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強誘電性と半導体特性が両立する有機分子を開発=東北大など

2024年03月28日 06時38分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学、信州大学、新潟大学、京都大学の共同研究チームは、有機半導体と有機強誘電体のそれぞれに必要とされる集合体構造を両立して実現可能な有機分子を開発。単一有機分子で、半導体特性と強誘電性の両立をデバイス構造で観測した。単一分子で作る有機メモリー素子の実現に寄与することが期待される。

東北大学、信州大学、新潟大学、京都大学の共同研究チームは、有機半導体と有機強誘電体のそれぞれに必要とされる集合体構造を両立して実現可能な有機分子を開発。単一有機分子で、半導体特性と強誘電性の両立をデバイス構造で観測した。単一分子で作る有機メモリー素子の実現に寄与することが期待される。 半導体特性と強誘電体特性は、外部電場に対して電流を流す性質と電荷を保持する性質であり、互いに相反する物性であることから、その分子設計の指針は異なる。研究チームは今回、高いホール移動度を有する半導体特性を有する有機材料のベンゾチアノベンゾチオフェン(BTBT)骨格に極性水素結合ネットワークを導入して強誘電性を発現させ、半導体特性との両立に成功。さらに、強誘電体の外部電場応答性を利用して有機半導体デバイスのON/OFFスイッチングを実現した。 有機材料は、分子集合様式や分子間に働く様々な相互作用を化学的に制御することによって多彩な機能を引き出せる。現在の電子デバイスのほとんどはシリコンに代表される無機材料で作られているが、有機材料に置き換えることで、柔らかくて曲げに強い、真空装置がいらない印刷技術で短時間で製造できるなど様々な利点が得られるとされている。 研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)に2024年3月14日付けでオンライン掲載された

(中條)

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