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北海道における知財エコシステム強化に向け、スタートアップ支援機関向け知財ナレッジ強化研修開催

HSFC(エイチフォース)とSTARTUP HOKKAIDO「支援人材 知財ナレッジ強化プログラム」

特集
STARTUP×知財戦略

提供: IP BASE/特許庁

 2024年1月15日、16日、HSFC(エイチフォース)とSTARTUP HOKKAIDOは、スタートアップ支援機関向け知財ナレッジ強化研修を開催。特許庁による国の知的財産戦略に関する基調講演や、知財専門家による具体的なサポート事例の紹介、分野別ワークショップが2日間にわたって実施された。

 基調講演では、特許庁 総務部企画調査課 知的財産活用企画調査官の清野千秋氏が登壇し、「我が国の知財エコシステム強化に向けて」と題し、日本の知的財産戦略や政策概要を説明した。

特許庁 総務部企画調査課 知的財産活用企画調査官 清野 千秋氏

大学やスタートアップへの期待と政府の取り組み

 最初に、大学やスタートアップへの期待と政府の取り組みを紹介。

 調査によると、国内の企業は大学に比べて基礎研究に大きな研究費を割けていない。国内企業の研究活動の連携先は、国内大学が最多であり、イノベーションの源泉として大学の研究成果の事業化は今後より重要になってくる。

 大学の研究成果を社会に役立てるには、事業化は必須だ。大学の研究成果を事業化するプロセスとして、企業との共同研究または受託研究を通じて企業が事業化する、研究成果を知財化して企業にライセンスする、大学発スタートアップとして起業する、3つのパターンが考えられる。いずれの場合も、研究成果を企業に渡して事業化することになるため、研究の段階から事業化を見据えた研究成果の展開戦略と、それに基づく知財戦略の構築が必要だ。

 また、スタートアップは、国内大手企業の成長率が伸び悩む中での新しい雇用の創出や経済成長の要として期待されており、政府は2022年にスタートアップ元年と定め、さまざまな政策を推進している。

 政府の知的財産戦略本部が決定した「知的財産推進計画2023」では、「スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化」を第1項目に掲げており、政府としてもスタートアップと大学への支援に注力している。

特許庁とINPITの大学向け支援

 次に、特許庁とINPIT(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)が提供する大学向け支援を紹介。大学では知財の重要性への認識は高くなってきているものの、人材や資金の不足から十分な知財活動ができていないのが課題だ。

 特許庁・INPITでは、これまで人材の支援として、大学に知財専門家を派遣する「知財戦略デザイナー派遣事業」、産学連携事業プロジェクトを対象とした「産学連携スタートアップアドバイザー事業」、国のプロジェクトを推進する大学・機関を対象とした「知的財産プロデューサー派遣事業」の派遣事業を実施しており、令和6年度からは、「知財戦略デザイナー派遣事業」と「産学連携スタートアップアドバイザー事業」の2つは「iAca」(大学等の研究成果の社会実装に向けた支援事業)に統合され、「知的財産戦略プロデューサー派遣事業」は「iNat」(競争的研究費による研究成果の社会実装に向けた知財支援事)として実施される。

 資金面の支援としては、海外出願費用の半額を助成する「スタートアップで活用予定の海外出願支援事業」がこれまで実施されてきたが、令和6年度からは「海外権利化支援事業」として他の補助金事業と統合され、補助の対象が拡大されるとともに、年度をまたぐ利用も可能になる。

特許文献調査の具体的な調査手法を知財調査の専門家が解説

 中村合同特許法律事務所の工藤嘉晃氏の講義「特許文献調査と具体的な調査手法」では、文献調査を依頼した際の弁理士の実務を具体例とともに解説した。

中村合同特許法律事務所 弁理士 博士(工学)工藤 嘉晃氏

 特許文献調査の網羅性を高めるには、FI、Fタームといった特許分類などを活用して調査範囲を定めるのが一般的だが、いわゆるビジネスモデル特許などクロステック系の発明では、複数の技術分野にまたがるため、特許分類による検索では絞り込みが難しい。今回の研修では、こうしたケースで効率的に調査をするための「特許情報プラットフォーム(J₋PlatPat)」を使った近傍検索機能の使い方を紹介。先行技術文献調査の事例として、発明提案書など実際の特許資料から発明の特徴の説明文を考えて、複数の検索論理式を作成し、検索結果を絞り込む方法を紹介した。単純なテキスト検索では膨大な数がヒットしてしまうので、複数の検索論理式を使って絞り込み、検索結果をスクリーニングして目当ての先行技術文献を見つけ出すという。

 専門家に調査依頼せずに自分で先行技術文献調査に挑戦するときは、やみくもに文献検索するのではなく、アイデアによって具現化された発明をイメージしたうえで、サーチ戦略を立てて論理式を構築するのがポイントだそう。

 さらに弁理士は、検索結果に含まれている文献のうち、当たり文献だけなく、はずれ文献もある程度を読んだうえで検索論理式を立て、検索精度を高めているとのこと。なお、J-PlatPatの特許・実用新案検索には、特許分類(FI、Fターム)、検索オプションとしてテーマコードを使って絞り込む方法もある。ハードウェアの発明については、Fターム、ソフトウェアの発明は、近傍検索かテーマコード、FIが使いやすいといった検索テクニックが紹介された。

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