日本通信は14日、NTTドコモとの間で音声通信網/SMS網の相互接続について合意したと発表した。
データ網に続いて、音声/SMS網との相互接続により
フルのサービスを提供できる「ネオキャリア」に
同社は日本国内におけるMVNOの先駆者的な存在として、1996年に創業。NTTドコモとのデータ通信網のレイヤー2相互接続では、2007年に総務大臣に裁定を申請。原価ベースでの接続の道を開いた。一方で、音声通信/SMS網については、2014年にNTTドコモに相互接続を申し入れたものの、その前提となる制度の整備に時間を要していた。
その後、2021年に総務省によって、MVNOに携帯電話番号を付与する方針が決まり、2023年に省令が改定。今年2月13日にNTTドコモから接続申込承諾書を受領したとした。今後はNTTドコモ側でも接続を受け入れるためのシステム開発が進められ、実際の新サービス提供は2年後、そして同社創業30周年となる、2026年5月24日に開始することを目標としている。なお、今回の相互設備にともなう投資額については、NTTドコモとの間でNDAが存在するとのことで、詳細は語られなかったが、音声網のIP化が進んでいるため、高額な交換機が必要な時代に比べれば大きく低減されているとした。
データ通信網、音声通話・SMS網の両方でMNOと相互接続することにより、日本通信は独自の通信キャリア(フルMVNO、同社では「ネオキャリア」と呼称している)としてフルのサービス展開が可能になる。具体的には、海外キャリアと直接契約することによる海外ローミング、音声通信の着信料を受け取れることによる通話料の自由なプライシング、APN設定の自動化、SIMを用いたWi-Fi認証、マルチキャリアでのサービス提供などが挙げられた。
しかし、同社代表取締役社長 福田尚久氏によると、その中でも最も中心となる部分が認証基盤とする。電話番号やIMSI(国際的な15桁の識別番号)の発行、SIM/eSIMへのアクセス権、認証コアシステムの3つを自分たちで持つことで、独自のSIMが発行できるようになる。
特にeSIMへのアクセス権が決め手としており、1種類のSIMを内蔵したIoT機器をそのまま海外に輸出し、現地キャリアに自動接続してOTAで有効にしたり、ローカル4G/5Gと全国網のハイブリッドのサービスなどが可能になる。実際に「グローバル企業から興味を持っていただいている」とした。