランクには反映されないとしている。
データ利用の拒否も可能
自身の作品を生成AI用学習データとして販売されたくない場合は、クリエイター側で意思表示の手続きが必要だ。
同社は本件に関して専用の連絡フォームを用意しており、返信期日(2024年4月22日正午)までは同フォームから意思表示をすることができる。締切後も問い合わせフォーム経由で意思表示は可能だが、こちらは実際に意思表示が反映されるまでに一定の期間を要するとしている。