ヘッドフォン祭を毎シーズン開催しているフジヤエービックは、展示をハイクラスヘッドホン・ヘッドホンアンプに絞り込んだ試聴イベント“ハイエンドヘッドフォンリスニングセッション2024”を3月2日に開催する。
ハイエンドのヘッドホン機材に絞ることで、あまり試聴機会のない機材をマニアにじっくりと聴いてもらうイベントだ。背景には、コロナ禍を経て、ハイエンドヘッドホンによるホームリスニングが静かなブームとなっていることがある。
小規模のイベントで合計9つのブース(11ブランド)が設置され、入場方法は1時間ごとの総入替制となる。枠ごとに定員を設け、先着順の事前申込制を採用するとのことだ。方法は近く案内するとのこと。
場所は中野駅北口近くのイベントスペース「中野セントラルパークカンファレンス」。当日はフジヤエービックでの特価販売も実施する。
原点回帰と言えるかもしれない
ハイエンドヘッドフォンリスニングセッション2024は、かつて開催され、現在のヘッドフォン祭の前身となった“ハイエンドヘッドフォンショー”を蘇らせるものでもある。ハイエンドヘッドフォンショーは2006年11月、2007年2月、2007年11月の合計3回開催された、日本で初めてヘッドフォンを中心に据えたオーディオイベントだ。
場所は中野ブロードウエイ内にある共用会議室を使用。参加者は30名限定という慎ましやかなスタートであった。ヘッドホンのイベントはスピーカーとは異なって一人ずつ聞くことになるため、人数限定で始めたわけだ。
海外の最新の機材を紹介する目的で、当時は私も自分の展示ブースを持って参加した。例えば、バランス駆動方式のヘッドホンアンプ、ヘッドホンのリケーブル、ポータブルヘッドホンアンプなどは当時、海外フォーラムの“Head-Fi”で流行り始めたばかりの最新トレンドだった。それを日本でも紹介しようと思い、海外製品を持ち込んで参加者に試聴してもらっていた。もう18年も前のことである。
当時は、ヘッドホンというと、オーディオ雑誌ではCDクリーナーや機材マットと一緒に紹介される単なるアクセサリー扱いであった。それをなんとかして、スピーカーやアンプと同格に持っていくという試みが始まったわけである。初めてのことなので参加者を時計回りにローテーションさせたり、厳密に時間を決めたりと、当初は試行錯誤の連続であった。それが回を重ねるにつれ、「面白いことをしている人たちがいる」ということで衆目を集めるようになり、メディアにも掲載されるようになった。
そして、2008年11月にはそれまでの経験を生かして、場所を中野サンプラザに移し、参加自由とした。これが第1回の“ヘッドフォン祭”である。この時にはUltrasone「Edition 8」のプレミア発表会が行われ、現在のヘッドフォン祭の形が出来上がった。
ちなみに、以前“ポタ研”と呼ばれていた“ヘッドフォン祭 mini”の前身は、2009年8月開催の“ヘッドフォンラボ”である。ヘッドフォン祭が急速に拡大した結果、捉えきれないようなマニア向け製品を小規模に扱うのが当初の目的だった。それだけ短期間でヘッドホン業界がこの時期拡大したわけだ。
現在のヘッドホンは、オーディオ業界を支える立派な柱の一つである。スティック型の小型USB DACにさえパランス駆動の端子が搭載されている。いまとは隔世の感もあるが、当時の先駆的な試みがあったからこそ今日がある。
ハイエンドヘッドフォンリスニングセッション2024も、ポータブルオーディオに最近興味を持ったユーザーの目には新鮮に映るだろう。また新たなユーザーの開拓を担うイベントになってほしいものだ。
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