OpenAIは4月4日(現地時間)、AIモデルをより詳細にカスタマイズできる2つの機能強化を発表。これにより企業は自社の用途に合わせてAIモデルの精度を最大限に高め、コストを大幅に削減することが可能になるという。
新しいファインチューニングAPI
1つ目の機能強化は、2023年8月に公開された「GPT-3.5」の「ファインチューニングAPI( self-serve fine-tuning API)」を改良して作られた新しい「ファインチューニングAPI」だ。モデルの学習プロセスをこれまで以上に細かくコントロールできるようになるという。
具体的には、学習の各エポック(モデルの訓練プロセスにおける1サイクル)でチェックポイント(学習過程における重みパラメータの状態を保存したもの)を自動作成することが可能になった。これにより、学習中に過学習やハードウェア障害が起こった際などにも直前のエポックに戻って再開することができる。
また、「比較プレイグラウンド(Comparative Playground)」と呼ばれる新しいUIでは、複数モデルの出力を人間の目で客観的に比較・評価することができるという。
さらに、第三者AIプラットフォームとのデータ連携や、ハイパーパラメータの詳細設定といった高度なカスタマイズも可能になった。
カスタムモデルプログラムの拡充
一方、OpenAIが顧客企業と協力し、ニーズに特化したAIモデルを構築するためのサービス「カスタムモデルプログラム」に、「支援つきファインチューニング(Assisted Fine-Tuning)」と「カスタムトレーニングモデル(Custom-Trained Mode)」の2つのオプションが新たに用意された。
支援付きファインチューニングでは、OpenAIの研究者と協力しながら、パラメータ効率的ファインチューニング(PEFT)などの最新手法を活用し、企業のニーズに合わせてモデルを最適化するという。
一方、カスタムトレーニングモデルは、企業の大量の独自データを活用し、ビジネスや業界に特化したAIモデルを完全にゼロから構築するオプションだ。OpenAIが中間学習や事後学習プロセスを大幅にカスタマイズし、企業の複雑なニーズを反映したモデルを構築するという。
例えば、法律AIスタートアップの「Harvey」は、OpenAIとの連携でカスタムトレーニングモデルを構築し、法的な質問に対する正確な回答率が83%上がったという。
企業がAI活用を加速する中、汎用のAIモデルの限界も見えてきた。OpenAIは今回の機能強化について「企業がよりカスタマイズされた高度なAIを手に入れられるよう支援するもの」としている