連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第127回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月16日~3月22日
「仕事との健全な関係」カギはAI?、国内ERP市場とビッグデータ/アナリティクス市場の成長率、“Fast 50”トップ企業は、ほか
2024年03月25日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(3月16日~3月22日)は、従業員と仕事との関係性とAIの役割、SaaS型の普及で伸びる国内ERP市場、ビッグデータ/アナリティクス国内市場、テクノロジー企業成長率ランキング“Fast 50”のデータを紹介します。
[働き方][AI]仕事との関係が「健全」はわずか5%、リーダーの61%が関係改善にAIが重要な役割果たす(日本HP、3月19日)
・仕事との関係が「健全」は5%(世界は27%)
・リーダーの61%(世界72%)が仕事との関係性改善にAIが役割果たすと回答、従業員は47%(世界53%)
・従業員の41%(世界55%)は「AIは仕事を楽しむ新たな機会をもたらす」
世界12カ国で従業員と仕事の関係性を調べた「HPワークリレーションシップ・インデックス(対仕事関係指数)」(2023年10月公開)の追加分析結果、および日本個別の結果を公開。10月調査では仕事との関係性が「健全である」と回答した日本の従業員はわずか5%(世界27%)だったが、リーダーの61%(世界72%)/従業員の47%(同53%)が「AIは仕事との関係改善に重要な役割を果たす」、リーダー60%(同72%)/従業員48%(同54%)が「ワークライフバランスの向上にAIが貢献できる」など、AIが仕事との関係を健全にする可能性があると認識されていることがわかった。
[ERP]2023年度の国内ERP市場、SaaS型ERPの伸びで前年度比17%成長の見込み(アイ・ティ・アール、3月21日)
(https://www.itr.co.jp/topics/pr-20240321-1) ・2022年度のERP市場の売上金額は1687億円、前年度比11%増
・2023年度は前年度比17%増の見込み、2022年度の伸びを上回る
・パッケージ市場は前年度比3%減、SaaS型は同26%増
国内ERP市場の提供形態別の市場規模の推移および予測。ERP市場はシステムのリニューアル、インボイスなどの法改正対応が追い風となり、2022年度は前年度比11.6%増の1678億円の売上となった。提供形態別では、パッケージが前年度比3.4%の減少、一方でSaaSが26.8%の増加。2023年度もパッケージからSaaSへのシフトという傾向が続き、やや低調だった一部ベンダーの売上が上向きに転じていることなどから、前年度の伸びを上回る17.5%増を見込む。パッケージ市場の年間平均成長率(CAGR、2022~2027年度)は2.5%減、SaaS市場は20.3%増と予測している。
[ビックデータ][アナリティクス]ビッグデータ/アナリティクス国内市場は2024年、前年比14%増の2兆749億円の予想(IDC Japan、3月21日)
(https://idc-jpn.jp/cc/0y239juxg0m1V1J7r) ・ビッグデータ/アナリティクスの国内市場支出額は2024年、前年比14%増
・グローバル市場支出額は2024年に前年比16%増を予想
・2022~2027年の年間平均成長率は15%
ビッグデータ/アナリティクス市場に関わるテクノロジー分野(ハード/ソフトウェア、サービス)への支出額を、26の産業/5段階の企業規模に分類してまとめた「IDC Worldwide Big Data and Analytics Spending Guide」より。2023年の国内市場は、BI市場の継続的拡大、データ活用環境整備のための構造化データウェアハウス(DWH)/非構造化データストアの拡大など、各テクノロジー分野で成長し、2024年の支出額は前年比14.8%増の2兆749億円になると見込む。2024年以降は生成AI/予測型AIの利用、それに伴うデータ需要の増加などが予測されており、2022~2027年のCAGRは14.3%で成長し、2027年に3兆541億円に達すると見込む。
[ビジネス]国内のテクノロジー企業成長率ランキング“Fast 50”、1位のエニキャリは成長率1442%(デロイト トーマツ グループ、3月21日)
(https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20240321.html) ・テクノロジー/メディア/通信の成長率ランキング“Fast 50”、1位はエニキャリ
・3決算期の売上高成長率が300%(4倍)以上の企業は14社、前回の4社から増加
・上位50社のうち28社がソフトウェア、12社が通信
日本のテクノロジー/メディア/通信(TMT)業界企業について、過去3決算期の収益(売上高)基づき成長率を算出、ランキングした「Technology Fast 50 2023 Japan(Fast 50)」より。今年度で21回目。1位はラストワンマイル領域の物流ソリューションベンチャーであるエニキャリで、成長率は約15.4倍(1442.9%)。2位はARグラス向けディスプレイ部品などのCellid、3位は顧客プラットフォームなどを開発するAsobica。3決算期売上高成長率は50社平均で283.13%。300%以上の企業が14社となり、前回の4社から10社増えた。コロナの5類移行に伴い景況感が改善したことなどが要因としている。
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