ファーウェイ、OPPO、Honor、シャオミ
中国スマホメーカー各社がAIスマホを続々とリリースしている
昨年、ChatGPTをはじめとした大規模言語モデル(LLM)による生成AIがブレイクして、中国でも話題になり後追いするようになった。
その結果、それらの要素が盛り込まれた製品がリリースされ、中華スマホにもその波が来た。昨年8月にはファーウェイのフラッグシップ「Mate 60」シリーズは、同社のLLM「盤古大模型」を活用したAIスマホとしてリリースされた。ホーム画面で「小藝(シャオイー)」とウェイクワードで声がけをして「誰々にいくら送金する」と言うと、自動的にウィーチャット(微信)が開き、誰々に送金しますかという画面までたどり着く。そして「送金して大丈夫」という旨を話すとお金を送ってくれる。
また、ファーウェイの入力アプリにも生成AIが導入され、「こういう文章を書いて」と入力すれば、要求に合わせた文章を自動で作ってくれる。またMate 60シリーズはもともとカメラがすごく好評だったが、グループ写真で各人のぼやけていた顔がタップ1つでクッキリと表現できるようになった。
ファーウェイだけではない。2024年初頭には、LLMとしては比較的小規模な70億パラメータのクライアント向けLLMを搭載したOPPOの「Find X7」シリーズとHonor「Magic 6」シリーズが相次いで発売された。
OPPOのハイエンドスマホ「Find X7」では「小布(シャオブー)」と声かけをし、「メモリのクリーンアップをして」「懐中電灯をつけて」というと、それを実行してくれる。また通話の後で「内容をまとめて」というと通話記録を短いテキストでまとめてくれる。記念写真から背景の通行人をタッチすることで消せる。
vivoのハイエンドスマホ「X100」のアプリ「小V助手」では、「これこれこんな感じの写真を撮った写真から探して」というと該当する写真をリストアップして提案し、その写真をテレビに映してといえば自動でミラーリング設定。ウェブ記事を見ているときに「まとめて」といえばまとめてくれる。
シャオミも自社開発の「MiLM」を発表した。つまりファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivo、HonorがAIスマホをリリースしたことで、中国の主要メーカーが勢揃いしたわけだ。各社が文章作成や画像修正をアピールする一方、すでにGoogleアシスタントでできている機能もあるように思うが、そもそもグーグルのサービス自体が中国では利用できないので、新たに似たような機能を自前で作ったということになるのだろうか。
こうした動きに中国メディアは、スマホ産業が再び元気になる! と分析記事を書いている。中国企業のスマートフォン発表会の現場では「生成AI対応機種を発表しないと、内容がなく恥ずかしい」とまで言われるようになっている。中華スマホのメーカーがLLMを使ったAIアシスタントの導入を進める一方、(中国でも人気の)iPhoneにはLLMを導入しないのかと中国メディアの心配の声もある。
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