IBM Innovation Studioも拡張、社内の枠を超えた連携推進
“共創”の中心は箱崎から虎ノ門へ ― 日本IBM、新本社の稼働開始
2024年02月01日 09時30分更新
日本IBMは、東京・港区の「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に事業所を新設し、2024年1月30日より新本社として稼働を開始した。IBMの最新テクノロジーを体感できる「IBM Innovation Studio」も箱崎の旧本社より移設、内容を拡張して新設している。なお、箱崎事務所は元の25から10にフロアを減らし、利用を継続する。
これで同社の都内の事業所は、虎ノ門の新本社、箱崎、丸の内の3か所に。社員は、これらの事業所に加えて、新宿や渋谷、品川などのサテライトオフィス、各所の時間貸しオフィス、自宅の中から一番働きやすい、一番成果を出しやすい場所を選択する形となる。
日本IBMの代表取締役社長である山口明夫氏は、虎ノ門の新本社について、「色々な議論やイノベーションが起こり、縦や横の階層関係なくフラットに議論ができる自由な場を提供したいという考えで開設した」と説明する。
虎ノ門新本社は“目指すべき姿を実現する場”に
日本IBMの執行役員トランスフォーメーション&オペレーションズ担当である小野健二氏は、「IBMグループでは、“オフィス”をグループが目指す姿を実現する一つの手段として捉え、その時代のステークホルダーとの関わり方、社員の働き方に合わせる形で、変革を進めてきた」と振り返る。
これまで、70年代、80年代には個室型や教室型のオフィスを、90年代にはモバイル型のオフィスなどを取り入れ、21世紀に入るとワークスタイル変革に合わせて、オンデマンド型やアジャイル型のオフィスへと進化させてきたという。そして現在、デジタル変革やコロナ禍を経て、社員が目的に応じて最適な働き方を決めていく「フレキシブル・ワークスタイル」へと移行している。
このフレキシブル・ワークスタイルを実現する同社のワークスペースは、主に顧客との「共創の場」、社員間での「協業の場」、個人での「集中の場」に分かれている。都内では、虎ノ門新本社と箱崎、丸の内の事業所が、顧客との接点となる共創の場として活用される。
また、経理や財務、人事、総務、営業本部、経営企画といった、いわゆる本社機能は、既に1か所に集まる必要のないバーチャルな体制となっている。そのため、虎ノ門新本社は、“企業の枠を超えた共創や変革、柔軟な働き方など、目指すべき姿を実現する場”と位置付けられる。
「新本社は目指すべき姿を実現するための最新の設備が備わっている。お客様やパートナー様、社員にとっての利便性、さらにはブランディングの観点から虎ノ門が最適だと判断した」と小野氏。
新本社は社長や役員も含めてフリーアドレスとなっており、箱崎事務所もリノベーションを進めてフリーアドレス化する予定だ。
ここからは、虎ノ門新本社のオフィスエリアの様子を紹介する。
新IBM Innovation Studioは、社内の枠を超えた連携強化を推進
虎ノ門新本社での共創の中核を担うのは、箱崎から移転し、新たに生まれ変わったIBM Innovation Studioだ。
同施設は2010年に、「IBM Solution Center」の名前で開設。最新テクノロジーの展示や、社内外の専門家による知見の共有、デザイン思考のワークショップなどを通して、顧客との共創を促進する施設である。
各国での同様の施設の知見を共有するために組織を統合、さらに業務範囲を拡げてIBM Innovation Studioへと改名。現在、グローバル19ヵ所に広がり、日本では東京に加えて大阪にも拠点を構える。2023年には、延べ3000名強に利用されたという。
虎ノ門新本社での新設にあたり、新たな体験を創出していくだけではなく、社内の枠を超えた連携強化を推進していくという。
例としてキヤノンは、日本IBMらと協業して虎ノ門ヒルズステーションタワーの情報発信拠点「TOKYO NODE LAB」に、空間全体を3Dデータ化するボリュメトリックビデオ技術を活用したスタジオを開設。本技術を利用したARソリューション“ボリュメトリック名刺”は、Innovation Studioでも展示されている。5月には、360度スクリーンでIBMのテクノロジーを体験できる没入型体験空間も完成予定だ。
ここからは、共創による成果物の展示を含む、新IBM Innovation Studioの様子を紹介する。