利用者相互の「知の還流」を促すインキュベーション施設運営や次世代ライフスタイルに沿った住まいと暮らしをデザインする、日鉄興和不動産
JAPAN INNOVATION DAY 2024――日鉄興和不動産ブースレポート
2024年3月1日、日鉄興和不動産株式会社は「JAPAN INNOVATION DAY 2024」に出展。同社のブースでは、品川インターシティ内のインキュベーション拠点「SPROUND(スプラウンド)」と、次世代の暮らしを調査研究する「リビオライフデザイン総研」の取り組みについて紹介していた。
世界で戦えるスタートアップを品川から生み出す
インキュベーションオフィス「SPROUND」
「SPROUND(スプラウンド)」は、シード期のB2Bスタートアップが成長できる場として、品川インターシティA棟の22階に2020年9月に開設されたインキュベーションオフィス。「知の還流」をコンセプトに、入居者がお互いの知識を共有して成長を促進することを目指しており、コミュニティ形成の仕掛けづくりに力を入れているのが特徴だ。SPROUNDには、シリコンバレーと東京を拠点に活動するベンチャーキャピタル(VC)「DNX Ventures」の日本チームが入居しており、先輩スタートアップやVCによるセミナーや各種イベントが開催されている。
日鉄興和不動産株式会社がスタートアップ支援に取り組む理由は、同社が赤坂・品川のエリアマネジメント活動に取り組んでいることにある。品川から有力なスタートアップを輩出することで地域ブランドの向上やエリアの活性化に寄与することがねらいだ。
品川は大手IT企業の本社が集まるエリアだが、スタートアップは渋谷に比べると少ない。ターミナル駅である品川駅は、成田・羽田の両空港へのアクセスも良く、リニア中央新幹線の始発駅としても予定されており、スタートアップを集積することで大企業とのコラボレーションによる相乗効果も期待できる。
現在の入居者は、DNX Venturesの出資先をはじめとしたB2BのSaaS系スタートアップが多く、イベントやセミナーもB2BのSaaS向けのプログラムが中心だという。利用条件は、「知の還流」というコンセプトに共感し、単にオフィスとして利用するというのではなく、他の利用者へも知識・経験を提供し、積極的にコミュニケーションをとれること。現在は約20社が入居、3年で累計約40社が利用しているそうだ。
次世代ライフスタイルに寄り添った住まいの調査研究から
共創プロジェクトの展開まで、リビオライフデザイン総研
首都圏でマンションブランド「リビオ」シリーズを展開する日鉄興和不動産では、2016年から「+ONE LIFE LAB」として単身女性を対象にシングルライフに特化した調査研究を行ってきた。さらにファミリー層を含めたすべての生活者をターゲットとするマンション生活の調査研究組織として2021年に組成されたのが「リビオライフデザイン総研」だ。
従来の分譲マンションはファミリー向けが中心だったが、暮らしの多様化により、単身者や多拠点居住者の購入ニーズが増えてきている。リビオライフデザイン総研では、単身女性や学生に対して住宅に対する考え方を調査し、同社の新しい分譲マンション開発に役立てている。
単身世帯やZ世代への調査では、「バスタブに浸かることは少ないのでバスルームはシャワーのみにして、代わりにテレワーク用のスペースが欲しい」といった意見や「キッチンに関してはシングルでも広めがいい」など住まいに関する個人差が大きく、これからの住宅は従来のような画一的なデザインではなく、水回りも含めてフレキシブルな間取り変更が求められているそうだ。
こうした調査と併せて、最新技術を活用した他社との共創プロジェクト「Co-Creation BASE」などを展開し、スマートホームの普及にも取り組んでいる。現在、自社開発マンション4棟にスマートホーム機器を標準装備し、今後は賃貸マンション「リビオメゾン」シリーズにもスマートホームを実装していく計画だ。