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CEOのオルソン氏、新カントリーマネージャーの花尾氏が事業戦略説明会にそろって出席

Pendo「特に日本市場においては『UX改善』が他社優位性を生む」

2024年02月26日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 消費者向けアプリケーションでも従業員向けアプリケーションでも、ユーザーにとってはその“体験”が重要なのは言うまでもない。しかし、アプリケーションを開発/提供する側では、体験改善の取り組みは後回しにされがちだ。特に日本ではその傾向が強く、四半期ごとに消費者の行動分析を行っている組織は21%、従業員体験となると19%しか行っていないという。米国ではそれぞれ68%、75%であり、日本における体験改善の取り組みは米国の3分の1以下ということになる。

 こうした日本の状況を変えていこうと意気込むのが、昨年(2023年)12月にPendo Japanのカントリーマネージャーに就任した花尾和成氏だ。

 Pendoは、プロダクト体験/UXソリューションを提供するSaaSベンダーである。日本法人が2024年2月20日に開催した事業戦略説明会には、米国本社から来日した共同創設者兼CEOのトッド・オルソン氏も出席し、日本市場に対するコミットを示した。

Pendoはプロダクト体験/UX(ユーザー体験)最適化のソリューションだ

Pendo.io 共同創業者でCEOのトッド・オルソン(Todd Olson)氏、Pendo.io Japan カントリーマネージャーの花尾和成氏。なお花尾氏のネクタイは“Pendoカラー”のピンク色だった

「ソフトウェア体験の向上」実現のためのプラットフォームを提供

 「ソフトウェア体験の向上」をミッションに掲げ、2013年に米国で創業したPendoは、現在、東京を含む世界8拠点に活動を広げ、750人以上の従業員を抱える。

 Pendoのソリューションは、利用状況を可視化するとともに、そのデータを分析してシステム課題を特定、改善につなげる。可視化/分析/課題特定/改善というサイクルを回すことで、UXを最適化していく。

Pendoのソリューションが実現するUX最適化のサイクル

 現在は世界で1万社以上(無償版を含む)の顧客がPendoを利用しており、その中にはSalesforce、OktaといったBtoBサービス企業もあれば、Verizon、VimeoといったBtoCサービスの企業もある。

 Pendoを共同創業し、現在もCEOを務めるトッド・オルソン氏は「多くの企業が、自社が開発したソフトウェアでユーザーに提供できる最大の価値を引き出せていない状況にある」と現在の課題を指摘する。「ソフトウェア開発者には、ユーザーとのコミュニケーションを通じて理解を深め、ユーザーに最大の価値を体験してもらうためのプラットフォームが必要だ」(オルソン氏)。そして、こうしたプラットフォームは開発者不足への対策にもなると付け加える。

 Pendoは、すでに日本でもfreeeやChatworkといったベンチャーから、KDDIやNECといった大手まで、幅広い顧客を抱える。オルソン氏は、Pendoでは日本にデータセンターを設置しており、自身が四半期ごとに来日していること(過去3年間で12回、過去1年間でも5回)、日本人担当者により製品を徹底的にローカライズしていることを紹介して、日本市場へのコミットを強調した。

Pendoの導入企業(グローバル、日本)

日本企業が今すぐ「UX改善に取り組むべき理由」

 日本市場の潜在性と戦略について説明した花尾氏が最初に触れたのが、「デジタル化が加速している」実情だ。

 デジタル化の加速は、たとえば「使用するアプリケーションの数」に表れている。調査によると、過去5年間で従業員は8倍の、消費者は2倍のアプリケーションを使用するようになったという。さらに、従業員の37%が「業務で覚えなければならないデジタルツールが多すぎる」と考えているという調査もある。その結果として「使い勝手の悪いアプリは使わなくなっていく」と花尾氏。

 UX改善に取り組むべき理由はそれだけではない。UXに対するユーザーの期待値は高まり続けており、他方ではコモディティ化によってシステム提案の差別化が困難になっている。花尾氏は「企業はベンダーに対し、データを活用した新たな提案やコンサルティングを求めている」と述べ、Pendoはそれを支援していくとする。

 冒頭で触れたとおり、日本ではまだ「UX改善」への取り組みが進んでいない。花尾氏は「だからこそ、UXに取り組むことは差別化になる」と続けた。

日本ではUX改善の取り組みが大きく遅れている。だからこそ「先行して取り組むことで他社との差別化につながる」とする

 市場にある同様のUXソリューションとPendoの差別化について、花尾氏は「収集したデータを見て、どうするかという部分には支援が必要。日本では特に、顧客企業にデータドリブンのカルチャーを根付かせるためのサービスを提供していく」と説明した。

 また、アジャイル開発との相性が良い点にも触れ、ビジネス、開発、オペレーションの「”BizDevOps”を回すことができる」とも述べた。

 パートナーとしてはすでにマクニカ、丸紅ITソリューションズ、三井情報(MKI)などと提携しており、グローバルではGoogle Marketplaceでの提供も行っている。

 ターゲットはエンタープライズ市場で、中でも金融、流通/小売、製造、通信の領域をまずは狙う。国内の営業体制と支援体制は200%の増強を行うとした。

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